別台本『お前が救かるまで』『お前が諦めるまで』に続く第三弾。二人用台本です。
前作二本よりは激しい言い争いにはなっていませんが、相変わらずの問答を繰り広げます。

台本では「」と【】で読み手を分けて記載しています。
《》の箇所はそのままでもお読みいただけますが、読み手の方のお名前などお好きなお名前に変更してもお楽しみいただけます。

ご利用の際は利用規則をご一読くださいますようお願い申し上げます。

【利用規則】

◆この台本の著作権は全て影都千虎に帰属しています。

　商用・非商用問わずご利用いただけます。

　ご自由にお使いください。

　利用時のご連絡は任意ですが、ご連絡をいただけますと大変励みになりますし、喜んで影都千虎が拝聴致します。

　音声作品には以下を明記するようお願いいたします。

・作者名：影都千虎

・当台本のURLまたは影都千虎のTwitter ID

（@yukitora01）

　配信でのご利用も可能です。

　配信で利用される際には、上記二点は口頭で問題ございません。

　また、配信で利用される場合、台本を画面上に映していただいて構いません。

　台本のアレンジはご自由に行いください。
　便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。

◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。

【台本】

【なんか飲むか？】

「要らない。そんなことよりも早く終わらせようよ」
「どうせ無駄なんだからさ」

【そう思ってる内は終わらせねぇよ】
【《お前》が本音を話せるようになるまでは解放する気無いからな】

「……っは」
「そもそも、《君》の言う『本音』って何？」
「俺は死にたい。今すぐ死にたい。さっさと死にたい」
「はい、本音で話したよ。もういいだろ」

【そうじゃねえだろ】
【いや……確かにそれも本音なんだろうが、俺が言ってんのはそこじゃねえよ】

「何？　じゃあなんて言ったら満足するの？」
「《君》が最高にうざくてイライラする」
「邪魔で邪魔でしかたない」
「さっさと満足して解放してくれないかな」
「ほら、お望みの本音だよ。満足した？」

【だから、そうじゃねえって言ってんだろ】
【俺が《お前》に吐かせたいのは、もっと根底にあるもんだ】

「なにそれ。無いよ、そんなもの」

【……まあ、そう言うだろうな】
【だったら、じゃあ……言い方を変えるぞ】

【《お前》はなんで『死にたい』って思うんだ？】
【どうして『死のう』って考えて行動するんだ？】

「なんでって……」
「じゃあ逆に聞くけど、なんで《君》は『生きたい』って思うわけ？」
「理由なんてないだろ？　それと一緒だよ」

【……確かに、『生きたい』って気持ちに理由はないな】
【それどころか、『生きたい』って思いながら生きたことも無い】

「だろう？」

【でも、それが『死にたい』って思う理由にはならないな】
【生を終わらせたいって思うにはそれなりの意志が必要だと俺は思うんだが？】

「……面倒くさいな」
「こんな問答に何の意味があんの？」
「《君》が望む答えがなんなのか、俺にはさっぱり分からないけど、それが分かったところで《君》はどうするわけ？」
「俺が『死にたい』って思う理由を無くそうと頑張ってくれるわけ？」

【《お前》がそれを望むのなら】
【……つっても、俺にできる範囲でだけどな】

「余計なお世話だ」
「なんで他人なんかにそんなもの期待しなきゃいけないんだよ」
「無駄にも程がある」

【無駄かどうかは話してみなきゃ分かんねーだろ】
【一人で抱え込んでても何も変わらないんだから、たまには何かが変わる可能性に賭けてみろよ】

「どうせ何も変わらないのに？」
「ははっ、《君》ってば随分と楽観的だね」
「頭の中にお花畑でもあんじゃない？」
「幸せそうで羨ましいよ」

【酷い言いようだな】
【最初から勝手に諦めてないで、試しに口に出してみるぐらいの気概があってもいいんじゃねえの？】

「嫌だね」
「言ったところでクソつまんない説教でもたれるんだろ？」
「いいよそういうの。面倒だからしなくていいよ」

【悪いが、そういうつもりはねえよ】
【俺は、ただ……『死にたい』って言う《お前》を見ているのが悲しいんだ】

「…‥.悲しい？」

【ああ、悲しい】
【何度も言うが、俺は《お前》には生きていてほしい】
【けど、当の《お前》は生きていくことを諦めて死のうとしてる。その事実がどうしようもなく悲しい】

【生きろって説教たれる気はない】
【何の根拠もなくそんなこと言ったところで、それこそ無意味だからな】
【だから俺は《お前》の本音が聞きたいんだ】
【どうして『死にたい』と思うのか】
【《お前》が『死にたい』と思わなくなるようにするには、どうしたらいいのか】

「……なるほど、ね」
「善人面しちゃって、本当にうざいね」

【何とでも言え】

「うざいうざい。超うざい」
「何回でも言うけど、そういうところが本当に嫌い」

「……でも、《君》のその話は存外気に入った」
「だから、仕方ないから寒いことばっか言う《君》に少しだけ付き合ってあげるよ」

「俺が『死にたい』って思うのは、さ──」