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松岡茉優さん演じる『みちる』を観て思うこと

2023.10 ドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』に、
松岡茉優さん演じる、『みちる』という人物が登場している。
子どもを二人連れてDV夫から逃げ、転がり込んできた人で水商売で生計を立てている。掴みどころのないフワッとした人物。
第四話では、愛情に飢えているような、自身を大切にしていないようなバッググラウンドが見え隠れしだした。

あ〜こういう人いるよな〜、いたな〜と思い出した。

看護師になって四年目に地元の総合病院に転職した際に、同じタイミングで入ってきた看護師。
その人は、その時結婚していて(たしか結婚して2〜3年と言っていた)子どもはいないと言っていた。薬指に結婚指輪をつけていた。
その時初めて会って話してみて、そのなんともいえないほんわかした柔らかい雰囲気と、色白で身体のラインが目立つ体型、眼差しや話し口調からも色気を感じるような、フェロモンが漏れてしまっているような人だった。
だけど、既婚者なんだ。と何故か少し安心したのを覚えている。
独身だったらなんか荒らしそうだな…と危険を察知したのかもしれない。同性としては、ちょっと友達になるのは躊躇するタイプだった。

私たちは別の病棟に配属されたため、たまに院内で会うと手を振るくらいの関係だった。

その二年後くらいから、「仕事はできるんだけどね。」なんて、ちょくちょく色恋の話が耳に入るようになる。
ほとんど女ばかりと言えど、男性医師や研修医がうろつく職場。この手の話は、探さなくても耳に入る。

「なんか離婚したらしいよ。〇〇先生と不倫だってよ、それが原因なんじゃない。」
「え、あの先生結婚してるよね。」
「だからダブル不倫なんだって。」
「ありゃりゃ。やってもうたな。」
あのフェロモンにかかった人と、それを受け入れてしまった人。
夜勤終わりの眠気と、気が抜け解放された精神で、更衣室で着替えながらの会話は、あれは何と表現したらいいのか。あそこで数々の情報が撒かれているのかもしれない。
直接関わりがない私にとっては、他人の痛い話くらいにしか思ってなかった。
荒らしそう。という私の予想は当たったが、"既婚者"というのは全く安心材料にはならなかった訳だ。

さらにそれから約二年後、私はその病院を辞めるのだが、その頃には、彼女のお腹の中にはその不倫相手との子を宿していた。
奇しくも私たちは辞めるタイミングもほぼ一緒だった。
不倫相手とは結婚はしないとのことで、シングルで出産し育てるらしい。それ以上の詳しいことは知らない。

なんかすごいな。フラットを好む人間からしたら異次元すぎて理解できなかった。

その後風の噂で、未熟児で産まれたとかなんとか。育児に精出して頑張っていると聞いたが、今はどうしているのだろう。なんだかんだで逞しいし、したたかなのかもしれない。
その子ももう十五歳くらいだろう。

松岡茉優を観ていたら、彼女を思い出した。
優しい柔らかい雰囲気の人だった。
芯の強さと逞しさで、今笑っていることを祈る。

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