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福井優也の楽天での復活はあるか

先日、楽天とのトレードが発表され、広島からは福井優也、楽天からは菊池保則がそれぞれトレード要員として移籍することが決まりました。

福井にとっては、ここ2年チームが優勝する中、挙げた白星はわずか1勝と全く貢献できておらず、環境を変えて再出発するという意味ではいいトレードなのではないでしょうか。

本稿では、ここ2年福井が活躍できていない要因と、来季以降に復活はあるのかという点について分析していきます。

まず福井という投手についてですが、入団当時はノビのあるフォーシームと縦に鋭く変化するスライダーが武器の投手でした。

そのスタイルでルーキー時に8勝を挙げたものの、そこから2年はリリーフ転向も経験するなど、中々結果が付いてこない状況が続きました。

そんな中で、スライダーの割合を減らし、フォーシームとスプリットで押していくスタイルがハマって2014~2016年には計17勝を挙げるなど、先発ローテーションの一角としてチームを支えました。

ただ、その後の2年間はわずか1勝のみと苦しい時間が続いています。

不振の理由

この2年間の不振の理由を探っていくと、単純にスタイルの変化に対応されたという要素が大きいように見えます。

表①は福井の年別の球種別球速と投球割合及びPitchValueですが、投球割合については年によってバラツキはありますが、球速という面を見ると、9勝を挙げた2015年時と比べても特段変化はありませんし、分母が少ないとはいえむしろ直近のフォーシームの球速は上がっています。

それにも関わらず、PitchValueは2015年を頂点に全体的に下落傾向にありますし、フォーシームとスプリットで押していくスタイルに慣れられた可能性が大いにあります。

元々上背がないためボールに角度がなく、かと言って一つ一つのボールを見ても、目を引くような強力なボールがあるわけでもないので、スタイルに慣れられてしまうと、打者の方も対応が容易になり、この2年の低迷に繋がっているのではないでしょうか。

打者の慣れのためか、元々フライボールピッチャーの気はありましたが、今季はその傾向が顕著でFB%は58.3%を記録し、HR/FB(打者に打たれたフライ性の打球に対し、その打球がホームランになる確率)は19.2(リーグ平均は10.1)と登板数は少ないものの大きな数値を記録しています。

元々ボールの質という点では、非常に平凡な投手であることに加え、周囲の投手のレベル向上(2014年から両リーグの平均球速は2㎞向上)に伴い、打者にとっては相対的に打ちやすくなってしまっているという側面もあるのかもしれません。

福井自身も慣れという問題を意識していたのか、2016年にはカットボールの割合を大きく増やしたり、縦に曲がり落ちるのが特徴だったスライダーを球速を落としスラーブのような変化にしたりと、様々な工夫を図りましたが中々効果がでていないというのが現状となっています。

パリーグの方が福井にとって好都合?

このように見ていくと、よりレベルの高い打者の多いパリーグに移籍して、果たして通用するのかとの感想が沸いきてしまいますが、福井にとってパリーグに移籍することが好都合なデータもあります。

それは、パリーグはセリーグに比べ、スプリットやチェンジアップと言った縦変化を苦手にしている傾向があるということです。(セリーグのスプリットのPitchValueが-16.6に対し、パリーグは16.8を記録)

その点から見ると、フォーシームとスプリットが軸の福井にとってはそのままのスタイルで押せば活躍する可能性は大いにあるのではないでしょうか。

加えて、楽天投手陣のスプリットの投球割合は12球団でも下から3番目の6%という投球割合であり、PitchValueも-9.2とあまり得意にしている投手も多くないというチーム事情を鑑みれば、相対的に活躍の場は増えていく可能性は大いにあります。

まとめ

三十路を迎え、このままチームにいても中々出番に恵まれなそうな感はあったので、このタイミングでのトレードは福井にとっても良い機会ではないでしょうか。

何だかんだ言っても、山田哲人・柳田悠岐・秋山翔吾らを輩出した2010年ドラフトにおいて1位指名を受けた投手ですから、新天地に移ってもう一花咲かせてほしいですね。

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