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「プレディプラス」ってなんなの? - 制度の位置付けと今後の展開、懸念点について整理してみた

 次年度4月からの学童クラブの利用申込の詳細が公表されました。受付期間は12/1から来年1/5まで。

 今回の申込からの大きな変化は、プレディプラスが導入される!という点。一方でこのプレディプラス、一体ナニモノなのよという点があまり理解されていない印象があります。したがって、まずはこれがどういうものなのかということと、今後どうなるか、さらに現時点での懸念事項などについて整理してみます。


そもそもプレディプラスとは?

どういう位置付けなの?

 「プレディプラス」という名前からして、今までの中央区における放課後の居場所対策である「学童クラブ」と「プレディ」に並列でさらに新たな制度ができたかのように思われているかもしれません。

プレディプラスの位置付けは?

 実は、そうではないです。んじゃ、何なのかというと今までのプレディに学童クラブの機能を追加した場所。「プレディ+学童クラブ」となっているものが「プレディプラス」ということです。

プレディ+学童クラブ = プレディプラス

 学童クラブの側からすると、これまで児童館だけに限られていた学童クラブが小学校内にもできる!という見え方になります。以下の画像は今回の募集案内。場所が増えてる。

新設分の定員が増える!

 一方のプレディとしては、同じ機能を引き継ぐ(減るわけではない)ことになるので特に影響はありません。


 この経緯としてあるのは学童クラブの定員不足。子どもの数が増え、かつ共働きも増える中、学童クラブのニーズは全然足りない。そして、小学校で行っているプレディは遊ぶ場所を提供するくらいで、学童クラブほど手厚いサービスがなくて代替としては残念ながら機能していません。

 そんな中で、どうにかして学童クラブを増やせるか、というところから出てきたのが既存のプレディが運営されている小学校に学童クラブの機能を追加で持たせるということ。


 これまで、中央区では児童館には学童クラブ、小学校にはプレディ、という単純な構造になっていましたが、この変化によって、一部の小学校はプレディと学童クラブが設置されることになります。

現在と次年度以降との比較

 次年度4月に設置されるのは以下の4校。

・京橋築地小学校
・月島第一小学校
・豊海小学校
・晴海西小学校

中央区議会 - 福祉保健委員会(2023/6/6)より

学童クラブの申込はどうなる?

 これまでの説明のとおり、プレディプラスという新たな何かができるというわけではありません。あくまで制度を束ねる概念であって、その配下にあるのはこれまでの学童クラブとプレディ。つまるところ、申込はこれまでと特に変わりません。

 申込の観点で異なるのは、今回「プレディプラス」として運営が開始される小学校が学童クラブの選択肢として増えるということ。そのおかげで定員は大幅に増加。待機児童の減少も期待できます。

 定員の推移はこんな感じ。大きく増えてるのが分かります(ただし、後述しますが別の問題が起こってて一概に喜べないケースも。。)。

定員と未決定者の推移。増えてる!

今後の展開は?

 このプレディプラス、まずは2024年4月に始まって3年で全てのプレディに対して展開される計画となっています。予定としては下記のとおり。

 2026年4月には、現在「プレディ」として展開しているものは、すべて「プレディプラス」として、つまり学童併設へと切り替わります。

2024年4月
 京橋築地小学校
 月島第一小学校
 豊海小学校
 晴海西小学校
2025年4月
 中央小学校
 久松小学校
 月島第二小学校
2026年4月
 明石小学校
 明正小学校
 日本橋小学校
 有馬小学校
 佃島小学校 
 月島第三小学校

※ プレディ未実施校(城東、泰明、常盤、阪本)への導入は今後検討 

中央区議会 - 福祉保健委員会(2023/6/6)より

 なんでもっと早くに展開しないんだ!という声もありそうです。この経緯として区の説明での理由は2点。新しい事業なので着実に行うという点と、既存のプレディ事業者との契約更新のタイミングという点。

 後者について、プレディプラスの運営は学童クラブの事業者が行うことになっているため、プレディ事業者の契約の切れ目のタイミングで切り替えるということです。

残された課題、不安な点

 これまで書いてきたとおり、多くの小学校では今後学童クラブが設置されることになります。これはもちろん定員の大幅な増加という面で望ましいことです。児童館ではなくて小学校内に設置されるということで、移動時の安全面確保という点でも嬉しいところ。

 一方で、まだまだ残された課題も。いくつか挙げておきます。

課題1 特認校への展開?

 上記の今後の予定の部分で少し触れてますが、現在プレディも導入されていない特認校については今回のプレディプラスの構想からも蚊帳の外に置かれています。

 当初計画としてはなかったものの、わたしの所属する会派も含め特認校への設置は議会からも要望が出ているところ。今後の動きに期待したいです。

課題2 保護者負担はどうなる?

