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仁平幸春の考え

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制作に関する考え、その他雑感を綴っております
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#染色工芸

序・フォリア工房のムラ染系の仕事について

当工房の定番とする加工に「ムラ染加工」があります。 高度な日本の伝統染色の分野では、ムラ…

化学染料と、天然染料で、望む色を出す際の感覚的な違い

布に色を染める際には、大雑把にいって、化学染料と天然染料のどちらかを使います。殆どが化学…

染額の「物語的な」作品について

上写真のような物語的な作風のものは、独立する前ぐらいから少しずつ作り始めたもので、独立し…

フォリアの具象柄と抽象柄について

当工房で(フォリア工房)制作する染色品の作風は幅広いので「どのような制作姿勢だと、そのよ…

プロに必要な速度

一般の方が、工芸系の現役一流のプロの仕事を観ると「こんなに速いんだ!」と思うと思います。…

余白に語らせるには文様が必要なのです

例えば、何もない空間を表したい場合や、空間にある種の特徴を(例えば暖かさ、冷たさ、爽やか…

素材は思いでは開かない

日々仕事で素材に触れていると、こちら側の姿勢や思い入れや真面目、不真面目に関わらず、仕事がうまく行ったり行かなかったり。。。ということの繰り返しです。 (私は素材というのは、モノそのものだけでなく、あらゆる物事のことで、自分を取り巻く環境、自分の内部、外部関わらず感覚の事象も含めて全て素材と捉えています) それは「あんなにイヤなヤツなのに、うまく行ってばかりいる」とか「あんなにマジメな人なのに、失敗ばかりしている」などのような事でも言えると思います。 人間同士のことで言

職人仕事と年齢

よく「トシをとらないと良い仕事が出来ない」とか言われますね。 特に、私たちのような職人仕…

古典の資料から文様を起こす時に気をつけること

古典の資料を使って文様を起こす場合、現代的な視点を古典文様のどこにフォーカスしてその古典…

品格は人造物においてのみ問題とされる

品格というものは、自然物では問題になりません。品格は、あくまでも人造物において問題とされ…

“ 超正常 ” が一番過激だと思います

創作的な分野では良く、異常な精神状態や、作為的に変わった、歪んだものが個性とか表現とか言…

現代の和装についての個人的考え

現代、和服を着るということは 【伝統的衣類としての和服を、身にまとい懐かしむのではなく、…

形式と核心

伝統の表層は形式として人々に行き渡るが 伝統の核心はそれを渇望している人にしか姿を表さな…

作品の自由さ

良く自由に制作するとか言われますが、基本的に作品は、自らの意図や姿勢や考えからさえ、自由であるべきだと私は思います。 自らの意図、姿勢、考えの表明が作品制作の主眼であるなら、それは取り扱い説明書のようなもので、そこには新鮮さはなく、創作性もなく、ただの自己確認のためと、閉じた精神を持つ個人の感受性の吐露しかないと思うのです。 それは全て過去に軸足を置いた、例えるならずっと水の入れ替わらない沼のようなものです・・・それが思想と呼ぶのであれば、私には思想はありませんし、そ