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広島が日本一になれる日は来るのか?

昨日の日本シリーズ第6戦の敗戦により、広島はリーグ3連覇を果たしながら同時に3年連続で日本一を逃す結果となりました。

①今後は主力選手が続々とFA権を取得
②例え残留したとしてもその主力選手は徐々にピークアウトしていく
③過去数年に及ぶ無茶な投手運用や3連覇したことで他球団より長く試合をこなしていたことによる選手への蓄積疲労等のダメージ

以上の要素から、丸や松山がFA権を取得し、かつ投手力に陰りが見えつつある今季までが、「タナキクマル」を中心とした現行チームの戦力としてのピークで、日本一を狙う上で大きなチャンスだったように思います。(当然FA組の残留や薮田や岡田の復活等の要素があれば話は別ですが)

では、セリーグでは圧倒的な差を付けて3連覇を成し遂げ、パリーグのチームとの戦力差も大きくあったわけではないにも関わらず、なぜこの3年間で日本一になれなかったのでしょうか。

この3年間の敗因を挙げるとすると、
①あまりに頑固過ぎた、自分たちらしさを意識し過ぎている
②弱者のメンタリティーから抜け出せない

という2点に集約されるように思います。

①あまりに頑固過ぎた、自分たちらしさを意識し過ぎている

あまりに頑固過ぎたという点は、2年前の日本シリーズでの今村・ジャクソンの6連投や今年の日本シリーズでの盗塁死連発を見ても明らかでしょう。

勝ちパターンという形にこだわり過ぎたり、盗塁を企画することによる機動力を駆使することにこだわり過ぎたため、同じことを何度も何度も繰り返してしまう。

次こそは…次こそは…というギャンブル狂のような思考回路がこの悲惨な結果を招いてしまったのです。

もうダメだと分かったら、見切りを付けて損切りをしないといけないはずですが、形にこだわるあまり引き返すことができなくなるという、投資やギャンブルといった勝負事において典型的な失敗パターンをなぞっていることが分かります。

これでは力が拮抗したもの同士の短期決戦を制することはできないでしょう。

自分たちらしさを意識しすぎているという点は、数十年に渡って言われ続けている広島野球の象徴とされる「機動力野球」を自分たちの野球だと思いこみ過ぎている点です。

思いこみ過ぎているため、「機動力を使わなければ勝てない」との思いに駆られて、あそこまで刺されても刺されても盗塁を企画することを止めなかったのではないでしょうか。

シーズン中でもそのようなシーンは散見されましたが、それでも圧倒的な打撃力でその辺りを覆い隠していました。

しかし、レベルの高い投手陣を擁するソフトバンク相手だとそうはいかず、思うような打撃が出来ずに、局面打開のために機動力に走ってしまったのでしょう。

そもそもですが、何も盗塁を企画することだけが機動力ではないですし、むしろこのチームは全体的な走塁レベルの高さが何よりの強みで、先の塁を奪うことに長けているという意味での「機動力野球」でしょう。

これはおそらく広島の野球は機動力野球ともてはやされた頃から、本質的には盗塁よりも走塁面を重視したものだったのではないでしょうか。(当時のプレーはリアルタイムで見たことがないので分かりませんが)

このように「機動力野球」をはき違えているフシがありますが、今の広島の野球は走攻守の面からの圧倒的な野手力にモノを言わせて勝利をもぎ取る野球ですから、「機動力野球」なんてのはその中の一部で、本質的には「野手力野球」でしょう。

以上のように広島には過剰に「機動力野球」を意識してしまうフシが多々見られますが、それがこの大舞台で顕著に現れてしまったわけです。

②弱者のメンタリティーから抜け出せない

以前から述べていますが、セリーグでこれだけ独走しておきながら、全く余裕を感じられない野球をしているところから、3連覇中の絶対王者のメンタリティーを全く感じ取ることが出来ません

むしろ貧乏人が急にお金を持ってしまったかのような落ち着きの無さを、いまだに感じてしまいます。

独走中にも関わらず、1試合の勝敗にこだわり過ぎて、失点はないものの四球の多い投手は早々に降板させ、勝ち試合でも使えると思った投手は酷使するなどまるで長期的な視点を感じさせない采配がシーズン中に散見されました。

それが数年続いた結果、明らかに登板過多で消耗してしまった投手が出てきてしまい、本来戦力であるべき存在が欠けてしまうという事態を引き起こしています。

そのため、生き残っている実力のある投手にどんどん負荷がかかってしまうという悪循環が起きてしまっています。

結局どれだけ強くなっても、25年ずっと優勝出来なかった中で自然と身に付いてしまった弱者のメンタリティーが中々払拭されず、勝ち続けなければならないとの強迫観念に駆られて、ベンチでどっしりと構えることが出来ず動き過ぎてしまうのでしょう。

ペナントレース中ではそれでも圧倒的な戦力差を背景にトータルで押し切れますが、いざ大事な試合となると地に足がつかず、動き過ぎて失敗してしまうという過去3年のような事態となってしまうわけです。

セリーグ内に競合チームがいないため、ペナントレース中にギリギリの勝負を行うことが出来ず、ポストシーズンでしかそのような体験を得ることが出来ないという事情もあるでしょうが…

おそらく来年も現行体制のまま臨むことになるのでしょうが、正直このままでは現状からの上積みは全く期待できないですし、ペナントレースを制すことはできても、日本シリーズを制することはまず無理でしょう。

この状況を打開するには、広島という弱者のメンタリティーに染まってしまった球団に長くいる人ではなく、他球団への在籍経験が長く、勝ち方を知っているような選手やコーチを招聘する以外にはないでしょう。

このまま強い球団であり続けたいなら、抜本的に現行の体制を変えていく必要があるのではないでしょうか。

ただ、松田元オーナーの根本的な考え方として、「原爆からの復興の希望となった広島カープという球団は何としても存続させなくてはならない」との思いがあるようですので、強い球団であり続けることにこだわるような姿勢は表向きには取るでしょうが、そこが最優先とはならないでしょう。

勝利よりも、マツダスタジアムの更なるボールパーク化を進め、多少弱くなってもきっちりお金の入ってくるシステム作りを最優先するはずです。

また、おそらくこれまで培ってきた広島カープという球団のイメージを第一に考えるでしょうから、余程のことがない限り、今まで以上に選手にお金を投じることはないでしょうし、生え抜きを極度に重視する現行体制は変えるつもりはないはずです。

広島カープという球団のブランドイメージを守るのか、少しイメージを崩してでも勝利を追求するのか。

個人的には新たな風を吹き込んで、時代に即した新たな広島カープ像を築いていってもらいたいというのが正直なところです。

「清貧さ」や「純血」を盾に勝利から逃げているようでは、いつまで経っても日本一になる日なんてやって来ません。

#野球 #プロ野球 #広島 #カープ #日本一

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