 次に、保護者の負担軽減の部分です。今回、プレディプラスとして新たな枠組みが検討される中で期待されていたのは既存のルールが多少改善されるのではないかという点でした。

 しかしながら、この点について基本的なルールは変わりませんでした。プレディプラスという名の下に何か新しい仕組みができるというわけではなく、その配下に学童クラブとプレディがぶら下がるという形式。そして、それぞれの運営もそのまま。学童クラブの父母会運営、プレディでのおやつの会といったようなベースの制度はそのままです。

 もっとも、保護者負担軽減というのは区としても把握していて、いくつか改善が行われているのは嬉しいポイント。

・保護者連絡ツールの導入(これまで紙でのやり取りだった連絡のアプリ化。また入退室管理も)
・長期休暇時の弁当宅配対応(現状NGであるプレディでの弁当宅配への対応)
・保険加入の手続き代行(保護者の代表によって行われていた保険加入を事業者が行うように)

 また、今後のプレディプラスでは「運営委員会」という組織が設置されることになってます。これは「運営事業者、学校、保護者、地域団体等から構成」され、詳細は不明であるものの、事業の実施状況や運営についての意見交換を行う場となってます。このような協議の場を設けることで、負担軽減など運営に対する改善が行われることを期待します(改善意欲のブレーキになりはしないかとちょっと心配)。

課題3 運営は大丈夫?

 3つ目はプレディプラスでの運営の話。プレディプラスは小学校内で行われるということをこれまで書いてきましたが、実際の場所としては既存のプレディが行われているプレディルームで行われます。

 そこには元々のプレディ枠の子どもたちがいますので、その子たちと学童クラブ枠の子どもが基本的に同じように活動をする、というのが想定されている運営なんですね。


 しかしながら、先ほどのとおりそれぞれの制度がそのままというところで、学童とプレディ、運用が違う部分はどのように運営されるのか、トラブルなどは大丈夫かという点を懸念しています。

 個人的に、その1番の懸念はおやつ提供。学童クラブとしてのおやつはほぼ全員対象で15時頃。プレディとしてのおやつは延長利用希望者のみで、17時以降に提供。

 直近の議会でわたしが質問したのはまさにこの部分でした。異なる運用を行う2つの事業を一体的に無理に行おうとすると子どもたちが混乱する上、それを運営する事業者も大変なのではないか(だからこそ、おやつについては学童ルールに合わせるべき)ということです。

 しかしながら、答弁としては「事業者側との調整中でこの点についての懸念は出てきてない」というのもの。すでに経験のある運営事業者はこう言ってるそうですが、本当に問題ないのかだいぶこれは心配です。

課題4 当面の待機児童、どうなる?

 最後に、待機児童について。これは元々想定してなかったのですがこの記事を書いてて気付いた点。全体として定員数は増えてて「やっと待機児童も減る見込みが立ちそう!」と安堵してたのですが、数字を並べてみると既存の学童は減ってるのでした。

(2023/11/27追記)
担当部署に確認しまして、申込時点ではあくまで面積基準に対する定員とするとのことでした。一方、申込の状況次第で昨年度同様に"登録定数"として枠を増やすとのことでした なお、昨年度の申込のときも同様の記載だったとのことです。この点は前回の募集案内が手元になく確認できておりませんでした。申し訳ありません。

定員の推移(2018-2024)既存学童が減ってる

 全体の推移を新規と既存でグラフ化したのがこちら。トータルでは増えてるけど、赤部分の「既存学童」分の定員は減ってるのです。

トータルでは増えているが、既存学童は減っている

 寝耳に水で経緯も聞いてないので担当部署に確認しますが、これまで面積に対して本来設定できる定員をムリに増やすといった運用をやっててそれを元に戻したというのが直接的な理由のようです。

 新設の小学校学童ができる場所については全体として定員は増える見込みなのでプラマイゼロかもですが、問題は新設学童がなくてかつ元々競争が激しいエリア

 こちらは2023年4月時点での内定者と未決定者のグラフ。「未決定者」は、その学童クラブを希望したけど入れなかった数。

 これと今回の新設学童を見ると、特に日本橋エリアの堀留町と浜町がさらに激化することは間違いないのではと危惧しているところ。さっそく悲痛の声をいただきました。さらに、勝どきも。この点は改善の余地はないのか、動いてみます。

最後に

 今回は、プレディプラスとはナニモノなのかという解説と、今後の展開、さらに現時点での懸念事項などについて書いてきました。

 念願の新設学童!定員枠の大幅増!ということで歓迎しているものの、懸念の箇所に書いた通りいくつか運用面での問題がある他、既存学童の定員が減るということで待機児童の減少という面でどこまで寄与するかもちょっと不安なところ。また、今後の展開として特認校への設置も期待したいです。

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