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素肌にラメ

数ヶ月ぶりに会った彼女は、それまでとは全く別人と化していた。

口振りがまず女性らしくなっていたし(これは悪いことではない)、それまで化粧とは無縁だったのにあろうことかベリー色のリップ、そしてシャンパンゴールドのアイシャドウを瞼に宿していた。

その顔を見た瞬間、「これは誰?」という疑問符が浮かび上がってきた。

「珍しいね。メイクしてきたの?」

「うん。Aちゃんが化粧品買うの見たらさ、私も欲しくなっちゃって」

へぇ、としか返せなかった。だって私は今までの飾りっけのない貴女しか知らなかったから。

それと共に、この子はそんなに染まりやすい人間だったんだとどこか冷静になっている自分もいた。

私はメイクしている彼女が気になって、「どこで買ったの?」と聞くと「うーん、この猫のモチーフが可愛かったから買っただけで、どこかは忘れた」という。私はまた軽蔑するしかなかった。

思えば、私は実質寂しかったのだと思う。それまでのオタク気質でメイクにも頓着しない、あの子が好きだったのに。それが今ではすごく遠くなってしまった。

あれ以来、あの子とは遊んでいない。また過去と比較して、情緒らしき物が乱されるからだ。

私が本当の意味で大人になった時、あの子に笑顔で話しかけられればいいと思う。

それまでは、このジクジクした思いを抱えて生きていかなければならない。


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