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【山あそび】里山で見つける何か〈霞露ヶ岳〉

東北では紅葉シーズンが終わると、標高1500m以上の山は雪化粧を始める。
この時期の雪はまだ歩きづらいし、スキーができるほどではない。
そこで「里山」と呼ばれる低山を歩くことが多くなる。
里山に明確な定義はないけど、東北の場合、人里に近い、標高1000m以下の山という感じですかね。

ボクは今まで、あまり里山に魅力を感じてこなかった。
仙台の周辺にも里山はたくさんあり、山のSNSを見ると、毎日のように誰かが歩いたレポをアップしている。花のシーズン、紅葉、トレーニングにとそれぞれの楽しみ方をしている。
山登りを始めた頃にサークルに入ったり、積極的に山の友達をつくると、まずはこういう山からのんびりと一緒に登りましょうってなことになるけど、ボクの場合は長年渓流釣りで山に親しんでいたのと、いつも単独行だったということもあって、一足飛びで活動範囲を広げてしまった。
さらに、マニアックなルートを選んで行くことが多かったため、いわゆる「名山」もあまり登っていなかった。

そこで今年の初夏には岩手山、早池峰山、磐梯山などに登った。
SNSには文字通り山ほどレポがアップされているので、自分でも登った気になっているのか、あまりワクワクはしていなかったのだけど、行ってみるとやっぱり良いわけですよ。人が集まるのも納得。
そこで今年の晩秋は積極的に里山に登ってみようと足を運んだ。
そして実際に登ってみると、やっぱりそれぞれに良いんですよね。
晩秋でも紅葉が楽しめたり、なかなかスリリングな鎖場があったり、登頂すると海が見えたり。


先日に登った岩手県山田町の霞露ヶ岳も良かった。
三陸の海に突き出た半島にある山で、標高は508m。
といっても、登山口が海岸なので、まずは海抜0mから408mの赤平まで一気に登ることになる。
地図を見ると等高線が詰まっていて、かなりの急登が待ち構えているかと思いきや、つづら折に良く整備された登山道で歩きやすく、思ったより楽に登ることができた。
登りながら段々と海が下に見えていくのも良い。穴の開いた奇岩も見える。
遠くにフェリーが行くのを見送りながら休憩する。
赤平まで登れば、あとは稜線歩きで緩やかに山頂まで。
途中の絶景ポイントにも寄り道しながら。

見晴らし良ーから寄ってたんせ!と言われたら
光る海


今回は大先輩と、キャリアの浅い女性と3人で登った。
その女性は、いつも同行する人に計画を立ててもらっているというので、今回は計画を立てるように頼んだ。
さらに、当日は紙にプリントした地図とコンパスを持って先頭を歩いてもらう。

紙の地図


そして登山アプリのGPS地図は見ない。
時々、立ち止まって今どこにいるのかを聞く。
今まで歩いてきた登山道を思い出し、目に見える地形などから現在地を判断する。
そこでやっとGPS地図を開いて答え合わせ。
さらに、そこからコンパスで次の目標地点がどの方向にあるかを割り出す。地図と目に見えている風景が、コンパスによって繋がる感覚はなかなか楽しい。
そうやって勉強してもらいながら歩く。
その女性も面白かったらしく、楽しみながら勉強する手伝いができるボクも嬉しい。
里山だと、ガッツリ本格登山より達成感は低いが、こうして楽しみを増やし、次につながるような登山をするのも良い。

結局、楽しみはどの山にでもあるのだ。
その楽しみを見つけられるかどうか。
それはもしかしたら、何にでも当てはまるのかも。
仕事とかね。
それを見つけられるかどうかで、その物事に対する見え方が変わる。
見え方が変われば楽しめるようにもなる。
まぁ、絶対に見つけられないとダメというわけじゃないんだけど、見つけようと思っているかどうか、思えるかどうかは大切。
今年の里山歩きからは、そんなことを見つけることができたと思う。

大先輩が地形の見方を教えているところ

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