見出し画像

ついに見えたスマホの次への一手「Oculus Connect 6 報告会」レポ

「Oculus Rift Sは死んだ」「ザッカーバーグの本命はAR」――注目発言も飛び出し大いに盛り上がった「Oculus Connect 6 報告会」を今回は振り返ってみます。

1.「Oculus Connect 6」について

まずはご存じでない方も多いと思いますので、「Oculus Connect 6」について簡単な説明を。
「Oculus Connect」とはVRデバイスを開発・販売しているOculus VR(親会社はFacebook)による発表会で、6回目となる今回はアメリカ時間9/25から9/26にかけてカリフォルニア州サンノゼで開催されました。
同社では複数のVRデバイスを展開しているものの、今回特にフィーチャーされたのは単体動作型VRデバイス「Oculus Quest(以下Quest)」の新機能でした。詳しくは以下の記事を参照ください。

そしてこのたび国内で開催された「Oculus Connect 6 報告会」は現地参加者による報告会。登壇者はgumi代表取締役会長 國光宏尚氏、元Oculus Japan 井口健治氏、よむネコCSO 新清士氏、司会はMogura VR News 編集長 久保田瞬氏と、いずれもVR業界の最前線で活躍されている方々。
上記の記事を読み発表内容は十分把握していたものの、現地に行った人の生の声をどうしても聴きたくなり、報告会への参加を決めました。


2.Oculus Link

画像1

國光:「Oculus Connect 6」は明るかった! 今回のOculusは自信満々。デベロッパーも明るい。2年前なんて最悪で、みんな「明日のごはんどうしよ~」って顔してたのに。

國光氏感じた"明るさ"の元になっているのが「Quest」向けに今回大々的に発表された新機能「Oculus Link」です。これは単体動作型である「Quest」を、USB-CケーブルでPCに接続することでPC接続型の高性能VRデバイス「Oculus Rift(以下Rift)」と同じようにふるまうようにするもの。

井口:「Rift」用の『stormland』を実際にプレイしましたが、全然違いがわかりませんでした。ノイズ感もないし、強めに振っても遅延はなく自然でした。

「Rift」シリーズとしては今年5月に高性能版「Oculus Rift S(以下Rift S)」が発売したばかり。安価な「Quest」との競合を避けるため、ある程度性能に難があるものとばかり思っていましたが、井口氏によると全く遜色がないとのこと。

 :「Oculus Link」の発表で「Quest」1本に絞られたと理解しています。「Rift S」は事実上死にました。
國光:今さら「Rift」向けタイトルを作るデベロッパーなんていませんからね。最終的に「Quest」に統合するための救済措置ですよ。
デベロッパーはもう「Quest」「PS VR」ファーストに考えればいいんです。

デベロッパーである新氏、國光氏としては完全に今回の追加機能により「Quest」は「Rift」の代替になるという印象を抱いたとのこと。

國光:今回「Rift」向けの大作3本の発売も告知されましたが、いずれも2~3年前から作っていたから仕方なく出すとしか考えられません。

現在同時接続上位ソフトは『VRchat』や『Beat Saber』といった、MODが豊富なものか動画映えするものだけです。これからは「Quest」を軸にしてソフトラインナップを転換していくはずです。

國光氏はソフト面でも鋭い考察をされていました。「Rift」向けの大作リリース告知は、Oculus社としてはPC接続型も単体動作型も両輪力を入れていくぞ、というアピールだとばかり思っていましたが、現地の空気からは全くそのように受け取れなかったそうです。

「Quest」向けには他にも、ハンドトラッキングという追加機能が発表されました。こちらはコントローラを握らずとも、手の動きを検知してアプリに反映するというもの。遅延や検知範囲などまだ性能的には物足りない点もあるものの、BtoB向けアプリなどでの活用が期待できると皆さん語っていました。


3.ARグラス

もうひとつ、報告会で印象に残ったのが「ARグラス」です。「Oculus Connect 6」では開発中である、という以上の発表はなく印象が薄かったですが、國光氏はFacebook社CEOの名前を挙げて強く言及しました。

國光:マーク(・ザッカーバーグ)はこっちが本命ですよ。マークはいつも「VR/AR」じゃなくて「AR/VR」って言ってるじゃないですか。彼が本質的に作りたいのはスマホの次。

スマホで個人がコンピュータを持つようになったけど、得られる情報なんてたかが知れています。それがARグラスなら個人に紐づく情報が全て取れる。VRデバイスを作っているのは技術蓄積のためです。

今回ついに発表したのはARが本命という宣言に違いありません。

未来のVRデバイスは小型化して、現在のゴーグル状からメガネ状に置き換わるというのは通説です。しかし國光氏としてはARと合流するのではなく、むしろVRはARのための踏み台に過ぎないと看破していました。
もちろんマーク・ザッカーバーグ氏から公式にこういった発言がなされたわけではありませんが、世界的企業としてスマホの次を見据えているというのは納得がいくものです。

4.まとめ

画像2

ニュースサイトの記事だけでは「Oculus Link」「ハンドトラッキング」といった新機能のインパクトがどうしても強くなってなってしまい、その裏にある本質が見えていませんでした。
それが今回報告を聞いたことで、「Quest」が完全にゲームチェンジャーになること、そしてVRの先には"スマホの次"としてのARがあることを確信することができました。

「Oculus Connect 6 報告会」への参加は大変有意義なものとなりました。今後も積極的に最前線の現場に足を運び、生の声をお伝えしていきたいと思います。

この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?