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『マネーの魔術史』目次

『マネーの魔術史』(新潮選書)が刊行されました(2019年5月20日)。
 これは、目次です。

はじめに――マネーはなぜそんなに強いのか?
マネーはマジックか? 高度なテクニックか?

第1章 歴史とともにあったマネーの魔術
1 「貨幣の品位切り下げ」という魔術 p24
 人類史上最初の貨幣改悪をした王
 シニョリッジとインフレ利益
 グレシャムの法則を知らなかったシラクサ王

2 ローマ帝国が貨幣改悪によって戦費を賄う p32
 カラカラの貨幣改悪
 緩慢な改鋳なら問題はなかった
 セウェルスの大々的な貨幣改悪
 大銀鉱を発見できたら、問題は起こらなかったか?
 銀が増加しなくとも経済は発展できた
 交易の利益が消滅、防衛負担は増す

3  中世イタリアで「信用」はマネーになった p42
 マルコ・ポーロの驚き。中国では紙がマネーだ!
 中世イタリアで銀行業が発達する
 為替手形を使うマネーのマジック
 メディチ家の秘密を解き明かす
 乾燥手形という巧妙な抜け穴

4 部分準備制と信用創造\_p54
 無から有を生み出す部分準備のマジック
 銀行業ほど素敵な商売はない
 人々が信用するから預金がマネーになる

第2章 マネーを巡る戦い p63
1 イングランド ivs. スペイン 
 離婚した妃の数ほど頻繁に貨幣改悪
 世界最大級の銀山をスペインが発見する
 銀を担保に借りまくり太陽の沈まぬ帝国を建設
 貨幣数量説の無知でスペインは衰退した
 増加した銀を何に使ったか?
 なぜ失敗の歴史に学べないのか?
 現在まで続く金融緩和への依存

2 江戸時代での「金融緩和 vs.緊縮」論争 p79
 荻原重秀の意見。貨幣は瓦礫でもよい
 日本貨幣史上で最大のミステリー
 江戸時代の改鋳はどう評価されるか?
 積極と緊縮の交代を繰り返した江戸後期
 田沼意次、水野忠成が財政収入を目的として貨幣発行
 江戸幕府はなぜ不換紙幣を発行しなかったのか?

第3章 魔術師たちの誤算 p97
1 マネーに取り憑かれたニュートン p98
 辣腕の造幣局長官ニュートン
 新発見文書が明かすニュートンと錬金術
 17・6億円稼いで5・6億円すった
 科学史最高の巨人の複雑な人物像

2 南海バブル事件 p108
 歴史に残るバブルはなぜ起きたのか?
 元祖バブル事件のお粗末な顛末

3 ジョン・ローの巧みな魔術 p113
 聡明なる山師ジョン・ローの登場
 奇想天外で異次元 ローの財政再建案
 インチキ会社への熱狂的投機が起こる
 賢人ローはフランスの守護神に

4 結局破綻したローのシステム p123
 マネーの復讐がついに始まった
 ローは国外逃亡、フランスは病院に
 ジョン・ローは「量的緩和政策の父」
 巨額の国債が返済不要になった
 ローの失敗の原因は紙幣の行きすぎた増発

第4章 英仏の覇権争いをマネーから見る p137
1 戦費調達と中央銀行 
 名誉革命とイングランド銀行の創設 
 戦費調達制度を作った英が覇権を握る
 財政改革の挫折が革命の引き金
 革命政府は、アッシニア紙幣に頼る
 アッシニア紙幣で王の変装を見破る

2 ナポレオン戦争とマネー p151
 ナポレオンとロスチャイルド
 金貨の危険な輸送でネイサンが大活躍
 ネイサンの大誤算、金貨暴落で破産か?
 ネイサン・ロスチャイルド一世一代の大博打
 英仏の戦費調達方式 どちらが合理的?
 紙幣増発に疑問を呈したゲーテ
 現代にも尾を引く地金論争

第5章 マネーを扱いかねたアメリカ p169
1 アメリカでの紙幣発行
 紙幣発行論者ベンジャミン・フランクリン
 「大陸紙幣」の不思議なデザイン
 北軍を勝利に導いたグリーンバックス
 南部の政府紙幣グレイバックスの失敗

2 アメリカでは中央銀行を作れなかった p181
 ヨーロッパでは中央銀行が広がるが、アメリカでは挫折
 誰でも銀行券を発行できた「ヤマネコ銀行」の時代
 中央銀行を巡る思想上の対立

3 密室で作られたFRB(連邦準備制度)
 アメリカでも中央銀行が必要だ
 ジキル島の秘密会議で描かれた連邦準備制度の青写真
 FRBは大銀行によってコントロールされる

第6章 マネーとは金 (ゴールド)なのか? p199
1 イギリスが金本位制を確立する
 イギリスを中心とする世界的な金本位制の確立 
 なぜ金が本位貨幣になったのか?
 金本位制下で世界経済が繁栄を謳歌したのはなぜか?
 金本位制は自動調節作用を持つとの考え
 実際には中央銀行の金利操作で機能した「金本位制」
 経済成長が実現したために金本位制が機能した
 「金が中央銀行の金庫に眠る」という不思議な話

2 揺らぐ金本位制度
 金本位制の崩壊と管理通貨制度への移行
 アメリカが大恐慌に陥る
 ルーズベルトがニューディール政策を実施する

第7章 マネーを通して共産主義ソ連を見る p229
1 革命とマネー
 ソ連革命政府は紙幣増発に頼ってインフレに
 戦時共産主義と食糧独裁体制
 政権の下方に深い亀裂が突然口を開けた
 新経済政策NEPで市場経済を容認

2 スターリンの計画経済
 スターリンが権力を握り、農村を破壊する
 集団農場で農民は再び奴隷になった
 巨大な無秩序だったスターリンの「5カ年計画」
 スターリンは、4000万人のソ連国民を殺した

第8章 戦争とマネー p257
1 戦費調達に苦しんだ明治政府
 「国立銀行」による紙幣発行に頼った明治政府
 日清戦争と金本位確立の離れ業に成功した明治政府
 日露戦争の戦費調達に高橋是清が奔走
 ユダヤ人シフの助けで1000万ポンドの外債発行
 「戦争」と「戦費調達」との重要で微妙な関係

2 第1次大戦とドイツのインフレ
 第1次世界大戦もマネーの戦いだった
 ドイツが必要とするものは、紙幣を印刷して賄う
 「手押し車の年」となったドイツ1923年
 インフレで物々交換が行なわれるようになった
 ドイツ社会に深い傷を残したインフレ税の不当な負担
 レンテンマルクの奇跡――インフレ鎮静化

3 第2次大戦はどう賄われたか
 第2次世界大戦における戦費の総額はどの程度だったか?
 日銀引き受け国債で、巨額の戦費を賄った?
 占領地での戦費は軍票で調達された
 特殊金融機関「外資金庫」の秘密
 実質戦費がどの程度だったかは、複雑な問題
 第2次世界大戦の教訓は、いまの日本で忘れられた

終章 マネーの未来史 p317
マネーは人々の目を欺くことはできるが、問題を解決する力は持たない
仮想通貨は国家をゆるがすか?

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