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【仏教心理学】自分を逆洗脳!「ABC+D+E理論」

典型的なアメリカ人エリスならではの女性ナンパエピソード

 ABCDEなんだか、アルファベットが並びました。
 (^~^)

 論理療法の創始者のアルバート・エリスさんは、THE!アメリカ人です!困難があってもくじけずに、そして、難しいことを言うときにもそこに、そこはかとないユーモアが漂っている。

 困難があってもくじけずにっていう、すごいアメリカンなエピソードがありまして(笑)。

 アルバート・エリスさんは若い頃とてもシャイで、女性に声をかけることすらできなかったらしいんですね。

学ランを着たエリスの図

 んでもって、もしかして、俺なんか一生女性と付き合うとか無理なんだ、それどころか、僕なんかが話しかけてもきっと女性は話もしてくれないだろう!きっとそうに違いない!という、「不合理な信念」を持ったんですよ(笑)。

 そっからがすごい!ネットに逃れることなく(当時はインターネットないけど)、何をやったかというと、公園に行って女性に100人になるまで声をかけまくりました(爆)。

 その結果、全員ではなかったけどかなりの割合の女性が優しく受け答えしてくれたそうです。そこで、エリス青年は「不合理な信念」「正しい論駁」によって覆される。俺がその「証拠だ!」と自信満々になって、ABC+D+E理論を生み出したのです!

 ちょっと……(だいぶ?)みこちゃんの脚色入り(笑)。でも公園に行って、自分のその後の現代心理学会の大きな潮流を築くことになる偉大な理論のヒントをつかんだことは事実です。

ナンパでつかんだ「不合理な信念」+「正しい論駁」+「証拠だ!」が論理療法


 では、エリス青年は一体何をつかんだというのでしょう。

Activating event:出来事
Belief        :考え方
Consequence  :結果
Dispute      :論駁
Effect        :効果

 これが、ABC+D+E理論です、これをつかんだのです。

 こう書けば一目瞭然!

公園のナンパエピソード
そのものになっている!

論理療法の要 ABC+D+E理論の詳細説明 

 青年期の危機を脱して人生順風満帆のエリスさん御本人です。


 さて、このような書き方をすると、まるで天才アルバート・エリスが、まぐれでこの理論を発見したようになってしまいますが、もちろん、ここにはすごい洞察と考え方が詰まっています。

 普通は、私たちはAとCの間にBを挟もうとは考えない、Bがそこに重要な働きとして介在しているとは考えないですよね。

 今まで女性と話もしたことない【→】女性には声かけられない人間なんだ

 一般人はここで終わる。

今まで女性と話もしたことない→【僕なんか一生誰も相手にしてくれない】→女性には声かけられない人間なんだ

 そして、一般人【僕なんか一生誰も相手にしてくれない】というのを、単なる、自虐としか捉えない。しかし、エリスはここにこそ、隠れたB、不合理な信念Bというビリーフが混入していて、これをやっつければいいということを発見したのです。

 さすが、もともとはフロイトの無意識理論をしっかり勉強しただけのことはありますね。これはとてもフロイト的な考え方です。


 これを、日本語でもうちょい詳しく見てみましょう。

自分を逆洗脳!「ABC+D+E理論」

 心理学者の伊藤順康氏は、エリスの「ABC+D+E理論」を、自己への逆洗脳理論だとしています。とても、しっくりいくネーミングですので、伊東氏に語ってもらいましょう。

エリス理論なら
自分で自分を洗脳できる!


 自分を逆洗脳する  
 出来事そのものが悩みを生むのではなく、出来事をどう受け取るか、その受け取り方(考え方、文章記述、たとえば「こんなことがあって自分はもう生きていけない」、「自分はダメな人間だ」など)によって、悩みは生じるのである。
 つまり、AがCを生むのではなく、BがCを生むのである。Aに変化がなくとも、Bが変わればCは変わるのである。このBを変えていこうというのが、論理療法の中心である。(中略)
 Dは、反論すなわちイラシャナル(不合理)なビリーフ(B)を粉砕する段階のことである。つまり、イラシャナルなビリーフをラシャナル(合理的)なビリーフに修正する段階である。これが成功すると行動が変容する。効果Eの段階である。

『自己変革の心理学』P172-173
太字はみこちゃん

アファメーションなんかバカらしくなる!

