見出し画像

はじめての一人旅で出会ったセレンディピティな苺大福

私がはじめて一人旅に挑戦したきっかけは本当に些細なもので、繁忙期に立て込んだ仕事に耐えられず「とりあえず職場から逃げ出すこと」が目的でした。
「とりあえず屋久島に行こう」と思い立ったが吉日、たまたまセールをしていたピーチで鹿児島行きのフライトを予約したのです。
※こちらはPOOLO JOBの課題記事です。あと写真は全て宮古島です。

逃げるように屋久島へ

何も考えず勢いとテンションで予約したフライトは朝6時発。
買ったまま読んでないガイドブック、買って開封しただけの新しいカメラ、古いスーツケースにとりあえず洋服や日用品を適当に詰め込んで、私の逃避行がスタートしました。
前日も遅くまで残業しており、空港まで辿り着けず近くの漫画喫茶から始発で移動するなど、スケジュールはガタガタでしたが、スマホで簡単に検索した情報だけを頼りに屋久島を目指しました。

一人旅は「一人ぼっち」すぎた

今回の旅行は全て自己手配だったので、宿泊先はご夫婦が営むペンションに宿泊しました。
はじめての一人旅、誰とも言葉を交わさないまま3泊4日が終わってしまうことが怖くて、せめて宿の方と接点が持てるようにフレンドリーな雰囲気の場所を選んだ記憶があります。
そのペンションでは、朝晩の2食が提供されていましたが、誰も食事中にお話をするような雰囲気はなく、私は慣れない土地でひとり黙々と食事をしていました。

2日目の朝食後、一人の女性に声をかけられました。
私は昨日到着したこと、ペンションからすぐそばのマングローブ林が意外と良かったことなど、彼女とはたわいない雑談のような交流をしました。その日、私が話した人は彼女一人だけでした。

一期一会の出会い

2日目夜、夕食後にまた朝の女性と再会しました。
聞くところによると、彼女は不登校である小学生の娘さんをケアするため母娘で1ヶ月ほど屋久島に滞在しているとのことでした。
彼女に隠れるように立っていた娘さんは、私を警戒しているようで特に言葉を発することなくその場を分かれました。

翌日も、食事の後やペンション内で会った際に情報交換や話をするようになり、3日目夜には夕食後にオーナー夫妻も一緒にテラスで軽くワインを飲んだり、またトレッキングの最中に出会った人とバスを待ちながらお話しする機会があったり、一人ぼっちだったはずの逃避行は少しずつ出会った方によって彩られていきました。

最終日の苺大福

最終日、チェックアウト手続きをしている際に、母娘が声をかけてくれました。
そこで、娘さんから小さな紙袋をひとつ手渡されました。
「昨日、近くの和菓子屋さんに行ったとき、娘が『お姉さんにも買って帰ろう』って言ったんです」
良かったらどうぞ、と差し出された袋の中身を見ると小さな苺大福が一つ入っていました。
それまで一言もお話しできずにいた娘さんが私のために提案してくれたことに、思わず少し泣きそうになりながら受け取りました。

ずっと、ふたりの事情は詮索しないように、でもせっかく出会ったのだからお互い楽しい時間になるようにと少し気を利かせて接していたつもりでした。
でも本当は、仕事が辛くてしんどくて、逃げるように屋久島に来た私の方が彼女たちに癒されていたのです。
会社以外の世界が存在すること、プライベートな一個人としての「私」が存在すること、そんな当たり前のことを私は忘れて息苦しくなっていたことに気づかされました。

まとめ

初めてのことに挑戦するときは、何かしらの失敗がつきものです。
私の初一人旅でも失敗はありましたが、だからこそ出会えた人々や出来事があります。
スケジュールがパンパンに埋まった「旅行」も楽しいですが、余白や失敗が連れてくるセレンディピティな旅は「旅行」では味わえない経験や感動と出会えます。
当時の私のように何か行き詰まっているような気がしている方は、ぜひどこか旅に出てみませんか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?