「無精な私でも楽しめる『土用』の概念とガーデニング」

・日本独自の季節感「雑節」

「土用」は無精なくせにガーデニングをやっている人間にとって便利な概念です。
日本はかつて中国から伝わった二十四節気で季節を表現しました。例えば同様に五節句、桃の節句、端午の節句なども中国から伝わった風習です。
しかし、黄河流域を中心とした中国と島国の日本では、季節のずれがありました。
農作業が中心であった日本では、季節をもっとしっかりと把握する必要があったため、独自の「雑節」という季節の表現が生まれました。

「土用」はその「雑節」の一つですが、中国の陰陽五行説の考えに基づいています。陰陽五行説では万物は「木」「火」「土」「金」「水」から成り立つと考えます。春は「木気」夏は「火気」秋は「金気」冬は「水気」です。しかし、これだと「土」を当てはめるところがないため、それぞれの季節の前に当てはめる「土用」が生まれたと言われています。※諸説あるのかもしれませんが、私が調べたところそうでした。
「土用」には、「春土用」「夏土用」「秋土用」「冬土用」がそれぞれあります。二十四節気で考えると「冬土用」が「立春」前、「春土用」が「立夏」前、「夏土用」が「立秋」前「秋土用」が「立冬」前です。

・「土用」は何もしなくていいの？

つまり、「土用」というのは季節の変わり目を表す言葉なのです。
「土用」は「土公神どくじん」という土をつかさどる神の支配する時期とされており、土を動かす作業を忌む期間でした。
木を植えたり、農作業をすること以外にも、引っ越しや新しいことを始めてもうまくいかないとされます。

春土用の期間は二十四節気の「立夏」の前の18日間。2023年の「土用」は4月17日（月）～5月5日（金）です。

「やったあ！その期間は、何もしなくていいんだ！GWって昔の風習に基づいて作られたものだったんだ。ガーデニングもしなくていいんだ」

こんな風にこれを知って考えたのは、私だけでしょうか。昔の人がその期間休んだ方がいいっていうんだから、何か経験に基づく根拠もあったのだろうと思うのです。

しかし、昔の人は私のように自分がやりたいことすらいい加減なサボり魔ではありませんでした。
「土用」の期間に忌まれる「土」に関する事柄は多くあります。
それらの用事を済ませるために、「土用」には「間日（まび）」が設けられています。
この「間日」には、土公神は文殊菩薩に招かれて天上に行くので、地上にはいなくなります。つまり、「間日」には土を動かす作業ができるのです。

確かにその期間に植物が弱ってしまっても、土の入れ替えもできないようでは困りますよね。
「やったあ！その期間は、何もしなくていいんだ！GWって昔の風習に基づいて作られたものだったんだ。ガーデニングもしなくていいんだ」
こんなことを考えていてはだめなのです。

2023年の「間日」は以下の期間です。※ネットで調べたので、違っていたらすみません。
4月17日（月）巳
4月18日（火）午
4月21日（金）酉
4月29日（土）巳
4月30日（日）午
5月  3日（水）酉

5月の中旬から6月は野菜の苗の植え付けに適した期間です。すでにうちには食べきれないほどの野菜が植えてあるのですが、どうせ父が新たに作物の苗を植えるに決まっているので、4月17日、18日、21日あたりで少しは土を動かして、植物がよく育つようにしたいと思います。野草もぐんぐん育つので、少しは雑草を抜いたりすでに育った植物の間引きもしなければなりません。
最近薬草茶作りに凝っています。
庭に群生する薬草もとい野草を採取して陰干ししてお茶として飲むだけです。
ゴールデンウイークの終わりごろはちょうどまた別の野草の花が咲く時期です。5月3日に草取りがてら探してみようと思います。※予定は変わる可能性が大いにあります。

・夏土用は「う」！春土用に食べた方が良いとされるものは？

夏土用の丑の日に「鰻うなぎ」を食べるのは、日本ではよく知られていていまだに倣う人が多い風習です。夏土用は「う」のつくものを食べた方が良いとされています。

同様に他の土用にも食べた方が良いとされるものがあります。
それが、春土用には「い」のつくものと白いもの、秋土用には「た」のつくものと青物、冬土用には「ひ」のつくものと赤い食べ物とされています。
冬は陰陽五行説では「水気」とされているのに、「赤いものを食べるのか？」と不思議に思ってしまうのは、火を赤いものと思っているからかもしれません。

もうすぐGWの前に、「春土用」。
5月初旬に食べたい「い」のつく食べ物といえば？
そう、イチゴです。
今は白いイチゴも売られており、庭で一苗白いイチゴも育てています。白くて「い」のつくいちごを「春土用」に食べれば、より縁起が良いというものではないでしょうか。
ちょうど春の乾燥肌でお肌を労わりたい時期でもあります。
イチゴでビタミンを摂って肌を労わり、白い豆腐を食べてお腹を労わりたいですね。