見出し画像

【簡単推理】猫を逃した犯人は誰だ!

①事件の内容

ある日の事である。
麗らかな春の日に、桜の美しさに惹かれて花見に出かけた。
すると、花見の帰り道に道端で口論している人たちがいた。

気になって近寄ってみると、なんでも家で飼っている猫が逃げ出してしまったのだそうだ。玄関扉を開けっぱなしにしていたようだ。
暇だったので、猫探しを手伝う事にした。

おうちの敷地が広く、猫は遠くに行かないので庭のどこかにはいるそうだ。
家族は全部で6人。飼っている猫が20匹。そのうち何匹逃げ出したかは、はっきり分からない。誰かが嘘をついていて、家族の誰かが玄関扉を開けっぱなしにしていた。

探す前に、その家族に話を聞いた。

お父さん「私は釣りに出掛けていました。昼ごはんに帰ってきた時に、うちの子猫を前庭の掃除用具の前で見かけました」

お母さん「玄関を開けっぱなしにしていたのはお兄ちゃんではありません。猫が逃げ出したのはすぐに気づきました。午後3時に猫たちにおやつをあげた時に確認したら猫はまだ見つかっても戻ってもいないことがわかりました。逃げた猫は2匹です」

お兄ちゃん「お父さんが言っている事は本当です。ぼくも昼ごはんの時間に猫を庭で見かけました。猫たちは掃除用具の近くに隠れていると思います」

お姉ちゃん「私はちょうどお昼ごはんを食べていたので、猫が逃げたのには気づきませんでした。今家の中にいる猫を確認したら、16匹残っていました。子猫がいません」

おばあさん「玄関扉を開けっぱなしにして猫を逃したのはお母さんに決まっています。お昼ごはんの時間に玄関付近にいるお母さんを見ました。猫はたくさん逃げていて半分も残っていません。裏庭でも見かけた気がします」

おじいさん「お父さんと釣りに出掛けていました。帰ってくると猫たちが逃げ出していたので、すぐに2匹捕まえて戻しました。捕まえたのはおとなの猫でした。庭にはまだ何匹か猫がいます」

どうだろうか。全員の話を聞いたら、誰が玄関扉を開けっぱなしにして、誰が嘘をついているか、猫がどのあたりにいて、全部で何匹逃げ出したか分かるだろう。

②誰がウソをついているか

嘘をついている人は1人だとは限らないが、全員が嘘つきではない。また、玄関を開けっ放しにした人がを嘘ついているとも限らない。しかし、嘘をつく人は発言全体がウソだ。

本当のことを言っている人と嘘をついている人の発言は矛盾するはずだ。

おばあさんはお母さんが玄関を開けっぱなしにしたに違いないと言っている。お母さんは玄関扉を開けっぱなしにしたのはお兄ちゃんではないと言っているので、お母さんが玄関扉を開けっぱなしにしたならその点矛盾はない。

しかし、お母さん、おばあさんが本当のことを言っているとすると、逃げ出した猫の数に矛盾が出る。

②-1逃げ出した猫の数は何匹か

お母さんは逃げ出した猫の数は二匹だと言っている。しかし、お姉ちゃんは猫が家の中に16匹しかいないと言っている。飼っている猫は20匹。お姉ちゃんの発言が本当なら猫は今庭に4匹逃げている。しかし、おばあさんは猫は半分以上いなくなっていると言っている。猫の数が3人とも一致しないので、誰か一人が本当の事を言っているか、全員嘘つきということだ。

猫の数についてはおじいちゃんも発言している。おじいちゃんが猫を家に2匹戻して、まだ逃げ出した猫がいると言っている。

おじいさんの発言はお母さんと矛盾する。逃げ出した猫が2匹ならおじいさんが2匹戻したので、家の中には今全部の猫がいることになる。しかしお母さんは猫が1匹も戻っていないと言っている。おじいさんも、まだ逃げ出した猫がいると言っている。
したがって、おじいさんとお母さんのどちらかが嘘をついているか、どちらも嘘をついている。

