ピアノに初挑戦される圭吾さんの姿に胸が熱くなった！

このひたむきなお姿を見て、ふと思い出したことがある。

遠い昔、中学校の音楽の先生をしていた頃のこと。鑑賞の授業でバッハの「小フーガト短調」というパイプオルガンの曲を聴いた中学生男子2人が、「この曲をオルガンで弾いてみたい」と言い出した。わたしは一瞬「いや、無理でしょ？！」と思った。2人はピアノを習っているわけでもない、どちらかというと授業中もふざけてばかりのやんちゃな子たちだ。

ところが、右手パートと左手パートを二人で分担してできるように楽譜を用意してあげると、二人はそろって夢中で練習を始めた。暇さえあれば音楽室に来て、弾き方を聞いては少しずつ覚えていった。そして、とうとう最後は二人で音を合わせてクラスメイトの前で披露するまでになってしまった！！本当に弾けるようにしてしまったのだ！！

あのときの彼らもまさに同じようにまっすぐな目をしていた。

同じようにピアノを習ったこともないのに、音楽会の合唱曲の伴奏をやると言って、何ヶ月もかけて実現した子もいた。なんと大曲「大地讃頌」（なかなかの難曲）を弾いてしまった子もいた。

楽譜に自分で書き込んだドレミさえも間違っていたりして、直してあげると、嬉しそうにピアノに向かうのだが・・・その楽譜と鍵盤の手を何度も何度も見比べながら、片手でたどたどしく弾き始める姿を見たときは「え～？そこから～？！」とビックリしたこともあった！

「どう考えても無理！たとえ弾けても歌に合わせるのは厳しい！」と思っていたけど、その子たちは予想を裏切り、音楽会で見事に大役を務めた。奇跡としかいいようがなかった。

集中しきっている人の威力はすごい！人が本気でやる気になったときの、もうなにがなんでもやると決めたときの威力というのはすごい！！子どもだからとか、初心者だからって、見くびっちゃいけないなと思う。

久しぶりにそんな「やる！と決めた人の威力」をまのあたりにして、勇気とエネルギーをもらった！

自分に言ってやりたい！知ったようなことやわかったようなことばかりつべこべ言ってないで、人の反応をうかがったり、失敗して恥をかくのを恐れたり、めんどくさがったりしてないで、やりたいことがあるならやると決めてやる！

ただそれだけなのだな！

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