ダイナミックな視点と細やかな視点 ETV 100分de 名著「金子みすゞ詩集」
あなたはNHK ETVの「100分de 名著」をご覧になることはありますか?
毎月様々な「名著」を取り上げる番組なのですが、1月のテーマは「金子みすゞ詩集」。
作家・翻訳家の松本侑子さんが担当されることもあり、とても楽しみにしていました。
事前にテキストを買って予習していたのですが、このテキスト、非常に充実しています。
みすゞの詩にインスピレーションを与えた作品や当時の時代背景など、写真も交えて詳しく解説されていて、とても読み応えがありました。
(税込600円のお値段、超破格です!)
実際に放送が始まってみると、詳しさで言えばテキストが勝るのですが、松本侑子さんの解説、伊集院光さんの素直な感想、石橋静河さんの朗読、美しいアニメーションなど、やはりテキストだけでは感じられない「金子みすゞ作品の世界」が伝わってきました。
松本さんはみすゞの詩の特徴として
1)視点の移動・逆転
2)対比
3)比喩の素晴らしさ
の3点を挙げておられます。
それぞれに素晴らしいのですが、静かな詩の中の視点の移動・逆転は、とてもダイナミックです。
「蜂と神さま
蜂はお花のなかに、
お花はお庭のなかに、
お庭は土塀のなかに、
土塀は町のなかに、
町は日本のなかに、
日本は世界のなかに、
世界は神さまのなかに。
そうして、そうして、神さまは
小ちゃな蜂の中に。」
別の詩が紹介された時にも伊集院さんが
「最新のカメラワーク」
「ドローンからの視点のよう」
などと感想を漏らしていましたが、まさに!ですよね。
みすゞが女学校を卒業した後に働いていた下関は、当時は交通の要所で各国の領事館もあるようなモダンな都市だったと言います。
そのような都会で、当時の最先端の情報が集まる書店員として働くうちに彼女の視点も大きく広がっていたのでしょうか。
また、彼女が当時の先端の都会で暮らしていたからこそ生まれた、こんな詩も紹介されました。
「キネマの街
あおいキネマの月が出て
キネマの街になりました。
屋根に
黒猫
居やせぬか。
こわい
マドロス
来やせぬか。
キネマがえりに月が出て
見知らぬ街に
なりました。」
都会的で、幻想的な大人の雰囲気の詩で、これまで自分が持っていた「金子みすゞ作品」のイメージとは違う魅力のある作品、と感じました。
松本さんは
「(彼女は)大人の詩も書こうとしていたのでは」
と話しておられましたが、声高ではないもののジェンダーの問題を描いた作品もあり、様々な視点でその時代を見ていたのだろうな、とも思いました。
文字で読んで味わうのももちろん良いのですが、石橋静河さんの静謐で透明感のある朗読がみすゞ作品にぴったりで、新たに詩を味わう感動があります。
また、みすゞの作品だけでなく生涯の解説の際にアニメーションが使われているのですが、みすゞ作品から感じる静けさ、孤独感、凛とした雰囲気があり、「大正ロマン」という言葉を彷彿とさせる美しいものです。
テキストと放送の両方で何倍もみすゞ作品を楽しんで学べるのが嬉しいです。
この番組、すでに2回放送を終えていますが、まだ後2回放送があります。
月曜日の午後10:25-10:50、再放送は水曜日の午前5:30-5:55と午0:00-0:25。
わたしは繰り返して見たいので録画しています(^^)
今、コロナ禍や政治状況など悩ましいことも多い中で金子みすゞ作品を彼女の人生や時代背景も交えてじっくり味わえることに喜びを感じています。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
*昨日は吉祥寺へ「お買い物ツアー」へ。
(単なる「買い出し」なのですが、笑)
昨日の朝も寒かったので、井の頭公園の池の水面には氷が張っており、ボートの通った後の氷が割れて水面に模様を作っていました。
行きつけの「八百銀」では、那須の長葱「白美人」が一箱300円。
買って帰って数えてみたら細いのも含めて60本位入っていました。
(焼きねぎにしてみると、甘さと旨味がとろけて最高でした✨)
また、昨日は月に一度、吉祥寺でCOSTCOのベーグルを購入できる日。
今回は「チーズ」と「シナモンレーズン」♪
さすがに一度に食べきれないので、冷凍します^ - ^
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