小園海斗3B

小園海斗をどのように起用すべきか

OP戦も本格的に始まり、いよいよ2020年シーズン開幕に向けて期待の高まる時期となってきましたが、2年ぶりのリーグ優勝を目指す広島にはファンの期待を高める若手選手が実戦で躍動しています。その代表格が小園海斗ではないでしょうか。

元々のレギュラーである田中広輔がSSではつらつとした動きを見せているため、出場機会確保のために2Bもしくは3Bとしての出番が増えていますが、高いアジリティー由来の好守を見せれば、昨年からはワンランク上がった打撃も披露し、ここまでのOP戦ではまずまずの成績を残しています。

そんな紛れもない正真正銘のトッププロスペクトである小園海斗について、将来的にチームを背負って立つ存在となるにはどのような起用法がベストなのか、過去の事例から解き明かしていこうと思います。

1.現状の起用法

まず導入として、シーズン前のテスト段階であるOP戦にて首脳陣がどのような起用法を行っているかで、今季想定される起用法を確認しておきたいと思います。

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ここまでの対外試合12試合でどのポジションで起用されているのかをまとめてみました。当初はSSや2Bとして多く起用がされていますが、3Bとして期待されたピレラが守備でミスを連発すると見るや、小園に3Bとしての出場機会が与えられ、3Bとしての出場機会の方が直近では増えています

昨年不振に陥った田中広輔が順調な調整ぶりを見せており、田中がSSに入る可能性が高い中で、現状では3Bとして起用される可能性が高いと考えてよいでしょう。

2.その他のポジション→SSへの転向

OP戦ここまでの起用法や各種報道から、首脳陣が3Bとしての起用を意図していることが分かりましたが、キャンプでは田中広輔とともにSSの守備位置についていたように、将来的に期待されるのは田中の後釜としてのSSのレギュラーでしょう。

ということで、今季はSSとしての出番は少なくなり3Bとしての出番が増えることが想定されますが、その他のポジションからSSに転向するという同様の道を辿った選手は、どのような成績推移を見せたのかを確認していきます。

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SS以外のポジションで一軍の多くの試合に出場した後、そこからSSへ転向した選手を挙げたものが上記表となります。この表の見方を説明しておくと、最上段がSS転向前のポジションをメインとしていた際の成績で、そこから三段がSS転向後の成績という見方となっています。また、赤はSS、オレンジは3B、黄色は2B、緑はOFを示しています。

SS転向後に14名中6名が何らかのタイトルを受賞するなど、その他のポジションを経てSSに戻ってきても、元来の本職であるためか打撃成績は向上を迎えている選手も多く、プラスに転じているように見受けられます。OPSベースで見ると、SS転向初年度には12名がOPSを向上させていることからもその様子が分かります。

プロ入り後一軍でSS経験の少なかった選手(50試合/シーズンの記録なし)がSSに転向しているパターンは、河野旭輝、桑田武、安井智規、高橋眞裕、種田仁、石井琢朗、金子誠とありますが、SSに入りOPS.100ダウンレベルの大きく打撃成績を落としたと言えるのは種田仁くらいなため、守備負担の重いとされるSSに入っても打撃力は維持もしくは向上させることが出来ています

ですので、決してSSに固執して出場機会を限定するのではなく、他ポジションでも経験を積ませる方が、プロでSSをそれなりに務め上げられる選手ならプラスに働くのでしょう。

ついでに小園とおおよそ同年代の20代前半(~25歳まで)にポジションを移した選手に絞ってみると、河野旭輝、安井智規、高橋眞裕、種田仁、中島卓也の5選手に絞られます。若年層の転向組はサンプル不足ながら、センターラインのコアレベルに育った選手が少ないのは気になるところです。ただ俊足や好守をウリにする上記5選手とは選手のタイプが違うため、単純に比較は出来ないため何とも言えないところですが‥

