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本の歴史は、印刷の歴史: コピー研究会Week8

「コピー研究会」をはじめました。コピー・本のタイトル・見出しなどを見たり、書店やコンビニに入ったときの、「心の動き研究会」です。

ベストセラー研究をした。
やり出すと細かいので、巻物やグーテンベルクにまで遡ってしまった。

おもしろかったのは、本が商業化されたことにより、500年前にも「知」や「記録」ではなく「売れる」を目的とした本が出てきていたことだ。

「商業的本」の源泉は、500年前にまで遡る。

1511年:ウィンキン『愉快な質問』(なぞなぞ本)。
歯周や学校の教科書、ロマンス、医学書、良い生活を送るための手引き書など、安定して売れる本を出すことで商業的成功を求めた。ウィンキンの出版物は知的水準からいえばかならずしも高くなかったが、ビジネスセンスは秀逸だった。

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「賢く」なくても、売れる本。「売れる本が良い本ではない」と、ときどき言いたくもなるけど、おもしろくなってきた。

本の歴史は記録の歴史、紙の歴史、印刷の歴史

そうこうしているうちに、「本の歴史」にまで遡ってしまった。

ざっとたどると、2万年前には人々は記録や伝達のために文字や絵を使っており、5千年前には巻物が誕生。約2千年前には図書館も、表紙のついた本も生まれている。

そう、紙も製本も、「文字」を保存するために欠かせない「技術」だったのだ。

1200年前に印刷物が登場し、本が「商業化」するのは、500年前のグーテンベルクの大量印刷の発明以降だ。

古い方からたどるとこんな感じ。

記録の歴史

・2万年前:洞窟壁画
・1万年前(前8000年頃〜):楔形文字(粘土板。印もつけやすく、手に入りやすいが、重かった)

紙の歴史

・5千年前(前2900年頃〜):スゲの一種(パピルス)が巻物の書写材として使われた。(エジプトの乾燥した気候は保管に好都合だった)
・3千400年前(前1400年頃):中国では亀の甲らが占いに使われていた

物語の歴史

・約3千年前(前700年頃):ホメロスの叙事詩(『イリアス』『オデュッセイア』)
・前500年頃(orもっと前):イソップ寓話が伝わっていた。

図書館の歴史

・前300年:ギリシャでアレクサンドリアに大図書館が建てられた(パピルスの巻物の蔵書が増え、図書館の在庫管理の必要性が高まる。すでに「情報過多」に。)

製紙・製本の歴史
・105年:中国で紙が使われ始める
・200年頃:パーチメント(羊皮紙)が開発される。表紙のついたコデックス(折丁)という製法が誕生
・700年頃:中国から韓国に製紙技術が伝わった。最古の印刷物は韓国の陀羅尼。
750年頃:日本に製紙技術が伝わった(今とほとんど変わらない)

ここから、大量印刷・商業化までにはぐっと700年ほど時計を早送りする。日本では『古事記』の編纂や『源氏物語』がこの間にうまれている。

大量印刷・商業化の歴史

・1454年:グーテンベルクの42行聖書(各行42行)が、フランクフルトの見本市でまたたくまに完売
・1493年:『ニュルンベルク年代史』が出資を受けてつくられた。2000部が印刷される。

まとめ

「本の歴史」と一口に言っても、本の歴史は「記録」「伝承」の歴史であり、「文字」の歴史であり、「紙」の歴史であり、「印刷」の歴史だ。

「物語」の歴史であり、「ビジネス書」の歴史であり、「ベストセラー」の歴史だ。

5千年前から巻物はあるし、図書館もあった。知の蓄積により、学問は「巨人の肩に乗る」ことができてきたし、物語は形を変えて子どもたちが世の中のルールを見出す手助けをしてきた。

それでも本が商業化されはじめたのは500年前からと、ビジネスの歴史を考えると意外と最近だった。「本の寿命は、本が神聖なものという幻想が終わるまで」みたいな話がよく編集部で出るのだけど、「読み手」が「消費者」となってから500年と思うと少し心許ないような気がした次第です。


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