一部の欲深い人によって全体が損をする
以前、当工房でも染色教室を単発的にやった事がありまして、それは結局、プロの制作現場に生徒さんを入れるのは無理だなあという事を強く確認し、短期間で止めました。
分野によってはお教室運営しながら仕事をする事も可能なのですが・・・
それはともかく、
今回は「一部の欲深い人によって全体が損をするという話題」です。
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当工房は、単発の、複数人同時に教えるワークショップ形式については、ご依頼があると行う事があります。
ある時、当工房で草木染のワークショップを開催しました。
その際、工房で用意した絹のストールの白生地の他に何か染めたいものがあったら持ってきても良いですよ、とお伝えしていたのですが、ワークショップに参加した人の一人が、一抱えもある毛糸を持ってきて、これも染めたい、染めるのを手伝って欲しいとおっしゃる。もちろん、そのワークショップ参加費のみで。
確かに私は「自分の染めたいものは、このサイズのこういうものを1点のみにして下さい」とは言わなかったのですが、普通の常識を持つ人ならそういう事はしません。
もちろん他の生徒さんは「うわ、何この人?」という感じでしたが、ご本人はただ染めたいものを染めたい量、持ってきただけという感じで堂々としておられました。
なるほど、こういう事もあるのか、と思いました。
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分野を問わず、
下品で強欲な人がいると、多くの人が不利益を受けてしまうことがあるなあ、と良く思います。
飲食店なんかで良く起こりますよね。
例えば、牛丼屋さんのレジに置いてある、持ち帰り用の牛丼に添えるためのミニパックの紅生姜の箱に「ご自由にお取り下さい」と書いてあると、度を超えた量を持って行ってしまう人が少なくないから、箱を引っ込め、お店の人が牛丼を買った人にひとつだけ渡すようになってしまう。それまでは紅生姜を牛丼ひとつあたり2つ持って帰っていた人がそれを出来なくなる。お店も3つまではまあ、紅生姜好きな人は取るよね、と許容していたのに。
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フランス料理屋さんで、パンやバターが無料だからと度を超えた量のパンとバターをお代わりする人がいる。メイン料理がまいりますので少しお控えになった方が・・・と言っても「僕がパンを食べたいんだから、言うだけ持って来てよ。パンもバターも有料だって書いて無いじゃないか。量が決まっているなんて書いてないぞ!」なんて人が本当にいます。・・・結果パンが有料になる。あるいは無粋な説明をメニューに記載せざるを得なくなってしまう・・・
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ある所に、極力生の野菜を使ってサラダバーをやっているレストランがありました。ブロッコリーは太い芯の部分も美味しいので、処理して普通に食べる蕾の部分と一緒に提供していて、野菜好きな人たちからは「お、ここのお店は分かってるな。生野菜じゃないと、こういう事は出来ないよね」と喜ばれていました。
が、お客さまの一人がそのブロッコリーの芯について「おい!捨ててしまうゴミを客に食わせるのか!」とクレームを付けたのです。それを聞いて、瞬時にそこの店長さんはやる気を失い、一般的な冷凍野菜のみを置くようにしてしまいました・・・
その店長さんの気持ちは痛いほど分かります。
そして野菜好きのその他のお客さまがたの失望はいかほどか・・・
しかし、常連さん達も店長さんの良心で極力生野菜にして、冷凍野菜の割合を下げていたのを知っているので店長さんが生野菜の提供を止めた事に文句が言えないのです。元々冷凍野菜系も良心的な品揃えだったのに、お客さまに美味しい野菜を食べていただきたくてやっていた事が無知で傲慢な人から全否定された店長さんの気持ちを考えると、とても店長さんに文句は言えなかったのです。
一部の特殊なお客さま・・・客だから何しても良いとか、プロからすれば無知なのに全てを知っているかの態度でお店の人に知識を披露したり、度を超えた要求をしたり、やらない方が良い素人の思いつき程度のアイデアを実行する事を強要したり・・・のせいで、お店は禁止事項を増やさざるを得なくなり、多くの普通の常識のあるお客さまが不利益を被る事になる・・・
しかしお店としては、もっと酷い事態に陥らないように線引きをせざるを得ないわけです。小金や手間をケチってそうしているわけではありません。
お店だって、お金の事ばかり考えて仕事をしているわけではありません。お客さまに喜んでいただきたいと思って頑張って仕事をしているところに、嫌らしい事を言われたりされたりすると、やっぱり萎えますよね。
提供する側だって、人間ですから。
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