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ロー閥解体に向けたロードマップ

みなさんこんにちは。ゆっくり法律です。
即日起案が終わった途端、いずみ寮では毎晩のようにどんちゃん騒ぎが起こています。

悲しいことに、司法修習が充実したものになるかどうかは、司法修習開始時点で決まっています。司法修習の充実度を左右する要因は大きく2つありますが、1つは実務修習地です。もう1つは、これから説明する「ロー閥」の存在です。

ロー閥とは

あまり聞き覚えがないかもしれませんが、司法修習にはロー閥といわれる勢力が存在します。広辞苑で「ロー閥」の定義を確認してみましょう。

「同じロースクールの出身者によってつくられる、排他的な人間関係。」

直言‐二・八号(1905)日本紳士閥の解剖「日本紳士閥は左の六閥を以て組織せらる。曰く藩閥、曰く党閥、曰く財閥、曰く学閥、曰く宗閥、曰くロー閥」

導入修習に参加したことのある人ならわかると思いますが、導入修習が開始した時点で謎のグループができていますが、あれが俗にいうロー閥です。

ロー閥のすごいところは、導入修習段階で小規模グループを形成し、そのあとの実務修習中に実務修習地のグループとも有機的に絡み合うことにより派閥を肥大化させ、集合修習段階で圧倒的な権力を誇るということです。そこに予備試験組が立ち向かう余地はありません。

予備試験組でロー生に知り合いがいない私のような人すれば、ロースクール出身者で固まって司法研修所を練り歩くのは異様な光景であり、その結束力には恐怖すら覚えます。

ロー閥にもいくつかありますが、代表的なものとしては慶応ロー閥、早稲田ロー閥、京大ロー閥が挙げられます(3大ロー閥)。他にも、東大ロー閥、一橋ロー閥が存在します。

なぜロー閥は解体すべきなのか

なぜこのようなロー閥の存在を許してはならないのかについて、今まで数多くの議論が行われてきました。主要な論者の意見をまとめると次の通りです。

1ロースクール温存の精神的基盤になり、既得権益の強化につながる

ロースクール制度には数多くの問題点がありますが、ここでは深く取り上げません。私が最も問題視しているのは、ロースクール制度の存在が受験機会の平等を奪い、法曹人気の低下につながることです。司法試験というブランドはかつての旧司法試験のように「誰でも受けられる」からこそ生まれたのであり、現在のように時間とお金が必要な試験では人気を得ることは困難です。ロースクールにおける実務教育という理想は有名無実化し、実際は司法試験の受験資格を得るためだけの機関に成り下がっています。

そして、ロー閥は、そんなロースクール存続の原動力となっています。「ロースクールに入ればロー閥に加入でき、司法修習を有利に乗り越えられる」、このようなサイクルが生まれれば、ロー出身者は否が応でもロースクールに感謝しなければなりません。いわば、ロー出身者はロー閥による甘い汁を吸うことで、ロースクール制度という罪の共犯者になったのです。共犯者になってしまっては、ロースクール制度の否定に向かうはずがありません。

2予備試験受験のモチベーション低下につながる

予備試験組はロー閥に加入できないことも見逃せません。ロー閥に属さない予備試験組はロー閥以外で生き残りを模索せざるを得ず、苦労を強いられます。予備試験組は基本的に生命力が強くタフなのでなんとかなる場合も多いですが、それでもロー閥に属して悠々自適に過ごしている修習生と比べれば雲泥の差です。予備試験組が司法修習において不遇であるという事実は予備試験受験生のモチベーションダウンにつながる恐れがあります。それにより、予備試験人気が低下すれば、1と同様、ロースクール制度の強化に結び付いてしまうため、なんとしてでも阻止しなければなりません。

ロー閥解体に向けたロードマップ

それでは、どのようにしてロー閥を解体すればいいのでしょうか。

1導入修習と集合修習のオンライン化
コロナ禍で実際に行われた取り組みです。司法試験合格者全員が一堂に会する導入修習と集合修習をオンライン化することにより封印すれば、ロー閥が暗躍する場はなくなります。しかし、コロナが終息したことにより、この選択肢はあまり現実的ではなくなりました。

2予備試験合格者の増加
現状、予備試験合格者は500人に抑えられており、ロー卒組の1000人に比べると大きく下回っています。予備試験合格者の定員をあと200人増やすことにより、予備試験組とロー卒組の勢力権衡を達成することができ、ロー閥の影響力を相対的に低下させることができます。

3「ロー閥=ダサい」という概念を植え付ける
これが最も現実的なやり方ではないでしょうか。導入修習中ならまだしも、集合修習に至ってもローの帰属意識があるのはみっともない、という考え方が浸透すれば、ロー閥は解体に向かいます。そのためには、ロー閥という概念の認識を広め、当事者がロー閥に関する議論を活発化させることが重要です。

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