腐葉土

 想い重ねた言の葉が厚く積もる。素直に伝えられたらどんなに楽なのかと考えるが、それでも今日も、はらりと離れた緑の葉を足元に落とすと拾い上げることをせずそのままにした。
 緑の葉は次第に腐りゆく。同じように僕は心の中で醜い想いを募らせる。この想いがじわじわと効く毒のように君に染み込んでいけばいいのに、なんて考える。気が付いたときには僕しか見えないようになっていればいいのに。そんなふうに。
 だけどなんでもない振りをして笑顔で君のそばに居続ける。変色したそれを隠すようにまた緑の葉を落とす。いつか全ての葉を落としきったときに僕は、君に伝えるための声すらも亡くすのだろうと思った。

Twitter300字ss(2016.8.6)お題:声

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?