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映画やMVから見る、台湾のお葬式や人を想うこと

今日の深夜に、ようやくNetflixでも公開中の台湾映画『弱くて強い女たち』(原題:『孤味』)を鑑賞しました。この映画は、ビビアン・スーが出演とエグゼクティブプロデューサーを務めています。エンドソングも彼女の曲です。

この作品、人生の機微というか、温かさや潔さなども感じられます。家族のことや、いろいろな形の愛が何層に重ねたような映画です。
物語のあらすじは、以下のようなものですね。

屋台からスタートし、いまは店を構えている女主人の70歳の誕生日に、消息不明だった夫の死亡連絡が来る。葬儀のために集まった、娘3人と母親である女主人。夫の死をキッカケに封印されていた家族や夫婦の秘密、そして娘たちや母親の抱える問題などが明らかになりながらも、家族としての繋がりや想いが交差する…。

映画から、台湾の風習などが垣間見えるのも興味深かったです。
物語は、夫の死がキッカケで進むので、お葬式やそれに関連する風習のシーンが度々登場します。それを観ていて、"そういえば台湾アーティストのMVってお葬式を扱っているものがいくつかあったな” と思いました。

「Candlelight feat. OHHYUK」 Sunset Rollercoaster 落日飛車
シティポップからAOR寄りな雰囲気が魅力的なバンド、Sunset Rollercoaster落日飛車。メロウな感じで聴いていてとても心地がよく、肌に溶け込んで染み渡るような音楽が、私とても好きです。
この曲は、韓国人シンガーのOHHYUKをフィーチャーしています。お葬式のシーンが、韓国なのか、台湾なのかが、現段階で私は分っていないのですが、初めてMVを観た時にとても驚きました。(分からなくてすみません。)

魏如萱 waa wei「彼個所在 Heaven」
台湾のシンガーソングライターであり、女優や作家、ラジオDJと多岐に亘る活躍をする女性、魏如萱 waa wei。この作品もお葬式のシーンから始まり、この女性の立場や誰の葬儀なのか?などが映像が進んでいくと分かるようになっています。

台湾アーティストのMVは物語性があるものが多いので、お葬式など人生の中で重要な "別れ"をテーマにしているものが登場するのも当然なのかもしれません。また、お葬式ではないですが、もう既にこの世にはいない人のことを想っているのだなと、次第に分かり泣けてくるMVもあります。

「紅 LOVE」告五人 Accusefive
告五人 Accusefiveは、台湾の3ピースバンドで、奏でる音楽の幅が広い。ポップで可愛い感じのものから、打ち込みも入れたクールなロック、そしてこの曲のようなバラードまで。これも、次第になぜ、主人公の女性がこんなことをしているのか?などが分かり泣けてくる作品です。

「浪子回頭 Back Here Again」茄子蛋EggPlantEgg
オルタナティブロックバンド、茄子蛋EggPlantEgg。彼らの骨太な楽曲がとても好きです。この曲は、中国語ではなく台湾語で歌われています。こちらもMVを観ていると次第に、いろんなことが分かってきて、涙を誘います。MVでカラオケ歌っている男性は、俳優の呉朋奉さん。台湾でも有名な方ですが、残念ながら昨年にお亡くなりになりました。

さて、映画『弱くて強い女たち』に話を戻しますと、劇中でお葬式をしないまま、何日も経過しているのを不思議に思っていました。調べてみると、台湾のお葬式は、宗教や地域などでも違いがあるとは思いますが、3日~1ヵ月ほどの期間があるようです。
お葬式までの間に、死者のために食事を用意していたり、まだ家にいるかのような扱いをしているシーンがあります。それがなんとなく日本人にも理解できるというか、共感できて興味深かったです。

日本のMVでお葬式シーンを目にすることはあまり無いし、最近は映画のようなMVを観ることも少なく感じています。ただ、映画に関しては、お葬式を題材にしていたり、そういうシーンを目にする機会はあることを考えると、お葬式や人のと永遠の別れをテーマに撮影した台湾のMVは、映画のようなストーリー性を大切にして制作するという意識があるのかなと思います。そもそも、Youtubeのページ内や作品そのものにも、クレジットを明記していところも、映画のようなんですよね。

日本と台湾の共通点などを見つけるのも面白いですが、違いを見つけることも面白いなと思っています。

映画『弱くて強い女たち』(原題:『孤味』)は、現在Netflixで公開しています。

今日、紹介したアーティストは記事にも書いていますので、興味がある方は、読んで頂けると嬉しいです。


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