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雇用調整助成金についての基本的議論が必要

  いま日本では、売上と利益の急減にもかかわらず、企業が雇用を支えている。
 それを可能にしているのが、雇用調整助成金だ。
 元々は雇用保険の積立金を用いる仕組みだが、限度額引き上げなどのために、すでに国費が投入されている。

 企業が雇用を支えているため、日本では失業者数は目立って増えていない。それだけでなく、勤労者世帯の収入はそれほど落ち込んでいない。
 それが社会不安の高まりを防いでいるのは事実だ。
 しかし、ここにまったく問題がないわけではない。

 日本では、リーマンショック後に雇用調整助成金で雇用を支えたために、企業が過剰人員を抱える構造が続き、日本経済構造改革の足を引っ張ったという経緯がある。

 今回も、コロナによって引き起こされるさまざまな変化が「ニューノーマル」をもたらすとされているが、雇用構造が固定化されると、こうした変化が生じないおそれがある。

 一方、日本経済新聞は、積み立て金が急速に減少していると報じた(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62777820Y0A810C2EE8000/)。
 特例措置を9月以後も継続するのは、容易ではない。
 この機会に、「雇用調整助成金で雇用を支える」という政策の基本について検討することが必要だ。


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