見出し画像

DXの推進は多重下請け構造の崩壊を加速させる

前回の記事で、「多重下請け構造が苦しくなってくる」ということに軽く触れました。今回は三つ目のツイートの内容について深掘りしていきます。

前の記事はこちら

最初の記事はこちら

最下流のモジュールはOSSやSaaSで廉価に調達できる

前記事でも触れたのですが、多重下請け構造で「実装(製造)」が作るような単体のパーツはOSSやSaaSで廉価に調達できるケースが増えてきています。

しかもOSSなどは世界中で使われていて、見つかったバグを世界中のエンジニアが修正しているので実績もあり品質も高いです。結局、ゼロからモジュールを製造する合理性がない。

また、SaaSもエンタープライズ領域では他システムとの連携を見据えたAPIを実装しているものが増えてきていて、正しく要件定義さえできていれば結局製造するべきは「つなぎ込みの部分だけ」という結果になってしまうこともあります。

製造工数を価格請求の根拠とする人月モデルは今後ますます厳しくなっていくでしょう。

事業との密接なコミュニケーションが必須の時代に、会社間での伝言ゲームのコミュニケーションコストが高い

画像1

時代の変化の速度が二次関数的に大きくなっている時代に、ベンダーに求められるのは「ユーザー会社との密接なコミュニケーション」です。

多重下請け構造だとどうでしょうか。例えば二次請けの会社がユーザーと直接対話することがありえるでしょうか。三次請け、四次請けはどうでしょう。

おそらくユーザーと直接対話することはないでしょう。それは見方を変えれば「商流飛ばし」ともいえる行為になりうるのですから。

結局(n-1)次請けの「又聞き」を続けることになり、そこではコミュニケーションロスが必ず発生します。

システムのカットオーバーに数年かけても良い時代ならそれでも良かった。

しかし、今はこういったやり方では、マーケットの変化に迅速に対応できないと考えています。

委託会社がそれぞれの利益を巡って対立する場合もある

多重下請けの委託会社はそれぞれが独立した利益追求組織です。

二次請けと三次請けの間でフィーを巡ってハードな交渉が始まり、それを一次請けを巻き込んでユーザーに転嫁するかを決める。。。なんていうシチュエーションは想像に難くありません。

開発を依頼したユーザー会社からしたら、その中で回る金の分配などどうでもいいことです。

そんなことはいいから価値を最大化してほしい、と思う会社が多いと思います。

まとめ

この記事では、DX時代に多重下請け構造が厳しくなっていく理由を

・OSSやSaaSの活用による製造コストの減少

・構造上、顧客と直接対話できない

・開発会社間の利益相反

という3つの観点から簡単ではありますが解説しました。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。サポートいただけると記事を書くモチベーションになりますので、よろしくおねがいします。