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大英博物館でのマンガ展について2

 英国の大英博物館日本国外最大のマンガ展を行っている(2019年の5/23-8/26)事は、様々なニュースで流れているが、ニュースだけでなく多くの人が実際に足を運び自身の感想を述べている。ロンドン在住者はともかくロンドン観光の合間に見ている人も多い。
折角美術館・博物館が無料な英国まで来て高い入場料を払って日本のものを見なければならないのか?大英博物館は入場無料だが特別展は得てして有料(£19.50≒3500円)で、折角英国まで来たのだからと寄るにはハードルが高い。しかしそれでも自分の目で確認して自分の考えを述べようという者が多いのは、「漫画」に自身のアイデンティティとの関連を意識するものがそれだけいるという事だろう。

 「ギガタウン イン テラタウン」展

 さて、大英博物館の展示は日本国外最大の漫画展だとFacebook経由で知ったが、当初は行く予定もなかった。最近漫画の起源に興味が深まっていたので、「得られる知識も多かろう。残念」と考えていた。(毎年詣でているが、今年は都合9月に行く予定で、それだと展示に間に合わないのが分かっていた。)
 大英博物館の展示に先立つこと半年前。京都国際マンガミュージアム(以後MM)では、こうの史代の「ギガタウン 漫符図譜(朝日新聞社)」の展覧会がおこなわれていた。
 こうの史代は「この世界の片隅で」を描いた漫画家なのだが、戦中戦後物を等身大で描いているが僕とあまり年齢が変わらない。要するに戦後世代でないのにリアルな生活を描いていてとても興味を持った漫画家だ。そんな様々な日々の暮らしに興味を持つこうの史代が漫画の外側の仕組みである漫符をテーマにかきあげたのが、漫画ギガタウン 漫符図譜だ。鳥獣戯画の兎や蛙が演じる日常風景を用いて語られる各漫符の役割は大変興味深いメタ漫画になっており、展示でもとてもわかり易い知恵の溢れた展示となっていた。しかし、それ以上に驚いた事があった。すべての展示に英語で説明がついていたのだ。国際と名がついているが、MMでの展示にしては珍しい。MMには普段、ネイティブチェックの担当者などいないので、何故にこんな面倒くさい事が出来たのかと不思議に思いながら最後まで進むと、協力:イースト・アングリア大学とあった。イースト・アングリアとは、ケンブリッジ近くにある地域の大学名で、要するに英国での展示のメインキュレーターであるニコラによるもので、大英博物館の展示と京都国際マンガミュージアムの展示が裏で繋がっている動かぬ証拠だったのだ。

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