【声劇フリー台本】命の使い道

死に場所を探し求める者の一人用台本です。
※の箇所は音の指示ですので読み上げないでください。
「」の箇所で泣いたり叫んだりするとよりお楽しみいただけるかと思います。

アドリブはご自由にどうぞ。

ご利用の際は利用規則をご一読ください。


【利用規則】


◆この台本の著作権は全て影都千虎に帰属しています。

 商用・非商用問わずご利用いただけます。
 ご自由にお使いください。


 利用時のご連絡は任意ですが、ご連絡をいただけますと大変励みになりますし、喜んで影都千虎が拝聴致します。

 音声作品には以下を明記するようお願いいたします。
・作者名:影都千虎
・当台本のURLまたは影都千虎のTwitter ID
(@yukitora01)

 配信でのご利用も可能です。
 配信で利用される際には、上記二点は口頭で問題ございません。

 また、配信で利用される場合、台本を画面上に映していただいて構いません。

 台本のアレンジは自由ですが、台本の意味合いが大きく変わるような改変(大幅にカットするなど)は不可とします。
 便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。

◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。


【台本】


 俺には生まれた時から特殊な能力があった。

『他者の生命力を吸い取り、他者に生命力を分け与える能力』


 この能力のお陰で俺は死ねない身体になった。
 死にたくても、死んでみても、それは叶わない。
 知らぬ間に他者から勝手に吸い取った生命力がどんな状態でも俺を生かした。

 いつしか俺は、死に場所を求めて自分を犠牲にするようになっていった。
 死ねるのならなんでもよかった。
 俺を殺してくれるのならどんなことでもした。


 なのに、どうしてだろうな。
 今でも俺は死ねていない。
 生死の境を何度も彷徨さまよった筈なのに、その度に息を吹き返した。

 神というものが存在するのであれば、それは途轍とてつもなく気まぐれで残酷な存在なのだろう。
 でなければ、俺がこうして生かされ続けているわけがない。
 神の暇潰しによって俺の人生は成り立っているとしか思えない。


 とにかく俺は死にたかった。
 死にたい。
 誰よりも早く、俺が死にたい。
 もう置いていかれるのはりだ。


「……ッ、なのに、なんでお前は……ッ!」
「なんでお前は、俺なんかを庇ったんだよ! なぁッ!」


「馬鹿じゃねぇのか……俺のことなんか、放っておけばよかったのに……」
「お前が死んだら、意味が無いだろう……ッ?」


 血溜まりに沈んだそいつは、俺の顔を見るとにこりと笑った。


「ッ!」
「ふざけんな……ふざけんなよ!」
「何、満足そうな顔してやがるんだ!」
「死ぬなよ、生きろよ! 生きてくれよ!」
「俺を庇うよりもずっと簡単なことだろう……?」
「お前が……お前が、俺より先に死ぬなんて……ッ」


「そんなこと、あってたまるか!」


 手を握る。
 握り返してくることのないその手は、みるみる内に温度が失われていく。
 命の灯火ともしびが消えようとしている。



 ああ。


 ああ、そうか。
 ようやくわかった。


「お前がそのつもりなら……」
「俺のこの命、全部お前にくれてやる」
「だから……だから、生きてくれ」


『他者の生命力を吸い取り、他者に生命力を分け与える能力』

 俺にこの能力がある理由が、俺が今まで生かされてきた理由がようやくわかった。
 俺は、この日の為にったんだ。
 目の前のこいつを生かす為に、今日という日まで生きていたんだ。

 闇雲やみくもに死に場所を探しても見つからないわけだ。


「……でも、欲を言えば」
「俺はもう少し、お前と一緒に生きてみたかったよ」


 あんなに死にたかった筈なのに、今ではこんなにも死ぬのが惜しい。
 なるほど、これが未練というやつか。
 でも、俺の力でこいつが生きていてくれるのなら、俺はそれで満足だ。


「悪いな、俺のエゴを押しつけて」
「文句は来世で聞く」


「……じゃあな」

※可能であればリップ音

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