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酒呑童子説話の研究

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酒呑童子の中世説話について考えることをとおして、見せかけのおおいをとりはらった人間の姿を知る。https://wisdommingle.com/category/research… もっと読む
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伊吹弥三郎の岩屋(播隆上人の風穴)の洞窟への道のり(ルート)と洞窟探検 in 伊吹山【鬼伊吹】

伊吹弥三郎の岩屋(播隆上人の風穴)という伊吹山の洞窟への道のり(ルート)と、その洞窟の内部を探検する様子を紹介します。伊吹弥三郎は、鬼伊吹と呼ばれたり、酒呑童子(伊吹童子)とも関係が深い存在です。 ▼くわしい解説記事 伊吹弥三郎の岩屋と井明神社 : 姉川を生き、妹川に没した、伊吹山の水竜鬼の生と死 https://wisdommingle.com/?p=30320 滋賀県と岐阜県の境界にそびえる伊吹山の周辺には、「鬼伊吹」と呼ばれた伊吹弥三郎という人物にまつわる伝承が、たくさん残されています。伊吹弥三郎は、酒呑童子と同じ性質をもった人物として描かれることがあったり、酒呑童子(伊吹童子)の父親であるとされることがあったりと、酒呑童子にも縁のある人物です。この記事では、その伊吹弥三郎が「生きた場所」と「死んだ場所」として、「伊吹弥三郎の岩屋」と、「井明神社」を紹介します。

能楽「翁」(おきな)の謡曲(脚本)(後半部分)

能楽「翁」の謡曲(脚本)(後半部分)〔前半部分省略〕 三番叟 「おおさい おおさい  喜びありや 喜びありや 喜びありや  この所より外へはやらじとぞおんもふ」 【「揉の段」の舞】 三番叟 「ああら めでたや  物に心得たる あどの大夫殿に ちょつと見参申さう」 面箱持 「ちやうど参つて候」 三番叟 「誰が お立ちにて候ふぞ」 面箱持 「あどと仰せ候ふほどに  それがし 随分物に心得たると存じ  おあどのために まかり立ちて候」 三番叟 「ほほう」 面箱持

鬼学会の会報誌が届きました!ぼくの投稿「鬼ヶ洞と鬼腰掛岩」も掲載されています

世界鬼学会の会報誌が届きました! 今回は、ぼくの投稿記事「鬼ヶ洞と鬼腰掛岩 : 酒呑童子と八瀬童子の祖先の鬼の旧跡 in 京都洛北八瀬 & 比叡山延暦寺」も掲載されています。 上記の投稿記事では、鬼ヶ洞(おにがほら)と呼ばれる洞窟と、鬼腰掛岩(おにのこしかけいわ)と呼ばれる岩について、それらの場所へ行くための道のりを、動画と地図で紹介しています。 これらの名所旧跡は、酒呑童子や、鬼童丸(鬼同丸)や、八瀬童子(やせどうじ)の祖先の鬼にゆかりのある場所です。これらは、洛北(京

Old Maps of Enryakuji Temple on Mt. Hiei, "Sanmon-Santō Sakamoto Sōezu" (1767)

What is Sanmon-Santō Sakamoto Sōezu?Sanmon-Santō Sakamoto Sōezu (Japanese: 山門三塔坂本惣絵図) is the two old maps (1st & 2nd volume) that shows the precincts of Enryakuji Temple (Japanese: 延暦寺, Hepburn: Enryakuji) on Mount Hiei (Japanese: 比叡山, Hepb

比叡山延暦寺の古地図『山門三塔坂本惣絵図』(1767年: 江戸時代中期)

『山門三塔坂本惣絵図』ってなに?『山門三塔坂本惣絵図』(さんもんさんとう さかもと そうえず)は、比叡山延暦寺の境内と坂本地区を描いた古地図です。成立年代は 1767年 [1][2](江戸時代中期)。作者不詳。第1鋪と第2鋪の2つの地図で構成されます [3]。 第1鋪の地図 第1鋪の地図には、比叡山延暦寺の横川地区(北塔地区)と、比叡山の東麓の坂本地区(現在の滋賀県大津市坂本)が描かれています。 第2鋪の地図 第2鋪の地図には、比叡山延暦寺の東塔地区と西塔地区が描かれ

