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時を知らせる人 彦、姫

古事記では、
彦は比古、毘古、日子
姫は比売、毘売、日売
書き分けられている。
つまり、同一のモノとしてはいけない。

比は、
匕と匕に従い右向きの人が二人相並ぶ形。
左向きの人が前後に並ぶ形は从にして、従の初文。
つまり右向きに意味がある。
右向きと簡単に言うが、どこに対して右向きなのか。
重要なのは、どこを基準としているか、である。
北極星が不動の星である限り、中心は北。その右は東。
つまり、東=右向きとなる。
さて、匕であるが、右向きの人以外に、匙、小刀の象形でもある。
比は、2本の匙(はかり)が東にある事を示す。
匙は何を測るのか。

この答えの助けになるのが
毘である。
分解すると、田と比である。
つまり農耕の匙を意味する。
季節を知らせる匙。
匙は測る道具。
農耕の季節を東の空に刻む。
雨が降る時期を教える。

エジプトでは日の出前に見える星をヒライアカルライジングといい、時間を知る道具としていた。
シリウスが昇る時は、ナイル川が氾濫する時を知らせた。
昴が昇る時は、春分の頃
蠍座が昇る時は、秋分の頃。
水の時期を教えるのが毘。
古はその計算方法である。
天体家はこれを秘匿の技術として算出した。
匙が二本の内の一つは明けの三日月を指すためだろう。


対する比も時を知らせる匙だが
田無しの比、雨に比重のない匙。
夜明け前に東の空に座する水星と明けの三日月。
何の時を知らせるのか。
明けの三日月は翌日朔になる日、月の終わり。
水星は、内合後に東の空に昇る。
水星は太陽に近い場所にあるため、見える期間が極めて少ない上に、見える場所は水平線ギリギリとなる。
水星と地球は116日で会合する。
朝に見える期間は、20日間ほどが年3回。
風の向きが変化する時がわかった。

ポイントは、どちらも水平線ギリギリの場所。
この観測が出来るのは、東が開けた海上、島。
もしくは高い山頂。
山に囲まれた場所では観測できない。
島では潮位、波の様子をみる手掛かりとなっただろう。
朔日は大潮の日である。
風は移動の時を知らせた。
海の民に必須の知識だった。

日子の日は、太陽でななく光、子は北を指す。
北の光である。
おそらく北斗七星であろう。
北斗七星は一晩中沈まず、時間、季節を教えてくれる。
柄の向きは建(尾指す)と言われ、月建は干支で示された。
子にあたるのは11月。
11月を元旦とする暦があった。

比古毘古は古い匙(時間の尺度)をいう。
さらにもう一つこの古い匙の尺度となる数式が、漏れないよう厳重に蓋をされている事を示す。秘術の天体観測方法である。
口は祝祷を収める器、干はその器を保護する。

では比売毘売日売とは?
この匙の見方を物語にして売り歩いた。
吟遊詩人とでもいおうか。
難しい星の見方をわかりやすく物語にし、歌にして覚えやすい形にした。
芸能の元祖になるのだろう。

ヒメ、ヒコはこのようにして誕生した。

太陽だけが空に君臨する訳ではない。
たくさんの光が照らしてくれている。
太陽という強力な光の元でかき消される無数の光。
それらの存在だけでも、暗闇を照らす灯火となる。

1年365日24時間というのは、決められたルールである。
だが、個々に時間の感覚は違う。
何時までに、何歳までにと時間に縛られて生活するのはもう古い。

いつだって基準、ルールに合わせて生きている。
でも基準が一つしかないのはおかしい。

根本的に何故、現在使う時間のルールが必要となったか見直す時期がきている。

この毘古比古日子の話も、その一助になればと思う。







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