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酒呑童子説話の研究

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酒呑童子の中世説話について考えることをとおして、見せかけのおおいをとりはらった人間の姿を知る。https://wisdommingle.com/category/research… もっと読む
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#比良明神

『石山寺縁起絵巻』第1段に描かれた比良明神と、水神の証(あかし)

『石山寺縁起絵巻』〔模写〕〔一部分〕 第1段詞書(ことばがき) 『石山寺縁起絵巻』〔模写〕〔一部分〕 第1段絵図 比良明神(ひらみょうじん)(岩に座して釣り糸を垂れる老翁)と、良弁僧正(ろうべんそうじょう) 『石山寺縁起絵巻』〔模写〕〔一部分〕 第1段絵図 「この姿はいづれも水神としての要素をあらわし、なかでも釣竿は水界を支配する表象であると解釈して、「釣をする老翁は、水界支配に関わり、水路さらには土地の教導者」としての神であるという」 (出典: 阿部泰郎 (19

『大嶋神社・奥津嶋神社文書』に記された、釣垂岩のような岩の上で釣り糸を垂れる白鬚明神(比良明神)の末裔の翁

ぼくはいま、酒呑童子(酒天童子)の伝説について研究しています。その研究のなかのテーマのひとつとして、「酒天童子は、比良山地の地主神である比良明神と同一視されている」という説について、いろいろと調べています。(くわしくは、こちらの記事をご覧ください。) そうして調べていくなかで、滋賀県の湖西地域をはじめとする、琵琶湖周辺の各地には、比良明神(ひらみょうじん)や、白鬚明神(しらひげみょうじん)などの名前で呼ばれる、「琵琶湖に釣り糸を垂れる老翁の姿をした神」についての伝承が残って

奈良の大仏(東大寺の盧舎那仏像)を造立するために、聖武天皇によって出された命令書「造立盧舎那仏詔」について

東大寺の盧舎那仏像(通称: 奈良の大仏) (画像の出典: "The Great Buddha" by JoshBerglund19 on Flickr (License: CC BY 2.0).) 「天皇(すめろき)の御代(みよ)栄(さか)えむと東(あづま)なる陸奥山(みちのくやま)に金(くがね)花咲く」   ――大伴家持 (おおとものやかもち)『万葉集』第18巻[歌番号4097] 奈良の東大寺(とうだいじ)に、「奈良の大仏」として有名な、盧舎那仏像(るしゃなぶつぞ

酒呑童子と比良明神についての電子書籍の構想と、NFTの鋳造についてのご報告と、「世界初のブロックチェーン明神」(!?)のおひろめ

「志賀(しが)の浦(うら)の冴(さ)ゆるけしきのことなるは比良(ひら)の高嶺(たかね)に雪や降(ふ)るらん」 (慈円 (慈鎮和尚)『拾玉集』[歌番号35]より) (参考文献: 慈円(じえん)(慈鎮和尚(じちんかしょう))(原著), 石川一(著者), 山本一(著者), 久保田淳(監修), (2008年) [歌番号35], 「百首和歌 十題(初度百首)」, 『拾玉集 上 (和歌文学大系 ; 58)』, 明治書院, 8ページ.) ぼくは、いま、香取本『大江山絵詞』という

「地図づくり・イズ・ワンダフル」『酒天童子・イズ・比良明神』

「地図づくり・イズ・ワンダフル」 『酒天童子・イズ・比良明神』 「春は好き  あったかいから  秋も好き  すごしやすいから  冬は気が引き締まるかんじがするから好き  Tシャツですごせる夏も好き    要するに何が言いたいかと言えば  今日の私は 絶好調」 (気分はもう、第9話「王者・イズ・峰澄」のがっちゃんみたいな絶好調な気分) 「これ好奇のかけらなり、となむ語り伝へたるとや。」 https://wisdommingle.com/?p=21616

『日本の神々: 神社と聖地 第5巻 (山城・近江)』に記されている、比良明神や、三尾明神(猿田彦命)、白鬚明神についての記述

この下の引用文は、『日本の神々: 神社と聖地 第5巻 (山城・近江)』という本に記されている、白鬚神社や、比良明神(白鬚明神)についての記述です。 酒呑童子の説話と、比叡山延暦寺や、比良明神(白鬚明神)などとのつながりについて考えるという観点から見ると、この引用文の記述のなかの、この下に箇条書きにしたことがらが興味ぶかいとおもいます。 ・白鬚明神を渡来神とする説がある。(近江の白鬚明神(白鬚神社)の場合は、日本海側からの大陸文化の進入ルートが考えられる。) ・もとの

『近江輿地志略』に記されている、白鬚神社や、比良明神(白鬚明神)についての記述

この下の引用文は、『近江輿地志略』に記されている、白鬚神社や、比良明神(白鬚明神)についての記述です。 この記述にもあるように、比叡山延暦寺や、白鬚神社には、それぞれ、釣垂岩(釣垂石)とよばれる岩がありました。 また、この記述にもあるように、比良明神は、白鬚明神(白髭明神)と同一視されています。 「〔白髭大明神社〕 鵜川村打下村の間にあり。打下村は高島郡也。此社ある地は郡界也。小松より四十六町あり。祭る所の神猿田彦命也。縁起曰、白髭大明神は皇孫天津彦火々瓊々杵尊降臨

比良明神の伝承地である3つの神社・仏閣と、3つの釣垂岩

以前にもご紹介した、世界鬼学会の会誌に投稿するため原稿として書いた、「香取本『大江山絵詞』の「平野山」と「近江国かが山」: 比叡山延暦寺による土地領有権説話としての酒呑童子譚」という題名の論文についての、補足情報を紹介したいとおもいます。(その論文の内容は、下記のリンクでご覧いただけます。) その補足情報というのは、比良明神(白鬚明神)の伝承がつたわっている、下記の3つの神社・仏閣にある、比良明神が座していたという3つの釣垂岩(つりたれいわ)についての情報です。 下記