昨日、5月10日にジャイアンツの内海哲也が
今シーズン初勝利を飾った。
勝ちがついたのは306日ぶりのことだった。

2011年には中日・吉見一起と並んで18勝で最多勝。
2012年の日本シリーズではMVPを獲った選手だ。
でもここ数年は、一軍で思うような成績を残せず、
二軍を温めていた。
内海は親しみやすいキャラクターだけに
ファンからのツッコミもややキツい。

私がジャイアンツの試合の生観戦を
本格的にスタートしたのは2007年。
2006年あたりから、
東京ドームに足を運ぶようになっていた。
お目当ては、上原浩治だった。

観客は試合の2時間前から球場に入ることができる。
今では禁止されているが、
当時はライトからレフトまでビッシリと
ジャイアンツファンが選手にサインをしてもらおうと
マジック付きの自分のユニフォームを
ハンガーにかけて上から吊るしておねだりをしていた。
選手も練習中なのに、
そこら中にユニフォームがぶら下がっているのだから
気が散るったらありゃしない。

私の好きな上原は
大人のファンにはサインしないと決めていて
子供のユニフォームに限定してサインしていた。
他のベテラン選手は、
ユニフォームなど目に入っても
見向きもしなかった。

要は「ジャイアンツの選手はツンデレ」で
まったくファンサービスをしなかった。

そんな時でも、内海はサインをしまくっていた。
1つのユニフォームにサインすると、他のファンが嫉妬する。
空気を察して、時間があればできるだけ
レフトからライトまでサインをしていた。
そんな選手は内海ただ一人だ。

彼は
なんでジャイアンツの選手ってファンサービスをしないのだろう？
なんでツンデレなんだろう？
とずっと思っていたはずだ。
納得いかない先輩の振る舞いを真似せず、
一人黙々とサインしていた。

人から憧れられるプロ野球選手は
きちんとファンサービスすべきだというのが
若手の頃から内海の中にきちんとあって、
ずっとそれを実践してきた。

ジャイアンツの投手陣が当時、派閥ごとに割れていたのは有名で、
先輩後輩の垣根がないように
内海が潤滑油となって、和気藹々とした投手チームになっていったのは有名だ。
今回、メジャーでなかなか球団が決まらず
古巣に緊急入団した上原に
10年ぶりとなるジャイアンツ球団内の案内を買って出たのも内海だ。

昨年、2017年は2勝7敗。もうとにかく結果が欲しい。
昨日の内海は
緊張したり感極まったりしているのが
観ているファンにもわかるような投球だったし、
とにかく丁寧に丁寧に投げなきゃという
本人の意図が痛いほど伝わってきた。
一塁はずっと代打で出場していた
元女房役の阿部慎之助。
ライトは亀井。センターは長野。ショート坂本。
2012年の日本一のメンバーをスタメンに入れた。
リリーフも内海が面倒を見ていた後輩の澤村、宮國、
先輩の上原と、ゆかりのあるメンバーが投げた。

内海に勝たせてやりたいなあ。
そんな空気がヒシヒシと伝わる試合だった。
ファンも前日に内海登板と知って、
慌ててチケットを買った人もいた。私もその一人だ。

内海の球は阪神の打者3巡目で高くなり、捕まり出したが、
とにもかくにも一勝した。
実際立ち上がりから5回まではとても状態が良く
昔は投げていなかったはずのフォーク、
代名詞のスライダー、チェンジアップが冴えており、
緩急自在のピッチングをしていた。
そして、小林のリードを見て、
内海はストライクゾーン内で勝負できる
コントロールのいいピッチャーだということも
思い出した。

内海と慎之助の呼吸の合ったかつてのバッテリーに
見慣れていたので、
小林のリードを見ていてふと思ったのは
「小林のリードは、投手そのままの実力どおりに見せるリードで、
打者が見慣れればやがて投手が捕まるリード、
一方、慎之助のリードは、投手の実力以上に
打者が投手の可能性を感じるリード」
だということだ。

小林はストライクゾーン内で要求をし、
慎之助はボール球を有効に使って、ストライクゾーンを広く見せる。
小林のリードを見ていて、
「内海のストライクゾーンはもっと広い。
もっと広く使える！こんなんじゃない！」
と心の中で叫んでいた。

あれ？これはなんの文章だっけ？
あ、内海か。小林のリードについてじゃなかった（笑）。

とにかく内海、一勝おめでとう！
そして、小林。もしかしたら大城もマスクを被るかもしれないから、大城も！宇佐見も！田中貴也も！
先輩のポテンシャルをもっと広げるような
リードをお願いします！！！
今更、慎之助、やっぱりマスク被って！なんて、
野暮なこと言わないから（笑）。

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