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カンボジア美人はマーケットで花開く 〜シェムリアップ〜

化粧が好きだ。
デパートでメイクコーナーを素通りすることができない。つい寄り道してしまうし、美容系インフルエンサーのメイク動画を暇さえあれば見てしまう。

私にとってメイクをすることは武装するのと同じで、外の世界に飛び出す際の一種の起爆剤となっている。
子供の頃から人一倍容姿にコンプレックスを持っていた自分が世の中で普通に過ごす為には必要不可欠なツールであり、毎朝の化粧の時間は自分と向かい合う大切な儀式のようなひと時なのである。

そして私は他人のメイクを見るのも大好きだ。綺麗に施されたメイクを穴が開くほど見ていたい。

ところで、東南アジアの人たちのメイクはめちゃくちゃ濃い。
タイ、ベトナム、カンボジア、インドネシア…etc。
めちゃくちゃ濃いか、全く化粧をしていないかの2種類の人種しか存在しない。中間がないのだ。

化粧をする側の人達はファンデーションもアイシャドウもかなりしっかりめにつけている。
東南アジア系航空会社のCA達の華やかさたるや、同じサービス業を生業としている自分でも驚く程に隙がなく、またコッテリとしている。

これは街に出ても同じことで、その辺を歩いているちょっとおしゃれな女の子は勿論のこと市場で働いている人たちもバッチリと美しいことが多い。

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私は彼らの強めの化粧が大好きだ。単なるお国柄、トレンドがそうさせているだけなのかもしれないが他者に媚びない、芯の強い感じがとても美しいと思っている。
初めてベトナムで強めのメイクのお姉さんを見てから私はすっかり彼らのメイクのファンになってしまった。

そんな憧れを胸に秘めて旅行をしていたある日、ほんの少しだけそのプロセスを覗くことができた。カンボジア、シェムリアップのマーケット内でのことだ。

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数ある食料品や衣類のコーナーよりさらに奥深くの一角、6畳もないであろうその場所に多くの若い男女がたむろしている。一瞬見ただけでは何なのかはわからないくらいごちゃごちゃしているそこは、どうやら美容サロンのようだった。あまりの狭さに通路にまで椅子がはみ出ている。

そんな美容サロンへもう日が落ちようとしている時間なのに、沢山の人たちがヘアセットやメイクの為に訪れている。これは興味深い、と立ち止まって少し見学をさせてもらった。

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美を与える者と、美しくなる者。私の大好きな強めのメイクが手際よく施されていく。
ファンデーション、アイシャドウ、アイブロウにハイライト。
日本のトレンドとは全く異なる濃い色使い、そして化粧品の消費量。
まさに武装のようなメイクがそこにあった。

貴重品なのかもしれない、丁寧に、でも限界まで使い込まれた化粧品達。
そこには確かにメイクに対する愛情があったように思う。

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そしてプロセスが進むにつれてだんだんと嬉しそうな顔になっていく客。
ああ、自信に満ち溢れた、輝きを手に入れる瞬間は世界共通なのだとファインダー越しにこちらまで嬉しくなってしまった。
美を求める心は国が違えど皆同じなのだ。綺麗になれば、自然と笑顔が溢れてくる。

若干生臭い、マーケットの喧騒の中に美しさが生まれる瞬間。

そうこうしているうちに、メイクが完了した客は夕闇のシェムリアップへ颯爽と消えていき、次の客がメイク台の前に座っていた。
カンボジア美人はマーケットの一角で花開く、そんなひと時を垣間見ることが出来た。


ところで、このマーケットの一角には美容サロンが他にも数件あるのだが
男性従業員がかなり多かったのも嬉しい発見だった。
化粧は女性のもの、という概念ももうこの時代には古くなって来ていると思いたい。これはカンボジアに限ったことではなく、タイでは有名コスメブランドの男性美容部員が真っ青な口紅をつけて接客していたし(荒木飛呂彦氏の描くキャラクターのようで凄く格好良かった) 
香港や台湾の美容カウンターも結構な数の男性従業員が立っている。

昔と比べて着実にいい時代になって来ているような気がする。そうであって欲しい。

誰でも好きな格好やメイクで生きていかれる社会が少しずつ広がっていったら良いな、とアジアの片隅から切に願っている。


結論、化粧って最高!

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