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紅蓮

美しく白い鳥が遊ぶのを見ました。

鳥は白い羽を大きく広げ
天女のように舞い踊り、美しい声でさえずります。

皆が喜び、その姿と声を称えて外に出ます。


私の背中に生えるのは

紅蓮であって羽ではない

焔の如く身体に絡みついても、

凍てつく心は焼かれずに

弾け飛んで引き裂かれる


窓辺に別の鳥が来ました。
寒そうに身体を震わせています。
茶色く小さな羽は
空を飛べないようでした。
ご飯粒を少しばかり与えてやると、
鳥は元気に走り去りました。
その姿は
私を少しばかり勇気づけてくれました。


私に背中に生えるのは

紅蓮であって羽ではない

冬の白さににじむのは

そこに咲いた花ではない

裂かれた傷から流れ出る血によって

全て紅蓮の焔に染まれ

凍てつき紅の珠となれ


さあて、心も身体も氷となって、
凍てつく微笑みを携えて
お茶の用意を致しましょう
とてもとても暖かなお茶を。

皆さまお喜びになられるでしょうか。


おや?ご覧になった皆さま、
どうかお気になさらぬように。

これは問わず語りの昔話でございます。
凍てついた心がどうなったかは、

私自身にも分かりませぬが。


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