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名刺のデータ化機能は使えるか?(Google Pixelを使う:その9)

Pixel3は、事務処理にどれだけ使えるだろうか?
紙情報のテキスト化が可能になったことですぐに思いつく応用対象は、名刺と領収書の整理である。まず名刺について見よう。

名刺を瞬時にデータ化する
名刺をグーグルレンズで撮影すると、何もしなくても名刺と認識して、名前、電話番号、メールアドレスなどのデータを抜き出してくれる(場合によっては、住所や肩書きも)。私の名刺の場合は、下の写真のとおりだ。

連絡先を追加」のボタンを押すとgmailのアドレス帳に登録してくれる

いちいち名刺スキャナを取り出さなくても、スマートフォンでデータを取れるので、外出先でも簡単に使える。また、アドレス帳への登録もシームレスだ。
iPhoneを使っている人も、「連絡先」はgmailのアドレス帳を使っている人が多いだろう。その場合には、自動的にiPhoneの「連絡先」も更新される

このように、一見するときわめて便利な機能だ。
しかし、つぎのような問題がある。

認識しない場合も多い
私の名刺は上記のようにうまく認識してくれたのだが、すべての名刺についてうまく認識してくれるわけではない

名刺の一部分しか読まない場合もある。その場合には、「連絡先を追加」以下のボタンは現れない。つまり、名刺のある部分をテキストとして認識するだけだ。
数十枚の名刺で試した結果、つぎのような傾向があるように思う。
・縦書きの名刺は、認識しない場合が多い。
・横書きのほうが成績がよいが、こったデザインやレイアウトになっていると、うまくいかない。
・全体としての成功率は、50%を下回るように思われる。

なお、名刺データとして認識しない場合にも、書籍をテキスト化したのと同じように名刺の情報をテキストデータとしてコピーし、それを保存して置けば、使えるわけだ(アドレス帳へのシームレスな登録はできないが)。

名簿の人数が多くなると、探すのが難しくなる
上で述べた問題は、今後改善されていくだろう。
しかし、仮にうまく認識してくれて、アドレス帳に登録できたとしても、つぎのような問題があるのだ(これは、Pixel3の問題というよりは、アドレス帳の問題点だが)。

名簿に含まれる人数が多い方がよいかどうかは、人によって異なる。
営業の仕事をしている人は、できるだけ多くの人を名簿に取り込みたいだろう。しかし、普通の人の場合は、めったに連絡しない人を名簿に入れておくと、かえって問題が生じるのだ。

第1に、当然のことだが、リストが長くなれば、頻繁に連絡している相手を探すのが難しくなる

これは、「超整理法の思想」で述べた資料整理の問題と同じものだ。
「最近使った人を先頭に置く」というMTFの考えでつねにアドレス帳を組み替えてくれればよいのだが、アドレス帳は「あいうえお順」で固定されているので、頻繁に連絡する相手が先頭に来ているわけではない。

ただし、頻繁に連絡する相手を「よく使う項目」に登録していれば、この問題は避けられる。

誤発信の危険が増す
第2は、誤発信の危険である。
私の場合、これは最近、実際に起こったことだ。Pixel3の名簿管理機能を使って、新しい人を名簿に加えた。その情報は、直ちにiPhoneにも同期された。その直後、ロックされていないiPhoneをポケットに入れて歩いていたところ、発信ボタンが押されてしまったらしく、大量の誤発信をしてしまったのだ。すぐに気がついて相手に謝ったのだが、青くなってしまった。

また、メールの誤発信もある。名簿にある名前を間違って入力して発信する危険がある。
この場合にはメールの内容も間違った相手に届いてしまうので、もっと危険だ。
私は自分宛にメールを送ることが多く、私のメールアドレスはyで始まるので、誤発信を防ぐため、yで始まる人を名簿から全て削除した。

メールする相手の名前は通信記録に残っている場合が多いので、名前を検索して返信するほうがよい。若干手間がかかるが、ずっと安全だ。

また、スマートフォンをすぐにロックされるように設定しておくことも、誤発信を防ぐためには重要だ。しかし、いちいち解除するのが面倒で、ロックを外したままにしている人が多いのではないだろうか?

より効率的な方法を求めて
以上で述べたように、Pixel3の活用で名刺の整理は大分楽になるが、まだ問題が残っていることも事実だ。
グーグルレンズが読み取ってくれない場合もあるし、名簿が大きくなりすぎるという問題もある。
では、こうした問題を解決できるシステムとはどのようなものか?それについては、別の機会に論じることとしたい。

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