しかし、おじいさんが嘘を言っているとすると、おじいさんと一緒に釣りに出かけたお父さんの発言も、嘘になってしまう。

猫がお昼ごはんの時間に逃げ出したのは家族全員で一致している。

お父さんとおじいさんが一緒に釣りに出かけていたのが本当ならば、おじいさんが嘘をついていると、お父さんも嘘をついていることになる。おじいさんとお父さんは釣りから帰ってきたときに、逃げ出した猫を目撃している。2人はその時一緒にいたので、片方だけ嘘をついているということありえない。しかし、お兄ちゃんがお父さんの言っていることは本当だと言っている。お父さんとおじいさんが嘘つきならば、お兄ちゃんも嘘つきになってしまう。逃げ出した猫の数を考えると、おじいさんが嘘つきならば、おばあさんとお姉ちゃんも嘘つきになる。

③ウソツキは何人か

お母さんしか本当のことを言っていないならば、逃げ出した猫の数しかわからない。しかし、猫が昼ごはんの時間に逃げ出した事は全員一致しているので、お母さんが本当のことを言っているならば、お父さんとおじいさんが家にいたかいなかったかは知っているはずだ。

お母さんが嘘をついていると考えたほうが、話の筋が通る。お母さんが嘘をついているならば、逃げ出した猫は2匹ではない。

おじいさんが本当のことを言っているとすると一緒にいたお父さんも本当のことを言っている。またお父さんが本当のことを言っていると言っているお兄ちゃんも本当のことを言っている。

お母さんがウソをついているとすると、他に嘘をついている可能性があるのはおばあさんかお姉ちゃんだ。 

ここでまた猫の数に着目すると、おじいさんは、猫を2匹家に戻して、まだ何匹か庭に猫がいると言っている。おばあさんはたくさん猫がいなくなっていると言っているが、これはお姉ちゃんの発言と矛盾する。

おじいさんとお姉ちゃんの猫の数には矛盾がない。お姉ちゃんとおばあさんが両方本当のことを言っている場合は考えられない。
したがって、おじいさんが本当のことを言っているならば、おばあさんの方が嘘をついている可能性が高い。

④扉を開けっ放しにしたのは誰か

お母さんが嘘をついているとすると、逃げ出した猫の数は2匹ではない。そしてお母さんは、お兄ちゃんは扉を開けっ放しにしていないと言っているが、これも嘘になる。

②-2逃げ出した猫の数は何匹か

嘘をついているのが、お母さんとおばあちゃんだと考える。他の人は本当のことを言っている。お姉ちゃんは、今4匹猫の姿が見えないと言っている。おじいちゃんは2匹、お昼ご飯の時間に捕まえて家の中に猫を戻したと言っている。つまり、最初は6匹の猫が逃げていたということだ。

⑤猫を捕まえよう

全員の話を聞いて、誰が本当のことを言っているかわかった。

お父さん、おじいさん、お兄ちゃん、お姉ちゃんが本当のことを言っている。
お母さんとおばあさんは勘違いなのか、嘘をついてしまった。扉を開けっ放しにしたのはお兄ちゃんだ。
現在、4匹の猫が庭に逃げ出している。
お父さんが見かけた通り、掃除用具のあたりに猫がいた。もう夕方で、猫たちもお腹が空く時間だ。

お皿に猫のご飯を入れて待ってみると、猫たちが掃除用具の下から出てきた。4匹の中には、子猫もいた。おとなの猫の三毛は、人なつっこく、見知らぬ人間でも抱っこすることができた。
猫を捕まえる手伝いをして、そのお礼として猫を抱っこさせてもらえた。家族だけでは冷静に話し合いができなかったようだ。今回は第三者の介入が功を奏した。

綺麗な桜を見て、良い事をした。
いい日だ。
帰り道のドライブは楽しかった。

よろしければサポートお願いします。いただいたものはクリエーター活動の費用にさせていただきます。