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雪華の戸締まり(ネタバレあり)

すずめの戸締まり、観終わった感想です。

東日本大震災のテーマは他の誰かに論ずるのをおまかせしてですね😃
わたしは冒頭シーンとラストシーンで繋がってゆく「過去のすずめ」と「今のすずめ」とのインナーチャイルドワークについて書こうと思います。
新海監督が意識していたかどうかは知らないけど、わたしが感じたのは、この部分ってインナーチャイルドワークだなぁと。

インナーチャイルドとは、幼少期に大きな喪失や傷つきによって、早くに大人にならなければ生き残れなかったため内側に子どもの自分を残したまま大人になってしまい、この子どもの自分が癒されないまま取り残されていることを言います。(わたしのざっくりとした解釈)
このインナーチャイルドを癒して大人の自分と融合させないと、いろいろ問題が起こるのです。

主人公のすずめちゃんも、5歳?の時震災にあってお母さんを亡くします。
震災の時、東北の太平洋側の海辺の一軒家にすずめちゃんはお母さんと暮らしていました。

ここからはわたしの勝手な想像です。

看護士のお母さんは夜勤で家で寝ていて津波で家ごと流されて亡くなったか?もしくは病院で仕事中に津波で流されたか?おそらく遺体がみつかってないのかなぁと。作中に「お母さんはどこかへ行ってしまった」みたいなセリフがあったので。
そして、すずめちゃんは震災時、保育園?かどこか別の場所にいて助かったのかと。
そのあと避難所でお母さんを探しまわったけれど、どこにもお母さんはおらず、家にも探しに行ったが家は津波ですべて流されて跡形もなくなっていた。
瓦礫の山のなかから唯一、お母さんが誕生日プレゼントに作ってくれた思い出の椅子だけが残っていた。
椅子の脚がなぜ3本なのか?気になっていたのですが、それはおそらく津波の衝撃で壊れて椅子の脚が1本流されたんじゃないかと。

不安定な3本脚の子ども椅子が、その後のすずめちゃんを心を象徴しています。

(その椅子に草太がのりうつらせられたのもなんとなく納得がいく)
で、インナーチャイルドワークの話にもどります。
ラストシーンで常世(死者の世界)に迷い込んだ幼いすずめと高校生に成長したすずめが出会います。(これは冒頭シーンでもある)
蝶々が舞い花が揺れる。でも荒涼とした草原のなかをお母さんを探してさまよい歩く幼いすずめ。そのすずめを成長したすずめが抱きしめます。
その瞬間、成長したすずめは悟ります。
認めたくなかった母の死を。
認めたくなかったから幼いすずめは常世をさまよっていた。
そして母の死を受け入れます。
大丈夫、あなたは大きくなるのよ
と、幼いすずめに声をかけたけど
これは、成長したすずめの今後も暗示する言葉だと。高校生のすずめも、これからまたさらに大人に成長してゆくことを。
幼いすずめと成長したすずめが融合した瞬間です。
喪失は完全に癒えたわけではないけど、そのつどつど癒してゆくのだけど。すずめのなかで区切りみたいなものがついた瞬間でもあるのかなぁと。
そして、常世へと続く扉を締めて鍵をかけます。これはすずめちゃんの喪失体験から希望の再建への「戸締まり」の物語でもあったのだなぁと。

なんかとりとめのない感想になっちゃったけど、そんな感じです。


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