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登山の「ギア」選びに必要なこと


長く使うものであるからこそ、
良いものを選びたい。

そんな時、適切な「ギア」選びに必要なのは、
適切な助言をくれるアドバイザーの存在だ。


そもそもギアとは、道具や装備のことを指す。
なので、登山やキャンプで使うテントや靴、調理道具などを「ギア」と呼ぶ。

登山をライフワークにし始めてから、
こうしたギア選びが楽しみのひとつになった。

登山ウエアやザック、靴下、テントなど
おしゃれで、軽くて、使い勝手の良いギアが
どんどん開発されている。

なので、お知り合いになったハイカーさんたちと「それどこのメーカー?」「使いやすい?」など、お互いに持っているギアを眺めては、よく情報交換をしている。


先日、新しい登山靴を買いに出かけた。

かれこれ2〜3年愛用していた、Colombiaのモントレイル。トレイルランニングシューズに分類されるものだが、その性能は予想していたよりも頼もしかった。

これを履いて、2泊3日の雲ノ平周辺や、大キレット、京都トレイルも歩いた。

ハードな山もソフトな山も、共に歩いてくれた相棒であり、手放すにはもったいない。

そう思いながらも、布が破けてボロボロになった彼(トレランシューズ)を見ていると、次の世代を考えるしかないと思った。

それに、下山時につま先が痛くなることがあり、それもなんとかならないかなぁと考えていた。


こちらが、Colombiaのモントレイル。


ここで「The登山靴でなくていいの?」と思った方がいるかもしれない。

実は、大丈夫なのだ。

登山靴と言えば、ボディが硬くて、靴底に厚みがあって、足首まで保護できるようなハイカットの靴を思い浮かべるだろう。

確かに、以下の写真のようなデザインの靴が選ばれることが一般的だ。


一歩ずつの山歩き入門/四隅友里 より


足首がガチっと固定されるものがいい。そのほうが捻挫が防止される、というのが、おすすめされる理由だ。


けれど私の体感としては、そうとは限らなかった。実際に、ハイカットの登山靴を履いて山を歩いていた時に、ひどい捻挫(靭帯損傷)をしたことがある。

その経験から、足首が靴でホールドされるよりも、靴が軽くて柔らかくて歩きやすいことや、靴底のグリップが十分にあることなどの要素が重要になった。(スニーカーは靴底が滑りやすいのでNG)

そこで愛用するようになったのが、
トレイルランニングシューズだ。

なんと言っても、地面を歩く感覚がよくわかる。つまりは、地面をしっかりとらえられるので、安定感があるのだ。

足の自由度が上がり、普通の登山道はもちろんのこと、岩場の登りがめちゃくちゃ楽。そして、舗装路と登山道を、シームレスに歩けることが魅力的。(ハイカットの登山靴で舗装路を歩くのは、結構しんどい。)

