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ドイツスーパー「ALDI(アルディ)」恐怖のレジ

近年、世界中で勢いよく成長を続けているドイツのディスカウントスーパーといえば「ALDI(アルディ)」である。
私は初めてアルディに行ったときのことを、今でもよく覚えている。
倉庫を思わせるような、殺風景な店内に衝撃を受けた。トイレットペーパーやドリンク類はパレットのまま、小さな商品はダンボールに入ったまま陳列されていた。
そこには商品を「客に見せる」要素がひとつもなかったのだ。

人間というものは慣れてくる。
13年の歳月を経て、アルディの商品陳列はさほど違和感を感じなくなってきた。
しかし、どうしても慣れることができないものがある。
それがアルディのレジだ。

私はひとりでアルディに買い物に行くことはない。正確にいうと、ひとりでアルディに買い物に行くことはできない
どうしても買わなければならないものがあれば、足を踏み入れるが、購入商品は必ず2点以下と決めている。

ドイツのスーパーでは、お会計をしにレジに行くと、まずショッピングカートから商品をレジのベルトコンベアの上に自分で並べる。そして、レジ係がバーコードをスキャンした後に、その場でお買い物袋に入れるか、再度ショッピングカートに戻し、レジ近くのカウンターに移動し、自分のバッグに入れていく。

スタッフの数が少ないので、アルディでは開いているレジがひとつだけの場合も多く、レジには行列ができていることがしょちゅうだ。お客さんはみんなのんびりと自分の番がくるのを待っている。
しかし一旦自分の番が回ってくると、この静けさは突如として終わる。
レジ係のスキャンのスピードもさる事ながら、お釣りの暗算の速さも神業。(通常ドイツ人は計算が苦手といわれているが、アルディのレジ係だけは特別である)
その上、他のスーパーと違い、スキャンした後の商品を置く場所が異常に小さい。レジ係がスキャンするのと同じ速度で商品を袋(またはカート)に入れていかなければならない。くわえて、お財布からお金を出して支払う必要がある。この作業にもたついていると、次のお客さんの商品が勢いよくスキャンされてきてしまう。自分の会計が終了すると、購入した商品とともに、その場をさっさと立ち去らなければならない。

この同時進行を、すべて高速で行わなければならず、鼓動が速くなり、動悸が激しくなってしまうアルディでの買い物は、私にとって恐怖の域に達している。

商品陳列においても、従業員の数も、レジにかかる時間も最小限。人件費をおさえ、なるべく安く商品を顧客に提供するアルディ。
このドイツらしい無駄のなさが、世界で成功している秘訣なのだろうか。

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