地図を手に入れた!(o≧ω≦)O

鬼学会の会報誌が届きました!ぼくの投稿も掲載されています

世界鬼学会の会報誌が届きました! 今回は、ぼくの投稿「青き鬼の霊木と、比叡山の水神たる酒天童子」も掲載されています。 その投稿では、香取本『大江山絵詞』の絵巻物に記されている「酒天童子(酒呑童子)が変化した楠」を出発点として、それに関連する叡山開闢譚の霊木や、その守護者であった青鬼、そこからさらに、酒天童子の水神としての性質などについてお話しています。 その投稿は、下記のURLでも見ることができます。 「青き鬼の霊木と、比叡山の水神たる酒天童子」 https://w

青き鬼の霊木と、比叡山の水神たる酒天童子

はじめに ここでは、香取本『大江山絵詞』の絵巻に記されている「酒天童子(酒呑童子)が変化した楠」を出発点として、それに関連する叡山開闢譚の霊木や、その守護者であった青鬼、そこからさらに、酒天童子の水神としての性質などについてお話します。 目次 ・はじめに ・酒天童子の昔語りのなかの霊木説話 ・比叡山の所有権移転の霊木説話が記載されている文献群   ・『法華経鷲林拾葉鈔』の、鬼の霊木の説話   ・『日吉山王利生記』の、青鬼の霊木の説話   ・身延文庫蔵『法華直談私見聞

「植槻八幡神社本 春日赤童子像」(奈良国立博物館所蔵(寄託))の模写

「植槻八幡神社本 春日赤童子像」 (絹本著色春日赤童子画像) (筆者: 清賢太輔公) (奈良国立博物館所蔵(寄託)) の模写 〔画中の文字 (旧字体)〕 晝夜各三変 擁護修學侶 龍華三會中 當見佛聞法 〔画中の文字 (新字体)〕 昼夜各三変 擁護修学侶 龍華三会中 当見仏聞法 (参参考文献: 古筆学研究所(編集) (1995年) 『古筆学のあゆみ (古筆学叢林 ; 第5巻)』, 八木書店, 214ページ.) (参考情報) 酒天童子(酒呑童子)と護法童子の類似性 h

神の音「乱声(らんじょう)」によって、カオスからコスモスへと変転・生成する

 若宮祭にも参勤する南都楽所の楽人であった狛近真(こまちかざね)による『教訓抄』巻一は、この乱声(らんじょう)を説いて次のように言う。 抑(そもそも)、神祇(じんぎ)先霊を祭る時、乱声(らんじょう)を発し神霊を驚かすは、天地を撥(はら)ひ王業を陳(の)ぶる古例たり。但(ただ)し、神は非礼を稟(う)けず、仍(すなわ)ち、五音七音の外、夷狄(いてき)の音を聞かざる故、正花の音(こえ)を以て乱声(らんじょう)を奏(そう)し、天下に和を致し、神分(じんぶん)となす。 続いて五

飯室谷の飯櫃童子霊石と、不動堂と、魔王堂と、慈忍和尚廟

比叡山延暦寺の横川地区(よかわ地区)の南東のふもとちかくにある、飯室谷(いいむろだに)の地区には、「飯櫃童子霊石」(ぼんきどうじ霊石)と呼ばれる岩があります。 飯室谷(いいむろだに)という名称は、飯櫃童子(ぼんきどうじ)が仙人の姿になって、慈覚大師円仁(じかくだいし・えんにん)に食事を提供したという伝説に由来します。 飯室谷は、比叡山延暦寺の回峰行(回峯行)の3つの流派のうちの、恵光坊流の回峰行の本拠地でもあります。 ちなみに、比叡山延暦寺の回峰行(回峯行)の3つの

葛川護法尊(護法童子)と、栂尾高山寺の護法神像と、春日赤童子と、制吒迦童子と、酒呑童子とのつながり

酒天童子(酒呑童子)と護法童子の類似性 現存最古の酒天童子(酒呑童子)の伝説(説話)が描かれている、香取本『大江山絵詞』(かとりぼん・おおえやまえことば)という絵巻物があります。 ぼくはいま、その絵巻物に描かれている酒天童子(酒呑童子)の伝説について研究しています。 その過程で、天野文雄さんの「「酒天童子」考」という論文に出会いました。その論文のなかの下記の文章のなかには、「酒天童子(酒呑童子)の姿と、葛川明王院の碑伝(ひで)に描かれた護法童子の姿が、よく似ている」と

