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超整理日記(第800号):あの人が生きているから、私が生きている


◇ 雇用問題の深刻化は時間の問題
  コロナウィルス感染拡大を防止するために行動制限が強化され、様々な経済活動に大きな障害が出ています。
 航空会社、ホテル、旅館、百貨店などで売上げが激減しており、雇用問題が深刻化するのは、時間の問題です。
 自営業やフリーランサーでも、収入喪失が既に発生しています。今後は、問題がさらに拡大するでしょう。

 とりわけ憂慮されるのは、オリンピックです。日本政府は「完全な形で開催する」としていますが、慎重意見が急速に強まっています。選手が練習に専念できないとの声もあります。
 仮に中止または延期になった場合には、投資などを行なって準備してきた企業や事業者は、予定していた収入が得られず、大変な苦境に陥ります。
 仮に延期になったとしても、それまでの期間、事業を継続できるかどうか分かりません。

◇ 連鎖倒産の恐ろしさ
 損害が巨大化する大きな理由は、連鎖倒産です。つまり、ある取引先が破綻してそれが波及していくことです。いまは、これを防ぐのが最も重要なのです。

 イギリス政府は、このための施策として、付加価値税の納税猶予を決定しました。事業者は、付加価値税に相当する額を預かっていて、あとでこれを税務署に納めるのですが、その納付を猶予する措置です。
 日本でも、消費税について、まったく同じ措置が実行できます。
 イギリスと同じ政策をすぐにでも実行できます。1年間の猶予を認めれば、約22兆円の緊急融資を行なうのと同じことになるので、極めて強力な連鎖倒産防止政策になります。
 ところが、不思議なことに、このように重要な政策が、日本では報道されていません。

 この政策に対して、「私は消費税の納税業者ではないから関係がない」と考えている人が多いからでしょうか?
 しかし、その考えは間違っています。
「納税業者が資金繰りがついて生きていてくれれば、そこから報酬をうるはずだった私は、その報酬を確保できる。だから私が生き延びられる」という面があるのです。

◇ 「取引先の資金繰りがついている」ことが必要
 大企業 は取引先が多数なので、リスクが分散されています。いまのような事態になると、大企業のほうが小企業に比べて安全であることは、否定できません。
 問題は零細企業や自営業、フリーランサーです。
 零細自営業 や フリーランサーは、一つの取引先でも破綻すると、売掛金や報酬を回収できなくなり、破綻します。だから、取引先が生きていてくれる(資金繰り ができている)ことが重要なのです。

 「コロナ対策」というと、「コロナによって被害を受けた人の損失を補填する」という発想になります。それは必要なことですが、それだけでは十分ではありません。
 「取引先の資金繰りがついている」ということが、連鎖倒産防止のために必要なのです。

 分業に基づく経済活動では、「あの人が生きているから、私が生きている」という面があります。
 だから、「私を助けてください」というだけではなく、「私の取引先を助けてください」という必要もあるのです。
 「それがひいては私を保護してくれることになる」という場合が多いのです。
 資金繰り対策とはそうしたものです。

 政府は、コロナ緊急経済対策を4月にまとめます。そこで望まれるのは、(1)公平性の確保。(2)少額の補助でなく、巨額の資金繰り対策であることです。

井の頭公園



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