四季の中で秋に吸う煙草がいちばん美味しい。

何でだろうね、理由は分かんないけど。
理由とか、そういうものとは関係がないのかもね。

先日、身内が亡くなった。
あまりにも突然のことだった。
しばらく引き込まれそうになってしまった。
今でも気を抜くと一瞬で引き込まれそうになる。

コロナ以前、わたしのお守りは
「パスポート」だった。
どうしようもなく辛いことがあったら
わたしのことを誰も知らない
誰もわたしのことを知らない
そんな世界へ行くことが出来るからだ。

タイで過ごした日々はとても素敵だった。
現地で出来た日本人の友人が
アコギで弾き語りをしている隣で
ただ煙草を吸っている時間が好きだった。
観光よりも、好きな時間だった。
何よりも贅沢で、価値のある時間のように感じた。

「観光行かなくていいの？」と聞かれて
「ここにいる方が楽しい」と答えたら
「変な奴だな」と笑われた。
「変な奴だもん」と言ったら更に笑われた。

その時の自分にスマホは必要なかった。
コップに入っているほんの少しのチャイと
煙草があればそれで良かった。

帰国すると
どうしようもない辛さがまた待っていたが
「パスポート」というお守りがある限り
わたしは大丈夫だと感じた。

今日は台風がきていて、外は豪雨だ。
コロナだって終息していない。

台風が過ぎ去ったら、チャイを買いに行こう。
本格的なチャイを作ってみるのもいいな。
身内の告別式まで、まだ日にちもあることだし。
コロナもまだまだ終息しそうにないし。


チャイを作って、煙草を吸おう。