「我是、三尾の大明神也。此木をまもらんかために、本国より片特もはなれす、諸の眷属をひきゐて来る」

この上の、『長谷寺縁起絵巻』(出光美術館所蔵)の上巻第10段の絵図のなかには、近江国(おうみのくに)の高島(たかしま)の白蓮華谷(びゃくれんげだに)(白蓮花谷)から流出した霊木を見守る三尾明神(みおみょうじん)(三尾大明神)(白衣の翁)(この絵では見切れています)や、持蓋童子(長谷寺守護童子)、異行の者たち(鬼たち)、雷神、風神などが描かれています。 この下の文章は、出光美術館に所蔵されている『長谷寺縁起絵巻』(はせでらえんぎえまき)の、上巻第7段から上巻第11段までの

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『百鬼夜行絵巻』(伝土佐光重筆本の模写) Hyakki Yakō Emaki

この動画を、メタバース(仮想世界)のなかにある、図書館に展示してみました。 https://wisdommingle.com/?p=24705#jump_200322a 『百鬼夜行絵巻』(ひゃっきやこうえまき)という名前で呼ばれる絵巻物は、複数あります。 この動画でご覧いただいている『百鬼夜行絵巻』の絵図は、それらの複数の『百鬼夜行絵巻』のなかの、「伝土佐光重(とさみつしげ)筆本」と呼ばれる絵巻物を、模写してつくられた絵巻物です。 ここで言う、「伝土佐光重筆本」というのは、日本の南北朝時代の絵師(画家)である、土佐光重(とさみつしげ)という人が絵図を描いたと伝えられている『百鬼夜行絵巻』のことです。「土佐光重が、筆で描いたと伝えられている絵巻物である」というところから、「伝土佐光重筆本」などといった名前で呼ばれています。 この動画でご覧いただいている『百鬼夜行絵巻』は、その土佐光重が描いたと伝えられている『百鬼夜行絵巻』の絵図を、模写してつくられた絵巻物です。 この動画は、『百鬼夜行絵巻』の全体像を見てもらうことができるようにするために、『百鬼夜行絵巻』の絵図の全体を、はじめのところから、おわりのところまで、ゆっくり横にスクロールさせていくことで、この絵巻物の全体像を見てもらうことができるようにした動画です。 この動画を、Cryptovoxels (クリプトボクセルズ) のメタバース(仮想世界)のなかにある、ごちゃまぜ図書館 (Mingle Mangle Library) に展示してみました。 もし興味があれば、ぜひ仮想世界のなかの大画面で、この動画をながめてみてください。 くわしくは、こちら https://wisdommingle.com/?p=22918#jump_200322a ▼ごちゃまぜ図書館 (Mingle Mangle Library) Cryptovoxels (クリプトボクセルズ) https://www.cryptovoxels.com/play?coords=N@143E,387S 『百鬼夜行絵巻』〔伝土佐光重(とさみつしげ)筆本の模写〕 Hyakki Yakō Emaki (Japanese: 百鬼夜行絵巻) (参考) 「鬼シンポジウム in ふくちやま2019」のイベント紹介レポート(世界鬼学会設立25周年記念イベント) 「百鬼夜行の絵画化」 https://wisdommingle.com/?p=21725#jump_191129a ▼『百鬼夜行絵巻』の画像の出典 百鬼夜行絵巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541003 (著作権保護期間満了 (パブリックドメイン) ) 百鬼夜行絵巻|書誌詳細|国立国会図書館オンライン https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000007312564-00 ▼この動画で使用している『百鬼夜行絵巻』の画像 Flickr https://www.flickr.com/photos/waltz-for-the-moon/49663125018/ Flickrアルバム ♯ 『百鬼夜行絵巻』〔伝土佐光重筆本の模写〕 Hyakki Yakō Emaki (Japanese: 百鬼夜行絵巻) | Flickr https://www.flickr.com/photos/waltz-for-the-moon/albums/72157711473441576 ▼この動画で使用しているBGM Download Hooligan Swing Royalty Free Music Track https://elements.envato.com/hooligan-swing-JN7234M ▼この動画で使用している効果音 Download Morning Park Ambience with Birds Royalty Free Sound Effects Track https://elements.envato.com/morning-park-ambience-with-birds-YW2XH3N 「これ好奇のかけらなり、となむ語り伝へたるとや。」