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各球団のクローザー管理

各球団のクローザーと呼ばれる投手は、基本的にはセーブシチュエーションとされる3点差以内の最終イニングに登板することが多くなってきます。

それに加えて、前倒しで8回のピンチの場面から投入されたり、同点の9回もしくは延長回や、登板前の攻撃で点差が広がった場合といったセーブシチュエーション以外の場面でも、登板する機会はあるでしょう。

その一方でクローザーの登板機会は、セットアッパーなどの他のリリーフと比べて登板機会が計算しやすく、接戦の数があまりに多くならなければ登板機会もそうは増えてこないように感じます。

ですので、各球団のリリーフ投手運用の巧拙を語るためには、セーブシチュエーション以外の場面での登板数を計測し、クローザー管理の実情を見ていけば、ある程度管理できる部分を管理できているかいないかという点で、ある程度のものが見えてくるのではないかと思い、本noteにてまとめていきたいと思います。

まず、セーブシチュエーション以外の登板を調べていく中で、クローザーとして9回もしくは延長回の同点の場面で登板することも当然あり、そのような場面は確かにセーブシチュエーションではありませんが、試合の勝敗を左右するような大事な場面ですので、セーブシチュエーションもしくは同点以外の場面での登板数を計測していきます。

セリーグ

まず、セリーグ分を計測したものが表①となります。

1.阪神 15.5%
2.横浜 15.8%
3.ヤクルト 27.1%
4.巨人 27.8%
5.広島 29.4%
6.中日 34.4%

また、上記が球団ごとにノーセーブシチュエーション/クローザー登板数の割合が低かった順に並び替えたものになります。

球団ごとに見ると、阪神・横浜が抜けて割合が低く、その他の4球団はそこまで差がなく団子状態となっています。

割合の低い阪神や横浜は、登板数の割にセーブ数が多く、ある程度出番を限定して登板していたことが分かります。

そのように限定した起用が出来た理由としては、当然首脳陣の運用管理という側面もありますが、その他のリリーフ陣の充実という側面もあるように感じます。

阪神には、ドリスだけでなく桑原謙太郎・藤川球児・能見篤史とWAR1以上を記録したリリーフが3枚おり、横浜には、砂田毅樹・三上朋也・三嶋一輝・S・パットン・E・エスコバーと5枚いる、という厚いリリーフ陣の層を誇っている点は運用に余裕をもたらす要因の一つではないでしょうか。

その他の球団を見ると、優勝した広島は独走していたにも関わらずリーグ5位という数字になっています。

この辺りには、独走していたにも関わらず目先の勝利に拘った首脳陣の余裕の無さであったり、リリーフの駒が足りていない点が見え隠れするところです。

実に3度クローザーが入れ替わった巨人と中日も非常に割合が高くなっています。

シーズン当初のクローザーであった、カミネロや田島がクローザーを担っていた時期はそれほど高くもないのですが、クローザーが交代していくごとに割合は高くなり、試合展開やシーズン終盤の勝負所という関係も当然あるでしょうが、閉幕時にクローザーであった山口俊と佐藤優はそれぞれ40%越えと非常に高い数値を叩き出しています。

この辺りの管理の杜撰さが、接戦の勝率の低さに繋がり、昨季の成績低迷の一因となったのかもしれません。

※昨季の接戦時(3点差以内の試合)の勝率は、巨人がリーグワーストの.430で中日がワースト2位の.447

パリーグ

続いてパリーグ分を計測したものが表②となります。

1.日本ハム 13.3%
2.オリックス 14.3%
3.ソフトバンク 17.9%
4.ロッテ 21.3%
5.楽天 22.6%
6.西武 23.2% 

セリーグと同様に、割合の低いごとに並び替えたものが、上記となります。

セリーグと比べると全体的にその数値は低く、パリーグ内最下位の西武でも、セリーグの中に入れると、3位に入ってくる数値となっています。

また、セリーグの巨人や中日と違い、クローザーが何度も入れ替わった日本ハムが最も優秀な数値を叩き出すなど、クローザー管理についてはパリーグの方が圧倒的に優秀と認めざるを得ないでしょう。

また、よくリリーフ運用が叩かれている印象のあるソフトバンクやオリックスもかなり優秀な数値を叩き出しています。

ソフトバンクは、サファテは離脱したものの、加治屋蓮・嘉弥真新也・L・モイネロに加えて、本来は先発の石川柊太・武田翔太もシーズン途中でリリーフに回るなど駒数は非常に多く、それがこの数値の低さに繋がったのかもしれません。

オリックスは、地味ながら実力者揃いで、吉田一将・山本由伸・近藤大亮・澤田圭佑・比嘉幹貴に加え、スポット的に山岡泰輔がリリーフに回ったり山田修義が月間最多登板を果たすなど、増井の負担を減らせるような人材が多くいました。

この両チームは、クローザーまでつなぐ投手の中で偏った起用が行われており、そのためリリーフ運用が問題視されていますが、ことクローザー管理に関しては数値的には特段問題の無いことが分かります。

まとめ

クローザー管理が優秀なチームに関しては、特段運用管理に優れているというよりは、良質なリリーフ投手が複数枚いることで、自然と負担が軽減されていくということを示しているのかもしれません。

ですから、きちんと管理されたリリーフ運用を行うには、まずは使える駒を増やすという点に注力すべきではないでしょうか。

そして、駒を増やしたところで、極力負担を分散させるような起用法を取ることで、リリーフ投手の投手生命も伸びていくのではないでしょうか。

#野球 #プロ野球 #リリーフ #クローザー

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