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水俣病、マイク切り問題。環境省の原点と大臣、役人の責任を明らかにせよ


水俣病、マイク切り問題とは?

今回の環境省における水俣病、マイク切り問題は
大変被害者にとっては不快感であったことは事実かと思います。

発言中のマイク切りは、被害者にとっては不快感を与えられたこと。

加え環境省が1人あたり3分という非常に短い時間で発言を設定したことは、
不適切であるとも言えます。

ただ大臣のスケジュール(主に移動)もあったため、
あの3分という短い時間設定がなされたとも言えます。

水俣病って何?

水俣病は戦後の高度経済成長期、いわゆる1953年-1960年に
熊本県水俣市で起きた産業公害が引き起こした
病です。

有機水銀化合物が工業排水として水俣湾に放出されたことに起因します。

有機水銀です。

この有機水銀は魚介類を通じて食物連鎖を経て蓄積され、
地元住民がこれらの魚介類を食べたことで中毒症状が発現しました。

その水俣病の症状には、感覚障害視野狭窄聴力障害運動障害
などがあります。

【症状】
感覚障害:手足のしびれ、ふるえ、けいれん、脱力
視野狭窄:目に見える範囲が小さくなる
聴力障害:耳鳴り
運動障害:疲れやすい
などがあります。

このような症状を患った方が2,200人いるのです。

とても私たちが決して忘れてはならない苦悩があることを、
未来の若者は知らなければなりません。

1953年、当時7歳だった子供は2024年で
78歳です。

すでに後期高齢者に入り、当時の生き証人の苦痛を生で聞く機会は
限られてしまうこと。

そして国の対応に不満を持ち、
認定されなかった患者は今日もまた損害賠償請求を
行っています。

熊本だけでなく新潟の水俣病も無視してはいけません。

新潟水俣病と認定されなかったり特別措置法による救済策でも対象から外れたりした新潟県に住む人など47人が賠償を求めた裁判で、新潟地方裁判所はこのうち26人を新潟水俣病と認め、原因企業に賠償を命じる判決を言い渡しました。一方、国に対する訴えは退けました。

出典:2024/4/18 NHK 新潟水俣病集団訴訟 原因企業に賠償命じる判決 新潟地裁

何よりも今日の環境省の創設に寄与し、
環境保護と公衆衛生の観点から重要な教訓を提供し、
今日の化学物質管理法制に大きな影響を与えました。

今こそ環境省の原点と先人大臣の功績を

約半世紀前の1971年、佐藤栄作内閣総理大臣が
当時より前の公害の規制行政を
一元的に所掌するために、
通産省や厚生省の公害対策をはじめ
汚染物質の排出抑制などに取り組む環境庁が創設されました。

初代の環境庁長官は自民党税務調査会のドンと呼ばれる山中 貞則先生、
2代目の長官は現在の伊藤環境大臣と同じ宮城県選出の衆議院議員で
ある大石 武一先生であり、四日市喘息の対策や
水俣病の患者認定基準作成における救済対象の拡大などに
尽力されました。

役所の責任を大臣が背負うべきか?

今回の問題で疑問符だったのは、
行政の役目を担い、国に雇用される環境省の役人の責任を、
民意で選ばれた政治家が責任を取らなければならないのか

本来は政務三役の責任は省庁における政治的な問題です。

しかし事務方の責任は事務次官にあります。

例えば省庁の下部の不祥事も大臣が記者会見で
頭を下げるシーンを見る際にも、
省庁の政治的責任は大臣にありますが、
事務方のトップの事務次官の方の
権限と責任もまたそれぞれあり方等を考えていかなければ
いけないでしょう。

【政務3役】※今回は環境省の問題ですので、環境省で表します。
環境大臣・・・伊藤 信太郎大臣
環境副大臣・・・八木 哲也副大臣(衆議院)
環境副大臣・・・滝沢 求副大臣(参議院)
環境政務官・・・朝日 健太郎政務官(参議院)
環境政務官・・・國定 勇人政務官(衆議院)
【事務方】
事務次官・・・和田 篤也事務次官

もし今回の問題で大臣が頭を下げるシーンがありましたが、
果たして大臣の責任が正しかったのか?

水俣病団体と議連の取り組み

なお政治家内でも水俣病の議連はあります。

水俣病被害者とともに歩む国会議員連絡会の会長は新潟1区選出の
立憲代表代行の西村智奈美議員です。

主に立憲(新潟県選出)と共産党、社民党メインで構成されている
水俣病被害者とともに歩む国会議員連絡会ですが、
今回の環境省の件は大変問題視されています。

水俣病犠牲者の追悼慰霊式のあとの懇談の場で、患者団体などのメンバーが発言している途中で環境省の職員がマイクの音を切った問題を受けて、環境省は水俣病対策専属の担当を新たに設けるなど体制を強化し、信頼回復に努めることを明らかにしました。

出典:2024/5/10 NHK 水俣病専属担当新設 環境省が体制強化へ マイク音切り問題受け

環境省もまた今回の件を受け、
水俣病対策専属の担当の部署を新たに設け、
担当審議官と他人員の拡充等がなされると
NHKで述べています。

【今回のマイク切り問題を受け変化した点】
①省内の体制を強化(水俣病)
②水俣病、犠牲者慰霊式での懇談強化(発言時間等を増やすetc)

再発防止を心よりお祈りし、
このNoteを通じて水俣病の被害者を知っていただけると嬉しいです。

環境省のルーツこそ、決して忘れてはならないのです。


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