雪音

小説を書くV猫^._.^ まったりマイペースに活動します!

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最近の記事

初夢2024

決して足を止めるな。 走るのをやめてはならない。 誰が言ったかも分からない言葉通りに、 私は走り続けていた。 平坦な道を走り、坂をのぼり、 時には梯子も上り、元来た道を戻ることは しなかった。 私にできるのは、ただ前に向かって 走り続けることだけ。 理由は分からない。 それでも、止まってはいけない気がした。 立ち止まったら、私は私である意味を 無くしてしまう。 漠然とそんな気がした。 誰かに追われているわけでも、 敵がいる訳でもない。 とにかく走り続けていた。

    • 次の柄

      猫は、天国で次の柄を着せ替えるといいます。 もし、あの夢に出てきた真っ黒、 というより、黒い影だった奏らしき子猫。 我が家に来る前に、 次の柄を選び中だったのかもしれません。 20年生きてきて、猫と関わったのは 隣の家の茶トラ3匹だけでした。 強気なお母さんと、食いしん坊の長男、 ツンデレの次男の3匹。 次男は今もあの町を歩き回り 縄張りを守っていますが、 お母さん猫と長男猫は、わたしが小学生のときに 亡くなってしまいました。 それ以外では、 犬としか関わってきませんでし

      • 黒猫の紗夜(さよ)

        あたたかいベッド。 毎日出てくるごはん。 優しく撫でてくれる、大好きな手。 以前は当たり前に無かったものが、今では 当たり前に日常に存在する。 知らないうちに子猫が増えたし、 ずっと一緒にいたはずの猫はいつの間にか いなくなった。 あの日、冷たくなる白猫に精一杯声を 掛け続けた。 耳元で叫んでも、いつもなら大声で帰ってくる 返事がない。 分かってはいた。 外で暮らしていた時にも、何度も経験した、 別れだ。 この声にこたえることができないなら、彼女とは もう二度と会うこと

        • 今日見た夢

          私は戦っていた。 銃を持ち、自分よりも大きな蛇と。 蛇の牙には毒があるらしい。 仲間たちはあの毒牙にかからないよう必死に 避けながら戦っている。 今ここで、奴を倒さなければ。 この町の人々が危機に晒されてしまう。 私たちが奴を止めるのだ。 銃を持つ手が震える。 本当に倒せるのか。 この弾が尽きるのが先か、 私が奴の毒牙にかかるのが先か、 奴が倒れるのが先か。 弾は間違いなく当たっている。 だが奴には効いているように見えない。 「撃てー!!」 仲間の声が聞こえる。 仲間も

          不思議な夢

          ある日見た、不思議な夢。 いつものように、猫と遊んでいる夢だった。 けれど、その中の一匹の猫は、 見たことの無い姿をしていた。 黒いモヤがかかったような、姿形が はっきりしない存在。 わたしはその子を他の子と同じく、 愛おしそうに撫でているのだ。 不気味な姿のはっきりしない存在だけれど、 わたしはその子を「猫」だと認識した。 他の子たちよりも明らかに小さく、 生まれてからそんなに経っていない子猫。 どんな姿をしているかも分からないのに、 その子が可愛く見えてしょうがない。

          不思議な夢

          季節遅れの怖い話

          これは、わたしが今年の3月に体験した話です。 愛猫を失ったばかりで悲しみに明け暮れていた、 わたしたち一家。 彼女のために、彼女の死を受け入れ、 1歩踏み出そうと決めた夜のことです。 我が家には、失った愛猫の他に8匹の猫が います。 その中の、目がよく見えない2匹が、元気に 走り回っているのです。 それだけならば、いつもと変わらない 光景でした。 しかし、全速力で走っていた妹の黒猫が、 なにかにぶつかったかのように 足を止めたのです。 そこには、壁も、家具も、なにもありませ

          季節遅れの怖い話

          雪音の物語

           気が付くと、わたしはふかふかなベッドの  上にいた。  自分が誰なのか、ここがどこなのか、  何も分からない。  「お!ようやく起きた!」  「よく寝る新入りだね~」  「ほら、もう大丈夫よ」  それぞれ話しかけてくるのは、たくさんの、  色々な姿をした存在。  猫耳がついている人だったり、  角がついている人だったり、  浮いている人だったり。  人だったり、猫だったり、狐だったり…  わたしのまわりには、たくさんのひとがいた。  どうしてわたしは、ここにいるの?

          雪音の物語

          ある猫の話

          わたしは、生まれた時からひとりだった。  けれど、悲しくはなかった。  だって、ずっとひとりだったから。  生きていくには、ひとりの方が都合がいい。  守るべきものもいない。  自分の身さえ守って、 生きていける分のごはんにさえありつければ それで明日を生きていけるからだ。  何年生きたのかも分からない。  たまに人間はわたしにごはんをくれたし、 それなりに楽には 生きていけていたかもしれない。  気まぐれに散歩をしていたとき、窓から 悲しそうな顔をした女の子が見えた。

          ある猫の話

          とある少女の話

          ひとりぼっちの少女は、物語を作るのが 好きでした。  自分が作り出した物語の中で、たくさんの 世界を旅するのです。  物語の人物たちは、ひとりだった少女の唯一の ともだちでした。  少女はいつも、「ひとりになりたくない」と 願っていました。  そして、「広い世界を見たい」とも 願っていました。  物語の人物たちは、自分とは違いどこへでも 行ける。  少女は、物語の人物を通して広い世界を 夢見ていました。  ほんとうに物語の人物になれたら、広い世界を 見れるのに

          とある少女の話