3.レジェンド級高卒SSの成績から辿る将来

続いて、過去の高卒SSでは石井琢朗、豊田泰光、坂本勇人、松井稼頭央、高橋慶彦らの1500本以上の安打を放ち数々のタイトルも獲得したレジェンド級の選手がいますが、それらの選手の高卒2年目時の成績はどのようなものであったのかを確認していきます。

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500試合以上SSで先発出場を果たした選手の中で、高卒の選手の2年目の成績に絞って表にしたものが上記となります。特に成績の優れているものほど色が赤くなり、0に近づくほど色は青くなっていっています。

目立つのは100試合以上出場してOPS.650以上と一定以上の結果を残した、豊田泰光、坂本勇人、藤田平でしょうか。それ以外では、同じく100試合出場した田中幸雄や矢ノ浦国満、63試合の出場ながらOPS.701をマークした西岡剛の成績が際立つところです。これらの選手の内、矢ノ浦以外は首位打者、本塁打王、打点王の打撃三冠獲得経験者であることから、レジェンドクラスの選手は既に高卒2年目で100試合出場あるいはOPS.650以上の結果を残していることが分かります。

ただそれは絶対条件ではなく、高卒2年目時ではこのレベル台頭には至っていなかった石井琢朗(そもそもこの時はまだ投手ですが‥)、高橋慶彦、松井稼頭央、池山隆寛、中島裕之らはその後に成績を大きく伸ばしています。ただ、これらの選手には打撃三冠の獲得経験がないのは偶然でしょうか‥

ではこれらの選手はその後どのような成績推移を描いたのでしょうか?

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上記対象選手の成績を5年目まで拡大したものが上記表となります。投手からの転向組の石井琢朗は除いて、1500本安打以上を達成した*レジェンドクラスの多くは同年代の大卒選手が加入してくる高卒4年目までに、ベストナインやゴールデングラブ賞を受賞、もしくはSSを務めてOPS.800超えを記録しており、早々に優れた成績を残していることが分かります。

※該当者は石井琢朗、豊田泰光、高橋慶彦、松井稼頭央、坂本勇人、田中幸雄、藤田平、池山隆寛、中島裕之、金子誠、川崎宗則

これに当てはまらない金子誠や川崎宗則も、金子は3年目に新人王を受賞し、川崎は4年目に打率.294で30盗塁を記録していることから、やはりレジェンドクラスの成績に至るには大卒同年代加入までにポジションを掴み取る必要があると言えましょう。

以上を小園の現状に当てはめてみると、将来チームを背負って立つクラスの選手を目指すには、高卒2年目時点で100試合出場あるいはOPS.650以上を記録する必要があるでしょうし、大卒同年代がプロの世界に飛び込んでくるまでにタイトル獲得やOPS.800以上を記録するといった必要があるという結論になります。

となると、田中広輔が昨年レベルの不振に陥らない限りはSSにメインで入ることはないと考えられるため、SSとしてではありませんが、小園を3Bとして起用して経験を積ませることは上記の高卒2年目時点での要件をクリアすることに繋がりますし、空いていた3Bのポジションの穴埋めにもなるため、3B起用は全く問題ないと考えてよいと思います。

4.まとめ

・現状では3B起用が濃厚
・過去にその他のポジション→SSへのコンバート例を見ると、その他のポジションで経験を積むことはプラスに働く
・レジェンドクラスを目指すには2年目時点で100試合出場orOPS.650以上を記録し、4年目までにタイトル獲得orOPS.800以上を記録したい

総合すると、このまま3Bで起用することは全く問題ないですし、実際のプレーを見ても特に守備面では前後左右にしっかり動け、3B特有の右打者の強烈な引っ張りの打球にも対応できています。あとはしっかりと一軍で経験を積むだけでしょう。

加えて3Bで出ずっぱりではなく、田中を休ませる目的で時にはSSとしても起用して、SSとしての守備勘も養いながら、高卒SSのレジェンドコースを駆け上ってほしいところです。

参考

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