 どうでしょうか、この説得力!さすが、公園で玉砕覚悟で女性100人に声をかけただけのことはあって、説得力が違います。

 もしかすると、これを読んでいる方の中にもやっている人もいるかもしれないので、気を悪くしないでほしいのですが、アファメーションなんかに比べると、こうして今この記事で、論理療法の理屈を知っただけでも、段違いに効果がありそうだと思いませんか?

アファメーションとは、なりたい自分になるための、言葉による思い込みづくりのことで、「肯定的な自己暗示」「肯定的な自己説得」「肯定的な自己宣言」とも言われます。
簡単にお伝えすると、なりたい自分にふさわしい文言をつくって、何度も言ったり、見たり、聞いたりすることで、自分自身に健全な「思い込み」をつくることです。

上記サイトより引用

 言葉によって、例えば「俺はすごい」と毎朝10回歯を磨く時に唱えたり、「俺はすごい」と出社前、通勤途中電車で紙に書き出す。効果あるんでしょうかこれ……。それよりも歯を磨いているときに家族に聞かれたり、電車の中で座って手帳に書いていたら、上から立っている女子高生に見られていたとか、そっちの方がトラウマにならないでしょうか。

 エリスの考え方は、どこが違うかというと、まずBの信念が邪魔をしている、というブロックを特定しているところがすごいのです。前回書いたように、敵を特定することが論理療法ではとても大事になってきます。

 アファメーションは、敵を特定してませんよね。だからアファメーションやってみた人は分かると思いますが、自分でもどっか半信半疑にならざるをえない。それは、自分の潜在意識の「不合理の信念」が「そんなおまじない無駄だよ」と、しつこく邪魔をしているからです。これがブロックの正体なわけです。

敵を倒しておかないと
なりたい自分にはなれない

 そうじゃなくて、エリスの論理療法は、ピンポイントでまずDが敵のBを粉砕するのです。そして、気持ちを完全にニュートラルにする。

 今話を分かりやすくするため、アファメーションだめだ!と書きましたが、このDがBを粉砕した時点でアファメーションぜひやって下さい!ニュートラルになった自分にアファメーションって、めちゃくちゃ効果ありますから。

 つまり、アファメーション自体が悪いのではなく、アファメーションを最大限効果的に利かすためには、まず論理療法でDによるBの攻撃をしておくべきだ。ということなのです。

アファメーションを組み合わせれば
更にメンタルブロックは外れやすい

次回は、潜在意識に切り込みます!

 さて、いかがだったでしょうか。

 論理療法が説得力があるのは、潜在意識の邪魔を攻撃(D→B)してから、ポジティブなことをやるという二段階戦略にありました。

 世の中には、潜在意識を書き換える、という本がいっぱい出ていますが、その本の中にはもちろん素晴らしい名著もあります。でも、なんだか「ふーんそうなんだー」で終わってしまう本もありますよね。

 それはなぜかというと、潜在意識を、意識されていない普段隠れている意識、くらいに曖昧に捉えているからです。

 だから、本の表紙にいくら「潜在意識を活用しよう!」とか書いてあっても、アルバート・エリスレベルに潜在意識Bの正体を突き止めていないので、その本は説得力がないのです。

 ダメな本をここで次々と紹介することも出来るのですが(爆)、それをやると、あ、またみこちゃんがそっち方面に走ったと笑う人がいると思いますので(笑)、ここでは、アルバート・エリスも論理療法もはっきりとは打ち出していませんが、完全に論理療法レベルをクリアしている素晴らしい本をご紹介したいと思います。

 理論の話が多くなったので、ここらで、もう少し具体的にメンタルブロックを外す話をみていきたいと思います。


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