足が自由に動く分、歩きやすく、バランスが取りやすいのだ。


登山靴には、長時間の山歩きに適したもの、寒さに強いもの、走りやすいもの、岩場に適したもの、里山歩きにちょうど良いものなど、得意分野が様々ある。

登山を続ける中で、好きな登山のスタイルがわかってくると思うので、それに応じて履く靴を変えていくのがよいと思う。


さて、市内のスポーツ用品店を訪れた。

壁一面に並ぶ登山靴の数々。ハイカットシューズからトレランシューズまで、品揃えは豊富。赤や青、黒やベージュなど、靴のカラーは多種多様だ。


どれにしようか。手にとって、重さなどを見ながら、しばらくの間ウロウロ。

いま愛用中のColombiaのモントレイルシリーズもあった。けれど、発色の良い青色で、好みのデザインではなかった。

うーん、とうなりながら、別のメーカーの靴を一足手にとる。店員さんに試し履きを希望し、靴のサイズを伝えた。

靴を履き、坂道を模倣した台で試し歩きをした。うん、平坦な道は、歩きやすい。けれど、やはり下りでは足先は詰まった感じがする。

「よかったら、サイズ測りましょうか。」

つま先が気になると伝えたところ、店員さんが提案してくれた。お願いすることにした。


足のサイズを測ってもらうと、確かに私が伝えたサイズの通りだった。

「登山靴は、普段の靴のサイズの1.0〜1.5㎝大きいものを選ぶのがいいと言われているので、大きいサイズを試してみますか?」


え、そうなんですか!?
そんなことを知らずに、今までピッタリサイズの靴を選んでいた。

「お客様の靴のサイズで、レディースとなると、サイズがあるのはここのメーカーと、ここですね」

これなんて、どうでしょう?
そう言って店員さんが勧めてくださったのが、ALTRAという海外メーカーのトレイルランニングシューズだった。

元々知っているメーカーで、以前試し履きをしたことがあった。このときは、横幅が広すぎで、合わなかったように思う。

店員さん曰く、幅広タイプと普通のタイプの二種類あるらしい。知らなかった。

普通タイプを選び、履いてみた。履き心地は柔らかい。靴底は、歩くと「キュッ、キュッ」と音が鳴る。靴底のグリップが効いている。

先ほどの坂道台を歩いてみると、つま先は痛くならないし、滑らず安定して歩くことが確認できた。靴からスポスポと、足が抜けることもない。


ARTRAのLONE PEAK7
お迎えしました!


素晴らしいアドバイザー(スポーツ用品店の店員さん)のおかげで、めでたく新しい相棒を迎え入れることができた。

たくさん並んでいた靴の中から
選び抜かれた一足。

その事実だけでも、
なんだか高揚感が増していく。

どれにしようかなぁと、悩んでいたところから、私が買うと決めるまでを導いてくれた店員さん。ギアの趣味嗜好も合い、幸運にも、良い方に巡り合えた。

もし彼女に出会えなかったら、次の一足に出会うまでに、もう少し時間がかかっていたかもしれない。適切な知識を教えてもらえたことと、パーソナライズに選んでもらえたことで、満足のいくギア選びができた。


適切なギア選びに重要なのは、
ほしいものに導いてくれる人がいることだと思う。

ただ、この考えだけでは、出会いを運任せにしてしまうなぁとも思う。だから「もし自分にも何かできることがあるとしたら」という側面も考えておきたい。


私が思うにそれは、
自分を知ることではないだろうか。


自分はどんな悩みを持っていて
どう解決したいのか。

ギア選びのどういうところがわからないのか。
どこまでがわかっているのか。

それを言語化できて
相手に伝えられることができたとしたら、

どんな場面でも、もっと早くに
最適なものに出会えるだろう。


例えば今回、靴を選ぶにあたり、つま先の痛みがあり、それを解消したかった。なおかつ、今までのように、軽くて歩きやすい靴が欲しかった。

それをアドバイザーに伝えたことで、
最適なものに巡り合えた

とも考えられるのだ。

この出来事と対比するようなことがあった。
それは、登山靴を買った帰り道でのこと。

iPhone15の売り場を通りかかった。
少し立ち止まった途端に、すかさず販売員がやって来て、セールストークが始まった。

「iPhone15に買い換え予定ですか?今なら月々〇〇円で、安く乗り換えられますよ。もしそうだとしたら、どうですか?買い換えてみたいですか?」

ただ見ていただけなのに。弾丸トークが面倒くさくなり、大丈夫です、と伝えて、そそくさとその場を離れた。

ただ、販売員の「売りたい想い」を聞いただけ。これでは、ね。

相手任せではいけないし、
相手が自分の話ばかりをしていても良くない。

つまり、一方的ではいけない。

相手がどんなに良い情報や知識を持っていたとしても、
自分が何がほしいのかがよくわかっていない状態であると
その情報も知識も、役に立たない。煙たいだけ。

自分がほしいものをオーダーできることが
まず、重要。

だから、自分を知ることは、
とても大事なのだと、私は思う。

その後、相性の良いアドバイザーに出会えるかは
運に任せてしまおう。


自分を知って、悩みを共有して、
素敵なアドバイザーのおかげで
出会えた一足。


今まで抱えてきた悩みを、解消してくれるギアがある。
それだけで、とっても頼もしい。

新しい一足。出会ってくれて、ありがとう。
次の山旅が、楽しみだ。


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