テレビニュースの画面には、渋滞する高速道路、大きな荷物を転がす人々でごったがえす新幹線のホームと空港ロビー、各地のテーマパークの長蛇の列。

我が家は混雑が苦手。娘が幼稚園の頃GWに動物園に行こうと計画した。渋滞情報を観て滞在時間が短くなるしおそらく動物園も激混みだろうと判断し行くの中止した。早起きして作ったお弁当を自宅のお庭にシートを敷いて食べてピクニック気分を味わう。GW明けの翌週に動物園に向かい予定通り1時間弱で着き十二分に動物園を満喫できた。

なので我が家のGWは、お庭のお掃除と木の剪定、衣替えと衣類の整理、シューズクローゼットの整理、お布団の入れ替え、人が少なくなる夕方の時間帯にアウトレットなどに買い物、夫の実家訪問、などで過ぎる。昼食を食べながらニュースのGW混雑状況を観て「わざわざ混雑する時に行く意味がわからない」と夫は言う。同意見だが画面の中の人々は割と楽しそうだけどって言葉は飲み込む。

GWの頃は良い季節。過ごしやすい気温、樹々の緑が爽やかな風に揺られ、どこかからお花の香りが漂ってくる。長期休暇ともなればどこかに行きたくもなるだろう。

世間がGWで賑わい始めた頃から、私は女性ならではの体調不良が続いていた。心待ちにしていた予定もタイミングが合わない。私が求めているのはたったひとつなのに。わたしが五感からの情報を拒み、私はただベッドに横たわっている。肉体的な痛みと精神的な痛みが、同時に行進し号令に従い、規則的な足音の交差に接触することもない。青い空。深緑の樹々。爽やかな風。全てが憎たらしい。

お隣のお家は数週間前から外壁工事をしている。GWにも関わらず足場を身軽に移動する職人さん。全てが憎たらしい私だが、窓をあけてせめて「おはようございます」とにこやかに挨拶をすると、職人さんは丁寧に挨拶をし屋根へと登って行った。少し気持ちが晴れる。

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