コロナ時に過半数を上回るニーズの緊急事態条項、史上初の憲法改正なるか?
いよいよ改憲に向け本格化も
2024年5月3日、憲法記念日にて
日本全国で憲法改正を巡る議論が活発に行われています。
岸田首相は、本年において改憲派の集会でビデオメッセージを通じて、
憲法改正はもはや先延ばしできない重要な課題であり、
国民に選択肢を示すことが政治の責任であると訴えました。
改憲反対派も増える
一方で、都内別の場所では憲法改正に反対する声も大きく、
立憲民主党や日本共産党は、改憲を主導する政治家たちが古い政治にしがみついていると非難しています。
特に政治資金の問題を抱える議員が憲法改正の議論を
進めることに対する批判は、政治への不信感を強めています。
また与那国町の糸数健一町長は、台湾海峡問題を例に挙げ、安全保障の観点から
自衛隊の明記や緊急事態条項の必要性を強調し、
国の交戦権についての見直しも提案しました。
憲法9条の「交戦権を認めない」という部分を「認める」に
改めるべきだと主張しています。
衆院憲法審査会では、緊急事態時に国会議員の任期延長を可能とする
改憲について意見が分かれています。
自民党は総裁の指示通り、今国会中でも改憲に向け動いています。
一方で立憲や共産党は早急な改憲に反対であり、
国民と維新は改憲には賛成です。
公明党は現在の改憲や護憲ではなく、
加憲を目指しています。
衆議院の憲法審査会では議論が比較的進んでいますが、
参議院の憲法審査会ではまだ進んでないとも言えます。
今回の改憲に向けて足枷にならないか?
その点は気になります。
緊急事態条項の創設
憲法改正で今回、変えられる憲法は
こちらの条文です。
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第六十四条 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
② 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
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この緊急事態条項の創設によって、新たに変わる条文はこちらです。
自民党HPの緊急事態への対応を強化(条文の新設)
によると以下の条文が明記されます。
緊急事態条項は仮に震災や軍事侵攻などの災害によって、
法律制定における時間がない場合は、
国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定
することができると定められています。
そして大規模な災害や有事が起きた場合、
国会議員の任期延長も可能となることも明記されています。
もちろんこの緊急事態条項をめぐっても、
確かにコロナ禍で衆議院解散が打てず、
まともに選挙ができないこともあったら、
衆議院議員は任期満了で失職し、次の選挙が
いつ行われるかわからないこともあるなど、
ニーズがあったからと言えます。
現在、戦時下にあるウクライナにおいても
本来は選挙を行うことが望まれますが、
現在は戒厳令によって議員を決める選挙も
大統領選挙も延期し、現職が政治を担っております。
しかし日本には戒厳令はなく、
仮に日本が戦争に巻き込まれた場合はどうするのでしょうか?
解散総選挙の中で北朝鮮のミサイルが本土に落ちれば、
法案の審議どころか衆議院議員は失職中です。
衆議院の機能が失っている中で
対処法を考えなければなりません。
そのために戦時下においては
選挙が安全に行えるまで、内閣や
議員の選挙を行わず国難に対処すること。
これが前提条件である。
参議院の緊急集会はどうなっている?
衆議院が解散されると、参議院は同時に閉会となって、
国会の活動は停止されます。
しかし、衆議院が解散されたのち総選挙を経て特別国会が召集されるまでの間に、国に緊急の必要が生じることがあります。
このような場合には、内閣は参議院の緊急集会を求めることができます。
この点は与党である連立政権の公明党が
憲法記念日の際に述べたものです。
【衆議院と参議院の違い】
衆議院:任期最大4年で解散あり(解散は内閣総理大臣の専権事項)
参議院:任期6年で解散なし(改選は3年に一度の選挙)※衆議院が通過した法案を参議院が審議
そのため緊急事態条項により衆議院議員の非常時の任期延長や内閣の
権限が集中すると同時に、参議院の緊急集会は
どうあるべきかも考える必要があります。
なお連立を組む公明党の党首は参議院議員であり、
岸田政権の党七役や閣僚の大半は衆議院議員であることも
実はそれぞれ事情があるのです。
よく参議院は軽視されがちと耳にしますが、
確かに総理大臣は規定はなくても
全員が衆議院議員です。
法案の審議も衆議院が先です。
林官房長官をはじめ参議院から衆議院に鞍替えする議員も
少なくないのも事実です。
しかし任期が6年あることで、
じっくりと腰を据えて法律に向き合うことが
できるのは大きな魅力です。
果たして参議院の緊急集会はどうなるでしょうか?
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第五十四条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
② 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
③ 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
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過去2回のみ
なお過去に参議院の緊急集会が行われたのは過去2回しかありません。
しかも戦後から約10年未満のときであり、
ここ数十年は参議院の緊急集会は一切ありません。
1例目:昭和27年8月28日 参議院緊急集会
2例目:昭和28年3月14日 参議院緊急集会
緊急集会のあり方についても
議論は必須のようです。
岸田政権最後の仕事か?
今回の憲法改正の発議は
岸田政権の1期目にとって
最後の仕事となるでしょう。
もちろん裏金問題の逆風も強く、
支持率も青木の法則に近づいたこと。
過去に下回ったこともあることを踏まえ、
政権の求心力が失いつつある中で
1期目最後の仕事が憲法改正でしょう。
衆議院議員の任期は3年目であり、
任期満了まで残り1年半です。
自民の逆風が強いこと
補選全敗
公明党の動きも
立憲共産は反対orテーブルつかず
参議院の議論進まず
内閣不信任案の提出時期も?
こうした厳しい要点を踏まえ、
今自民党には政権交代の危機感が芽生えているとも言えます。
しかし一方で立憲民主党が政権を担うかのような動き、
いわゆる野党第一党に対する支持は未だ自民を上回ることはなく、
受け皿になれるかが問われます。
この点を踏まえ、6-9月の動きは
3年前の総裁選と比較しても
より激しい動きとなるでしょう。
果たして今回の改憲は本当に実現するか?
注目です。
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