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検証 女人国

古代中国の最古の地理書「山海経」によれば、西方に巫咸国があり、その北に女人だけの国があったという。

水に囲まれて二人の女子が住んでいる。黄池という池で水浴びすると子を宿す。男児はすぐ死に、女しか成長しない。

「三国志東夷伝」では、東の海に男がおらず、女子のみが暮らす島国があるとされる。
類本である「三才図会」でも東南の海上に女性だけで構成される島の存在が記される。

ギリシャ神話では、オリオンは海神ポセイドンと女人国アマゾンの女王エウリュアレーの子とされる。

また、朝鮮建国神話、新羅第四代国王の脱解の出自として、倭国の東北一千里の多婆那国の国王と女人国の女との間に生まれたとされる。

山海経では、西に、その他は東にあるとされている。

まず、山海経から考察していく。
巫咸国について調べると、
巫咸は神に使える巫師の集団の頂点に立つ者を指す。

巫師でもあった殷の太戊の時代に、勢力を持ったとされる。
巫師は右手に青い蛇、左手に赤い蛇を持っていた。
巫咸はじめ10の巫師達が数多くの薬草を求めて登頂する「登葆山」という山があったそうだ。

さて、巫師の持つ蛇は、杖を象徴していると思う。
赤い杖は鉄の杖、青い杖は銅の杖であろう。
杖は知恵の杖である。長さや角度を測り、草を払い薬草を分ける。中国神話に登場する神農の赤い鞭を彷彿とさせる。

神農は農業と医学の神とされ、
伝説によると神農は、木材をつかって農具をつくり、土地を耕作して五穀の種をまき、農耕をすることを人々に伝えた。また、薬となる植物の効用を知らせたとされる。そのために薬草と毒草を見極めようと神農はまず赤い鞭(赭鞭)で百草(たくさんの植物)を払い、それを嘗めて薬効や毒性の有無を検証したという。

飛躍と思われるだろうが、神農の赤い鞭は草薙の剣に通じていると思う。
草薙の剣は草を薙ぎ払う剣である。
さらに、石上神宮に祀られる「七支剣」にも通じていないだろうか。
七支剣は北斗七星を配置して作られた剣で、十手のような形をしている。

巫師達が薬草を求めて登頂する「登葆山」は、おそらく立山。海からの道標である立山が北斗七星そのものと同一視されたであろうから。
立山に生息するとされる疫病退散の霊獣クタベ。
この伝説とも無関係ではないだろう。
富山の売薬は、実は遥か古代にそのルーツがあった。

古代、世界は二重都市構造であったのだろう。
女性だけの国は神の国、男性も暮らす国は商都。
京都と大阪の関係の国際版。

倭国に女人国があり、その南に巫咸国。さらに巫咸国の経済圏の中国に世界的商都ができた。
それが殷。

巫咸国が西とされたのは、この概念上の混同だろう。
つまり、倭国に本来の巫咸国があり、それが立山ならば、その北は、信州長野である。長野大町は、神都であったからこそ、珍しい秘宝が発掘されている。

これは、朝鮮建国神話の女人国に一致しないだろうか。
さて、オリオンである。
オリオン座の三ツ星は、東の指標である。

西洋からみて海の向こうの真東から登るオリオン座。
東に、女人国アマゾンがあるといえよう。

さて、山海経の女人は黄池で子を宿す。
黄池とは何か。
おそらく温泉。硫黄の泉。
古来、旅人は温泉場に宿を取り、疲れを癒した。
女人はここで旅人をもてなし、子種をもらう。
温泉街が色街になるルーツがここにある気がする。

女人国は確かに存在した。
現代人が想像するより遥かに広い範囲で交流しており、その中心に女人国があった。

縄文時代の竪穴式住居は
10畳ほどの広さで、3〜5人が生活していたとされている。ただし、ひと家族が3〜5人というわけではなく、集落は「男性の家」「女性の家」「若者の家」の3軒で構成されていた。

この家作りの思想がそのまま世界規模で行われたのではなかろうか。

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