中国神話の大洪水の真実

世界各地に残る大洪水伝説。
中国神話において人類を生み出したと言われる女媧と伏羲もまた、大洪水を瓢箪の舟で乗り切り、天地を修復したと言う。

古の時、天を支える四極の柱が傾いて、世界が裂けた。天は上空からズレてしまい、大地は割れ、すべてを載せたままでいられなくなった。火災や洪水が止まず、猛獣どもが人を襲い食う破滅的な状態となった。女媧は、五色の石を錬(ね)りそれをつかって天を補修し(錬石補天)、大亀の足で四柱に代え、黒竜の体で土地を修復し、芦草の灰で洪水を抑えたとある。

これらの物語は何を示しているのか。

地球の歳差運動による極のズレである。

見えていた(観測していた)空の景色が変わった。
真北を常に示していてくれる北極星は、地球の歳差運動により、約2000年毎に移動し、25800年をかけて一巡する。

遥か昔から、天体観測を生業とする一族がいたのだと思う。

昔のまま、空を見ていては、方角が狂ってしまった。
また、流星群の出現は星の観測の妨げになり、その予測も必要になった。

天体観測は、文明、権威者の出現などの諸事情が絡んで飛躍的進歩を遂げる時期が近づいていた。

歳差による極のズレは、天空の星の位置を変えた。
春分点もズレていった。
天空は火災、洪水に見舞われたー大混乱が生じた。

このズレを瓢箪の舟で乗り切るとは何を意味するのか。
瓢箪は、かつて柄杓ともいわれたという。
水を汲む道具である。
つまり北斗七星の柄杓を用いて、この混乱の時期を乗り切った。
北斗七星は遥か古代より季節や時間を知る指針として利用されていた。
歳差による影響とは独立していた。

五色の石を練り天を補修したとあるが、これは五つの惑星を選定したものと思われる。
例えばギリシャでは五つの惑星の名は、色と光で呼んでいたと言う。
木星、火星、土星、金星、水星。
惑星を観測する事で暦を補正した。
さらに大亀の足とは、春分秋分夏至冬至。
暦作りにおいて必須の要素。
黒竜の体は、光を遮断できる長い穴。
芦原の灰は、ガラスの製造。
約2000 年前、古代ローマの哲学者・セネカが「水晶玉で文字が拡大して見える」と記録したのが、レンズの事始めとされているが、ガラスの製造はメソポタミア文明において既に記録されている。
つまり、簡易望遠鏡が作られた。
深い穴から、レンズ越しに天を見上げれば、昼でも星の観測は可能になった。

女媧はさらなる発明をした。
(しょうこう)というリード楽器の発明者であるともされる。
だが、文字通りに楽器と考えてはいけない。
女媧は風姓。
風と関係がある。

リード楽器は、吹く楽器である。
つまり、風の吹く方角から天候を予測した。
風水の祖といえる。

このような科学の発展が加速する要因となったのは
女媧の姿を見れば分かるが、蛇ー縄にある。
縄から発生した数学、とも言い換えられる。

また、女媧は伏羲と絡み合う。
これは、金星がモチーフであろう。
西王母と東王父もまた同一の事象を示していると思う。
東の明けの明星、西の宵の明星、二つは同一の星であるが別々の場所に出現する。
また面白い事に、西の宵の明星の方が重要視されている。
それは、金星の太陽面通過現象と無関係ではないだろう。

金星は八年周期で黄道上に五芒星を描く。

金星ー五芒星の一族は、遥か古代より、見えない所で歴史と星の物語を作ってきた。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?