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水晶の購入時の注意点

『水晶て占い師が使ってるアレ?』
『パワーストーンshopで売ってるね』
『ハンドメイドで使う透明な石かな』
『数珠にもあるよね水晶って』
『水晶てお守りだっけ?』
と、水晶は天然石のなかでも多くの方々がわりと思い出しやすい鉱物なのではないでしょうか。
世界各地いたるところで鉱山から発掘されますし、「透明でキラキラしてる」と何気なく拾って帰り持っていたらガラスが丸くなったモノではなく水晶だった!ということもあります。
しかし、アウトドアのお出掛け先で偶然拾ったキレイな品物は"良き思い出"としての意味を持ちますが、購入となると「キレイ」だけでは済まない時があります。
これは『硝子』なのか『プラスチック』なのか『水晶』なのか判らなければ『水晶12mmの数珠』をお得に購入したつもりが『ただの硝子だった』ということもありますし、ハンドメイド作家にとっては仕入れ時に気をつけなければお客様に嘘の商品を売りつけたことになってしまい、トラブルとなるかもしれません。
事前に問題を回避するためにも、今回は【できるだけ間違った買い物をしないために気をつけるべきこと】を書いていきます。
そのためにはまず先に、水晶とはなんであるか、からお話ししていきます。少し長くなりますがお付き合いいただければと思います。


水晶とは

鉱物としての水晶

水晶とは代表的な鉱物の一つであり、透明でないものを「石英」、無色透明なものを「水晶」と呼びます。二酸化ケイ素(SiO₂)を主成分とする鉱物で1~10まで分類分けされる石の硬さの基準『モース硬度』のなかで7番目に位置しており、工芸品として削ったり彫るなどして形を加工し製品としやすい石です。主な原産国はブラジル、マダガスカル、アメリカなど世界中です。
比重は2.65で結晶系は六方晶系(三方晶系)です。

天然石として

天然石としての水晶は誰が持っても問題のない扱いやすい石であり、カッティングや形、彫りこまれたデザイン画によって持ち主へ与えるエネルギーの性質を変えたり、他の石と組み合わせた時にその石のエネルギーを高めたりします。持ち主の思いをとても吸収しやすい石とされています。
また、浄化力が非常に高く、自己成長を促し高い開運効果を持つ石とされており、万能な石だと考えている人も少なくないです。
水晶系の天然石の種類もかなり多く、ルチルクォーツやアメジスト、ローズクォーツなどがあげられますが、ここでは透明で不純物のない一般的に「水晶」と呼ばれる石についてのみのお話とさせていただきます。

10mmの天然水晶鑑別済み


加工技術の進歩

前述のとおり「水晶」は鉱物です。地中深くや山中の鉱山からクラスター状の塊で産出され、それらを洗浄、位置厳選、加工、研磨と数々の工程を経てから、みなさんの眼前に商品として並べられています。
多くの水晶取り扱い店舗は産出した現地の信頼できる人材や発掘業者と直接契約や取引を行い、確実に自然由来の天然の石と証明できる商品として揃えます。
しかしながら自然資源には限りがありますし、過去に「貴石」と呼ばれる高ランクの宝石となる原石の発掘に力を入れていたこともあり、状態の良いまま水晶原石を掘り起こすという作業をしてこなかったため「高品質の天然石水晶」として扱えるものには限りがあるのが現状です。特に占いなどや自宅の厄よけなどで取り扱われる水晶玉は大きければ大きいほど手に入りずらくなっています。
天然石は宝石としての分類上は価値は低い方ですが、しかしながらその美しさと手に入りやすい価格帯から注目を浴びるようになり、古来のお守りという位置から準アクセサリーとしての需要が高まった鉱物類たちといえるでしょう。

※天然由来の形成に心を奪われた人たちのなかには加工品ではなく原石を集めることの方が好きな人もいます。

資源は限られているが市場において需要がある。そこに商品的価値を見いだし「人工的に石を作り」販売することがあってもなんら不思議でも、おかしくもないのです。ダイヤモンドですら人工的に作り出せる世の中となったのですから。


クラック水晶

水晶における加工品とは

加工された水晶の商品に「人工クラック水晶」があります、これは「人工的にヒビをいれた水晶」のことで、わざと水晶のなかにヒビ割れを入れたものです。
水晶を高温に熱しておいて、熱い状態のまま冷水に漬けると急激な温度差によって水晶内部にヒビが生じるのです。
もちろん大自然のなかで水晶が生成される際にヒビがはいる天然のクラック水晶もきちんと存在します。
古来から現代に至るまでの大自然の中で生成過程にヒビが生じたクラック水晶はヒビによって光の屈折が変化して多数の色が見られたりします。
こうした綺麗な色の変化を出す水晶は「レインボー水晶」などと呼ばれたりします。「レインボー水晶」は濁りやヒビのない水晶よりも高値で取引されたりします。
他にはシトリンやローズクォーツなどの水晶系の天然石における、加熱処理や染色などがありますが、これらにつきましては別のところで語りたいと思います。水晶クラスターも人工的に作られたものも存在しますが割愛いたします。

いちばん驚くべきことは加工品と述べることすら怪しい「プラスチック製品」を水晶とうたって販売している場合もあることです。
次の項目ではどうやって天然の「水晶」を見分けて購入すれば良いのかを話していきます。


