してあげてる病。

わが家は家事・育児の役割分担がかなりはっきりしている。

【わたしの担当】
・朝夕の食事づくり(休日は昼食も)
・食事後の後片付け
・ゴミ出し
・掃除全般

【妻の担当】
・平日の晩御飯の買い物
・洗濯
・毎朝のこどもたちの保育園の準備
・保育園含めた対外的な対応
・月1回の保育園のお弁当づくり
・お金の管理

ざっとこんな感じ。
ちなみにお互いがフルタイムで働いている。

わたし自身、それなりに家事をやっているほうだとは思っているが、基本的には得意な分野を担当しているし料理含めて家事はきらいではないからやっている。ごはんをおいしく食べてもらえればうれしいし、家族はありがとうと言ってくれる。掃除をしてきれいになった部屋でゴロゴロするのは至福の時だ。

しかし、いつもいつも気持ちよく、というわけいにもいかない。仕事でイライラしているときや疲れがたまっている時なんかはそれでもやってくる毎日の家事がしんどくもなるし、いつものようにニコニコできなくもなってくる。家族に当たったりもするし、それが原因で妻を怒らせてしまい、目も当てれないような状況になることもしばしばだ。そして大概の家庭がそうだと思うが、こちらが謝って許してもらうことになる。


最近になって、ああこうなったら自分の気持ちがあぶないぞ。
という信号がわかるようになってきた。

それが、『してあげてる病』。

ふだんは普通にしているはずのことでも、
「なんで俺がこんなにしてあげてるのに、何にもしないんだ。」
「なんで俺がこんなにしてあげてるのに、感謝の言葉もないんだ。」
などと思うようになる。

こうなってしまうと危ない。キッチンのカウンターごしに見えるリビングの散らかったおもちゃが気になってしょうがない。脱衣所にたまっている洗濯ものがやけに気になる(こども3人が毎日保育園に通っていると洗濯物の量がとんでもなくなる。決してさぼっているわけではないのだ)。

負の感情がさらなる負の感情を呼ぶ。

映画「スリービルボード」で主人公ミルドレッドの前夫が付き合っている19歳の女の子がいう

怒りは怒りを来す

という状態になってしまう。

『してあげてる病』の問題は

じぶんはしてあげてるのに、なんで相手は〇〇してくれないんだ。

と見返りを求めてしまうことにあると思う。大体役割が違うのであれば行うタイミングも違うので同時進行でやるなんて無理なわけだから、じぶんがしている時に相手もやっているということはむずかしい(冷静に考えればわかることも『してあげてる病』発症時はわからない)。

それが更に症状の進行に拍車をかけるわけだ。





で、しばしば『してあげてる病』にかかるぞ、という認識をして以来、どうしたら予防できるか?について考えてきてなんとなくの解決策を発見した。

それが

『してあげて、してもらってる療法』


『してあげてる病』なんだからしてあげてるなんて思わなきゃいいだろ、とも考えられるがそうなると今度は「どうせじぶんは何もしてませんよ(ほんとうはやってるけどね)」という不貞腐れに陥ってしまう。これはこれでやっかいだ。だから、じぶんのことは否定しない。そのかわり相手を引き上げる。自分もしてもらっているんだ。という意識を持つことで対等になる。

おあいこです。


大ベストセラー「嫌われる勇気」にこんな風に書いてあります。

・あなたは共同体の一部であって中心ではないのです。(P187)
・わたしはこの人になにをあたえられるか?(P188)

「家族」というのも小さいながら非常に重要な共同体です。
『してあげてる病』にかかるというのは、自らを家族の共同体の中心だと思い込み、自分がしているのにしもらえない。と思いあがった状態だともいえる。そうではなく、共同体のためなにをあたえられるか?を考える。そして、相手もそう考えていると信じる。
事実、最初に書いたように項目数でじぶんの方が少ない。
じぶんがしてあげているように、じぶんもしてもらっているのです。

誰が欠けても家族という共同体は成り立たない。たいせつな存在。だいたいじぶんが料理をつくるのだっておいしく食べてくれる妻やこどもたちがいるから成立しているのだ。食べてくれてありがとうです。

こういう風に考えられるようになってから少しずつ発症は減ってきたような気がしている(妻には、うそつけ!といわれるかもしれませんが)



『してあげてる病』は家庭内だけでなく、仕事でも友人関係でも、オンラインサロンでも「人と人」が関わる共同体であればだれでも発症しうると思います。
そんなときは、深呼吸して自分は共同体の一部であって中心ではない。と心の中でとなえると少しラクになるかもしれません。じぶんがしているように、相手だってしているのです。

きょうは、何をしてあげましたか?そして、何をしてもらいましたか?

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