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【エッセイ】心の距離

先週、体調不良で声が枯れてでなくなり──
数日たっておしゃべりな僕は急に不安な気持ちになった。

「こんな経験はいままでなかったかも・・・」
「もしかして、このまま声がでなくなたらどうしよう・・・」

大袈裟だけど、夜寝る前にいままでの人生で
いろんな人と出会って、仲良くなったり喧嘩したりしたことを思い出していた。

社会人になってNTTに入社した頃
人と人とのコミュニケーションを豊かにする会社にはいったことを嬉しく誇りに感じていた。

電話というテクノロジー。
それは家庭と家庭を繋ぎ、人と人を音声で繋ぐ。
中学生の頃、好きになった人と長電話したり。
久しぶりに声が聞きたくなった友人と話をしたり。
そんな心があったかくなる声に纏わる思い出。
声が出ないから余計に貴重な思い出のような感覚になる。

何日か経って
いつものように声が出ていること気づくと
それだけで十分に幸せな気持ちが湧いてきた。

それと同時に
声のないコミュニケーションの中で
人と人の目に見えない繋がりが
見えていたような感覚になった。

心の距離。

やっぱり一生懸命考えてきたことは
みんな手段だったことに改めて気づく。

声や言葉がなくても
同じ空間や時間を共有するだけで
心の距離が縮まったりする。
会ってなくても
感覚や思想がシンクロして
信頼関係が生まれたりする。


人と人は無意識が共鳴して
ふと気づいた時に
気の合う仲間が集まったりするのだろう。

心の距離。

声が出なくなって
あらためて大切なことに気づいた。




©️2023 Mahalopine

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