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【オヤツドキ、考え事、そしてオヤツ】

【オヤツドキ、考え事、そしてオヤツ】フロム【ハウ・キュート・マイ・キャット・イズ】シリーズ!

【ハウ・キュート・マイ・キャット・イズ】 シリーズ とは:
yulou407によるニンジャスレイヤー二次創作、つまりテキストカラテのカテゴリーの一つ。グラスキャットのカワイイなワンシーン、日常風景、観察日記、彼女が愛用するヘッドホン端末のデータの一部など。ショートムービーめいた記録。文体は忍殺に準ずるものから箇条書きまで様々である。

私に話しかけるあいつの声は、基本的に甘ったるい。一方、言葉には甘みはあまりなく、フワフワとしている。……声を食べ物に例えるなら「メープルシロップ」、言葉は……「ホットケーキ」だろうか。おそらくそうだ。

ただ、その「ホットケーキ」は……店で出るようなゴージャスなものではなく……かといって、なんと言うべきか、素朴でもないのだが……「それなりに頑張って作ったホットケーキ」、なのだ。形は……そうだな、ううむ……

『午後3時になりました。オヤツを食べませんか?今日は天気が悪いですから、甘味を摂った方が良いと思います』

「なにか作る?ホットケーキとか……」聞こえてきた12面体ドロイドの声に、私は考えをまとめ切らないまま提案してしまった。……そうだ、多分形は綺麗に丸くなどない、焼き目の少し濃い、そういうホットケーキだ。私は満足して、考えを脳内の引き出しにしまった。

「私が作ろうと思う。美味しいはずだぞ」「アー、作れる?前にフライパン壊しちゃってたけど」メープルシロップボイスのやる気に満ちた宣言に、私は尋ねた。声の主はちょっと特殊な不器用で、自分で作り出した(文字通り生成する)ものでないと高確率で壊してしまう。

「今日は私専用のフライパンだからな。しばらく待っているといい。大船に乗ったつもりで!」ならば安心だ。私は待っていることにした。それからしばらく経った。

「できたぞ、お食べ。あまりの素晴らしさに驚くといい」

それは、見た目も、味も、シロップのかけ具合まで、まさに私が考えを巡らせ、思い描いたホットケーキそのものだった。こんなことがあるのか。

「どうだね」私は、目の前の自信満々な、しかしどこか不安そうに私の反応を伺う、いとしいホットケーキウーマンに笑いかけた。

「オイシイ」

【オヤツドキ、考え事、そしてオヤツ】おわり。

あたたかいホットケーキ!

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