見分けかた

水晶は最初に書きましたが、二酸化ケイ素で構成された、劈開<※1>六方晶系(三方晶系)の石です。実物を見て購入できる場合、水晶は石ですのでプラスチック類とはまず重さが違います。持てば確実にわかります。また熱伝導率も違います。水晶は人の熱がゆっくりと伝わっていきますので、触れていてすぐに温くなるモノは水晶とは違う素材である可能性があります。
ただし小粒で熱の伝わり方がわかりにくい場合は別の方法で判別します。

その判別方法とはガラス玉か水晶かを見分ける方法としても使われます。
何も特別な機材は必要ありません。黒糸1本、手もとになければ髪の毛1本あればできます。この糸か髪の毛1本を調べたい玉の下に置いて上から見るだけです。線が1本通っているならば、それは水晶です。しかし、ブレて2本に見えるようであればガラスということになります。

ただし、この方法でも判断できないモノがあります。それは天然の水晶と人工的に作られた水晶「溶錬水晶」の違いです。
ハッキリ言って肉眼と個人の機材環境では無理です。天然と人工の違いはしかるべき専門機関にお金を支払って調べてもらうしか区別することはできません。石のなかの結晶構造を見なければ、違いがわからないからです。
なぜなら人工の水晶は二酸化ケイ素を自然発生と同じ工程を踏んで作られるため、糸や髪の毛を置いての見た目の判断では違いが見られないからです。

天然水晶と同じ条件をトレースしてゆっくりと冷やされ作られていく人工の水晶。天然石が生まれる年月と比べれば絶対的に短い期間で水晶として形成されていますが、今よりもさらに加工技術力が発展していけば違いはほとんど見受けられなくなるのかもしれませんね。



※1  劈開(へきかい)
ナイフなどの刃物を鉱物にあて、表面をそぐ形で刃物を動かすとぱっと開くように割れる性質のこと


購入時に気をつけるべきこと

お店の信用度

上記で述べたとおり、水晶は天然石と人工石を肉眼で見分けることはできません。ではどうすれば天然水晶を安心して手にいれることができるのかというと『購入するお店を厳選』します。天然石において「信用」「顧客への意識」「天然石取り扱いのプロ意識」がしっかりしているお店は開業年数と実績、仕入れについてや提携業者、研磨もおこなっていればその方法や過程などしっかりと情報開示して販売しています。最初は各店舗から購入するなどしなければ判断できない部分(店の得意な仕入れ分野など)もありますが、水晶にたいしてきちんと内容が明記されている、鑑別についてどこに頼みどのようにしているかを公表しているお店から仕入れるのが、天然水晶の品質については安心できるでしょう。
また透明な水晶の方が商品としては市場人気があるのですが、天然石にこだわるのであれば「サシ入り水晶」を選ぶのも良いでしょう。「サシ入り水晶」とは水晶の中に気泡が混じっているものです。人工で水晶を加工するとクラック水晶となってしまうため、少量の気泡が入っている「サシ入り水晶」は天然ものとしてわかりやすく、初心者には扱いやすい水晶です。
筆者は透明な方より、実はサシ入りや虹が入ってる方が個人的に「鉱物!自然!!」という感じがして好きです。

サシ入り水晶


仕入れ時に見るべきところ

天然水晶を購入する際は鑑別済みかどうかを必ず確認してください。ランクAAや5Aと表記されているものもありますが、それはお店において長年の経験年数や仕入れによる判断基準でランクがつけられている場合があるので、同一商品であっても店によってはランクが違ったりします。

見た目の良さだけでいうなら、人工水晶も問題なくしっかりした重さがあり美しい石です。
天然石由来の意味や効果を追求するのではなく、宝石としての価値でもなく、オシャレとしての追求であれば販売時にしっかりとそのことを明記して取り扱うと良いでしょう。
『天然水晶だと思っていたのに!』とのちのち顧客とのトラブルにならないためにも仕入れの際にはきちんと確認をおこない、保管管理をしっかりとしましょう。


浄化チップ(水晶)の場合

よく販売されている天然石商品の明記に『水晶チップにより浄化済み』と書かれているものがあります。
水晶は天然石のなかでもクセがなく何にでも利用することができ、悪いものを浄化することに秀でている石とされています。お客様のお手もとに届く前に、製作に関わった関係者各種の何かしらのエネルギーが商品に影響を与えていないか気になる方への配慮です。
験担ぎ、願掛け、自分だけのお守り、と考えるならば気になる方がいらっしゃるのも無理のないことです。
そこで活躍するのが「水晶の浄化チップ」です。これは発掘の際に細かく砕けてしまい、珠やクラスター水晶の置物、ペンダントトップなどの商品にはなれない水晶が利用されています。砕けた細かい水晶は原石そのままだと尖っていますし、かなり硬めの石なので他の柔らかい石と一緒にしてしまうと傷つけてしまい浄化云々の話ではなくなってしまいます。そこで端々を丸く加工して浄化に適したチップとして販売し、天然石取り扱い店舗や個人で天然石をお持ちの方にたいして、天然石を置く場所を作るアイテムの1つとして販売しているのです。
購入に関しては上記と同様に信頼のおける店舗からが望ましいです。

浄化チップ(ヒマラヤ水晶)

結論として

結局のところ鉱物の鑑定が関わってくるため、目利きのいる仕入れをおこなっている店舗、もしくは取り扱いをきちんと明記しているお店で、その上でしっかりと鑑別をかけているという内容が書かれている水晶を購入しましょう。

少し長く書きましたが、水晶購入時のあなたの参考に少しでもなれれば幸いです。あなたに楽しく素敵な天然石ライフがおとずれますように。


天然クラスター水晶(未加工品)

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