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我が家の庭の風景 part.75

「植物にも、好き嫌いなどの人間的な側面がある」とは、先日お亡くなりになったハーブ研究家のベニシアさんの言葉だ。

実際、植物を育てていると、たとえ同じ品種であっても、それぞれの個性があると気づかされる。

同じくらいの大きさの苗を同じ日に買ってきて、同じような肥料と土を使って、同じ百均の鉢に植えたトレニア。
1つだけ理想通りに大きく株を広げ、他の2つの鉢のトレニアはほとんど成長を見せない。 

日当たりの問題かと場所を入れ替えてみても、その1つだけが成長がよく花つきが良いのだ。1番手がかからず勝手に成長してくれている。

土の配合だろうか。いや、決定的に1つだけ違うのは鉢の色だ。トレニアが大きく育っている鉢は、茶色いプラスチック製だ。同じデザインだが、他の2つは白だ。まさか鉢の色で生育が違うなんてあるのだろうか。

とあるチャンネルのYouTubeのガーデニングの動画で、ブラウン系とホワイト系が、最近の鉢の色の流行と聞いた。実際、百均にあったものを、昨年か一昨年に買ったので、はやっているものが売ってあったのだろうと思う。

それにしても、ブラウン系が流行っているのは、ブラウン系の鉢植えの方が生育がいいから?やっぱり土の色に近い方が成長しやすいのだろうか。半信半疑だが、鉢植えより以前に買ったトレニアを地植えしていて、先に植えたからなのかもしれないが、茶色い鉢ほどでは無いもののそちらの方がまだ生育が良いので、白い鉢のトレニアは、2つとも地植えみることにした。

鉢から植え替えたトレニア
最初から地植えしたトレニア

7月冒頭の大雨にもトレニアは負けなかった。葉っぱにはほとんど虫がついている様子も見えない。
そもそも、今年それほどトレニアの株を買ったのは、去年二つだけ植えたら、どんどん元気に大きく成長したからだ。今年はトレニアばっかり植えようかと思ったほどだったが、ホームセンターに行ったらつい違う花も買ってしまった。そもそも植栽景観を良くするには、複数の植物を植えた方が良いようだ。

種から増やしたいと思ったが、残念ながら種から芽吹かせることができなかった。ビオラは、種子が落ちて、今年少しだけ芽が出たのだが、春先に花が咲いた後すぐに枯れてしまった。なかなかお金をかけずに植物を増やすというのも難しい。

しかし、勝手に増えてくれるものには思わぬ驚きもある。

野草にも斑入りのものがあるとは、YouTubeの動画などを通して知っていた。例えば、ドクダミなども、「これ野生のドクダミで斑入りなんですよ」と動画で紹介している人がいたのだ。わざわざ斑入りを植えたのではなくてと半信半疑だったが、日本人のガーデナーの人は、斑入りの葉っぱが好きと聞いて影響され、私も斑入りのドクダミがあったら、その株をちょっと目立つところに植え替えたいなどと思ってずっと我が家の庭で探していた。

すると、ドクダミの斑入りは見つからなかったが、思いがけないもので、変わった葉っぱを見つけた。

手前は赤いインパチェンス。隣は虫食いだらけのバジリコ。

斑入りの紫蘇の葉だ。写真だとちょっと魅力が伝わりにくいが、私個人としては実物はなかなかオシャレだと思っている。斑入りになったのは近くの植物の影響だろうか。我が家の紫蘇は野生化していて、あちこち勝手にいろんな植物の側に生えているが、斑入りの葉っぱはここだけだ。
隣のバジルの影響かと思ったが、バジルのそばに生えている紫蘇もこれだけではない。他の紫蘇は普通の赤紫色だ。

という事はインパチェンスの影響だろうか。土壌の違いか、気象条件によるのかもしれない。同じ我が家の地面に生えている紫蘇なのに、これだけ見た目が変わってしまったのが不思議だ。

或いは、生き物というものは、植物に限らず、同じ環境に生きていても、ちょっとした違いで大きく性格を変えてしまうのかもしれない。私も大きく人と違う特性を持っている。それは生まれ持ったものらしいが、私が生み出された環境のどこが特殊だったのか。特別な事は何もなかったと思う。
けれども、無理にその環境に適応しようとしたのか、あるいは生まれ持った特性のために、私はこのような人生を歩むことになった。

猫と日々暮らしす中で、私は猫のような特性の人間だと思っている。猿やクジラのようであってはいけない。猿やクジラは自決する。
私はもっと無邪気でいたいのだ。
そして精一杯でいたい。
我が家にいる2匹の猫は、三毛猫と麦わら柄だ。ともにほとんどメス猫しか生まれないのは、オス猫ほど力のないメス猫にとって、迷彩柄のように、自然に溶け込み目立たないようにするための進化の1つであったかもしれない。しかし、一方で、我が家のメス猫は全く弱さなどを見せず、外からやってくるボス猫に窓越しに吠えかかって戦っている。他の猫には吠えないので、メスながら縄張り争いでもしているのではないか。
喧嘩相手は、大きな顔の灰縞の猫だ。

猫たちの柄は、自分たち猫の意思でそうなったのか。お腹の中で作られた特性は、その子猫自身の意思だったと言えるだろうか。あるいは大いなる母の愛だったのか。同じように生まれてくるはずだったのに、自然の意思の予想を超えてイレギュラーでそうなってしまっただけなのか。

品種改良されていない斑入りの植物は、一般には弱いと言われるらしい。しかし、我が家の2匹の猫と私のようになんとかかんとか、もっと大きく成長して花を咲かせてくれるかもしれない。そしたら私はその種を特別に取っておいて、来年も斑入りの紫蘇を育てられないか試してみたい。

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